バラタナティヤム・アランゲトラム(リハ編) | モールシン部

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モールシン&ムリダンガム奏者 竹原幸一のブログ

バラタナティヤム・・・南インドの古典舞踊。インドを代表する舞踊の一つで、インド4大古典舞踊のうち最古のものと言われている。タミルナードゥ州を中心に広く親しまれている。

 

アランゲトラム・・・公式なデビュー公演。師匠にとっては手塩にかけた弟子のお披露目、ダンサーにとっては一生に一度の晴れ舞台。演者としての登竜門であり、プロとしての履歴書でもある。

 

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Bhramari School of Dance主催

「P. スムリティ、バラタナティヤム・アランゲトラム」

 

2019年7月1日(月) 開場17:30 / 開演18:00

タワーホール船堀 小ホール

入場無料

 

ナットゥヴァンガム:レスミ・ジョビィ

ヴォーカル:ヴィニタ・ダルマラージャン

ヴィーナ:的場裕子

ムリダンガム:竹原幸一

 

日本に住み仕事を持つインド人家族は年々増え続けており、2018年には約34,000人に上りました。彼らは極東の島国に暮らしながらも、母国の伝統を尊び、文化や精神性を継承し、節目節目には状況が許す限り、本国と同じやり方で儀式や行事を行っています。

 

インドの儀式や行事に音楽と舞踊はつきもの。有難いことにご縁があって、ここ数年は、音楽を通じて彼らとばかり付き合っています。ひとたび彼らのコミュニティに足を運ぶと、そこには剥き出しのインドが目の前に広がります。一括りに言う事はできませんが、彼らの優しさや人懐っこさも見えてくるし、少し突っ込んで見てみると、シビアなところやネガティブなところも見えてきます。日本人と同じですよね、当然のことながら喜怒哀楽のドラマが広がっています。

 

僕はアランゲトラムを観るのが大好きです。高校野球を観るような一度きり特有の感動があるからです。そして今回開催されるアランゲトラムは少し特別で、弟子はこの公演の後、アメリカへの留学が決まっているのです。

師匠はケーララ州政府公認Aグレードの舞踊家レスミ・ジョビィさん、踊り手は17歳のP.スムリティさん。幼少の頃より日本に住むスムリティさんは6歳からバラタナティヤムを学びはじめ、7年前からレスミ・ジョビィさんの元で研鑽を積んできました。僕は5年くらい前から彼女を知っていますが、その頃から「どの瞬間を切り取っても絵画のように美しい」センス溢れる踊りを見せていました。

 

昨日のリハの様子。

バラタナティヤムの題材はインドの神話で、型はジェスチャーやパントマイムを中心とした感情表現と、リズムを強調した身体表現の2つで成り立ちます。度々バラタナティヤムと関われるチャンスがあり、いつも勉強させてもらいながら参加していますが、日本でこれをこんなに近くで観られるなんて、本当に役得です。

 

伴奏者の皆さん。

バラタナティヤムの音楽はカルナータカ音楽です。真ん中はヴォーカルのヴィニタ・ダルマラージャンさん、右はヴィーナの的場裕子さん。僕はムリダンガムを演奏します。

左のレスミさんは、ナットゥヴァンガムという小型の鐘でダンサーにリズムを提示し、ソルカットゥという口唱歌(口太鼓のコンナッコールとほとんど同じもの)を歌います。師匠が務めるのが普通で、伴奏グループの指揮者のような役割も兼ねます。

 

当日まであと1週間。黙々と芸能と向き合ってきた師弟のドラマは、クライマックスに向かって加速中です。(続く)