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*長文注意*


「帰ったの」

「うん、まあね」

あがり框には薩摩芋ころがっている、近所のおばあちゃんに貰ったのだろう。

二階の自分の部屋の明かりをつける、古びたシャンデリアからは僕の嫌いな蛍光灯と違い、部屋の隅々まで届かない光が灯る。

古びた木目調の部屋はまるでトイカメラ越しに見ているようだ。

棚を掻き回す。今日実家に訪れたのは、ある夢をみたから。

ギター弾きのスナフキンが僕は好きだ。ムーミンと同じがらんどうの目をしている、そのスナフキンが夢に出た。
二人でムーミン谷で歌って帰った。
帰り際にスナフキンがあるセリフを置いていった。

目が覚めてもずっと頭に残ってて仕事中ふと閃き、今ここにいる。

あった、小学生の時、誕生日に貰った
「星の王子さま」だ。

表紙はなく、酷く擦り切れている、何回読んだのだろう。
もう一つ大好きな本が出てきた
「マザーグースのうた」
だ。時折現れる気味の悪い挿し絵を思い出す。

思えば母親はいつもレコードを流していた、ペット奏者のサムテイラー、洋画のサントラ、聖歌、加山雄三とかだった。

母親手作りの絵本も出てきた、ストーリーは滅茶苦茶で、弟と馬鹿笑いしたのを思い出す。

床に座り込む、いろんなものを懐かしみながら眺めた。

「ピアノ、手放すんよ」

母親が部屋を覗き込み言った。

ずっとこの部屋にあったピアノ、チューニングもずれている。でも和音が全部セブンスみたいな音で楽しかった、不協和音という和音のリズムがすごく心地よかった。

お別れが少し寂しいが仕方ない、優しく撫でる。

ベルベット生地のピアノカバーをめくるとメモ帳が現れた。

何か嫌な予感がして慌てて母親を部屋から追い出す。

「母さん!誰か来たよ!あと、ほら、昔使ってた皮の鞄どこだっけ!母さんっ」

メモ帳は予想を裏切った、プリクラ帳ではなかった(笑)

黙って眺めていると、それは急に、勢いよく記憶が蘇ってきた。

高校三年生、いろんな事が重なって頻繁に学校を休んだ。うまく笑えなかった。

制服に着替えて弁当を鞄に入れる、歯を磨き玄関を出る。
トイレの窓から裏口に出したギターとバッグを持って自転車に乗る。

バス停には向かわず、お寺で私服に着替えて河川敷に向かう。

鳴らす。昼はお弁当を食べて少し草むらで寝る、また歌って夕方になると何食わぬ顔で「ただいま」と帰っていた。

当時僕の好きなリズムは学校ではなくここにあった。高さと低さの中にある空気間と色と音にリズムがあった。学校の不協和音は居心地が悪かった。

そんなある日、声を掛けられ振り返る、近所の高校の制服姿の女子だった。平日の昼になんて不謹慎なんだろう、ろくな奴じゃない。
初めは愛想なく接していたが、音楽好きが同調し、次第に打ち解けていった、さぼってここに来ると彼女もたまに来るようになった。


その頃書いたメモ帳だった、しかし顔も思い出せない。

こんなメモがあった。

50年は438000時間。睡眠5時間で50年だと73000時間。
50年から睡眠をひくと36万5000時間。

実に興味深い。今は平均4時間程度しか寝てないから数字は異なるが…

以前このメモ帳を探すが見つからなかったのを思い出す。パズルの無くした最後の1ピースを見つけたみたいで気持ちがいい。

僕。消しゴム。リンゴの皮。海。コーラ。


全てに平等に与えられているものが一つある、それは時間。

36万程度の時間で僕は何ができるのかと思う、少ない気もする。


星の王子さまを開く、やっとスナフキンのセリフを見つける。
無くした1ピースがもう一つみつかった。

なんか古いもんひっくり返していろいろ発見できたから良かったよ、古きを訪ね新しきを知るだね、ありがとうスナフキン(´一`)