一郎さん | bookie's songbook

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森下寿一(HOT KUMA のヴォーカル、ピアノ、アコーディオン)の Music Life

 

 2020年11月11日

父、森下一郎(89歳)亡くなりました。

(1931.01.06. - 2020.11.11.)

 大往生でした(直接死因は誤嚥性肺炎)。

 

 お別れ会は 11月14日@浜松。

 近親者だけで行いました(初めて喪主になった)。

 素晴らしい青空でした。

(香典、御供物は辞退させていただきました。)

 

 ♫ 今回は長くなります。

 自分用に記しているので、テキトーにスルーして下さい。

 

 

 

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 一郎さんは次男だった。

 有名なプロ野球選手イチロー(も次男)が生まれる40年以上昔、次男に「一郎」と名付けるなんて不思議だなーと思っていた。

 かなり最近、1月6日生まれだからだと知った(風歌が聞き出した)。

 

 若い頃(1945 - 1958)は船乗りだった。

商船に乗って何十カ国も旅した。

 僕は船の話や外国の話を聞くのが大好きだった。ワクワクした。まるで映画のような御伽の国の世界だった。

 原爆が落ちた前日、広島にいた話(当日は大阪にいた)。

 香港で大きな犬に追いかけられた話。

 船が座礁した時、救援を求めてロープを身体に巻いて泳いだ話。

 

 晩年は庭師をしていた。ジョージ・ハリスンと同じだ。

 

 船乗りと庭師は憧れの職業。

 

 一郎さんは誰に対してもフラットだった。

 (僕と一歳違いの)従兄弟との会話はまるで同級生のようだった。

 相手が何十歳年下でも、PANTAでも、(日本語が通じない)Stevie Hegerでも、いつでも自然体だった。

 一郎さんと二人で歩いていると、たくさんの人に話しかけられる。立ち止まって数分いろんな話をする。「今の人誰?」と聞くと笑顔で「知らん」と言う。

 

 一郎さんは「フーテンの寅さん」と「バカボンのパパ」を足して2で割ったような人だ。

 「マイペース」を絵に描くとこうなるんじゃないか?

 若い頃からいつもトボけた事ばかり言っていた。晩年は、本当にボケてしまったのか?いつものようにトボけてたのか?分からず終いだ。

 

 一郎さんと壽美子さんはしょっちゅう夫婦喧嘩をしていた。といっても、悪いのはいつも一郎さんで、壽美子さんが一方的にがなり立てる。一郎さんは「おう、おう」とテキトーに返事?のような相槌を打つだけ。

 40年ほど前のある日、いつものように喧嘩が始まった。その日は珍しく、壽美子さんが理不尽な事ばかり言っていた。一郎さんは「おう、おう」。ひとしきり喚き散らして壽美子さんが家を出て行った後、一郎さんに聞いた。

 

「さっきの話はおかしいよ。一郎さんは何も悪くない。どうして!反論もしないで理不尽な事を言わせておくの?」

 その時の一郎さんの返答は衝撃的だった。

 忘れられない。ホントに驚いた。

「寿一な、かあさんはな、言ったら気がすむんだ」

 

 一郎さんは「どちらが正しいのか」なんてどうでもいいのだ。

 こんな人になりたい、と思った。一生無理だろうけど。

 

 カリフォルニアの友人ミュージシャン、Stevie Heger も何回か浜松の実家に来た。

 Stevieと一郎さんと三人で話していた時(僕は二人の通訳をしていたのだが)トイレに行って戻ってくると二人で盛り上がっている。二人とも相手の言語は話せないハズなのに。

 その後、Stevieから(僕の知らない)一郎さんの話を聞かされてビックリした。どうやって会話したんだろう?

 

 2009年(78歳)までは驚くほど元気な人だった。足腰が頑丈だった。背筋をビシッと伸ばして歩く姿を見ると、船員時代に鍛えられた肉体がまだあるのかと感心していた。

 

 2009年10月31日、狭心症で倒れ「危篤」と言われた。78歳という年齢から、手術に耐えられる体力が無い、移植してしっかり機能する血管を持っていない、と医者が判断したためだ。

 驚いた事に手術は成功した。強靭な肉体は船員時代に培ったモノなのか?医者は「立派な血管がありました」と言った。

 その後、弱ってしまった(様々な病気を抱え、前立腺癌も併発した)けれど、11年も生き延びたのも凄い。

 

 87歳まで車を運転していたのも凄いが、自らの意思で免許証を返納した事も関心した。

 

 

 11月11日

 奇しくも木村直樹(HOT KUMA drums, vocal)と同じ命日。ショックだった。

 木村直樹と一郎さんの会話も面白かった。

 二人の笑顔を思い出す。

 

 

 一郎さんは世界一尊敬する男。

 ステキな人だった。

 大好きです。

 

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 遺影は Stevie Heger に貰ったTシャツとキャップを身に付けた3年前(2017年)86歳当時の写真。こんな86歳はいないだろう。

 サングラスをかけてる遺影はどうなんだ?とも思ったけど、葬儀屋は「いいじゃないですか!カッコいいです」と後押ししてくれた。

 

 「お別れ会」の最後に Beach Boys の "Sail on Sailor" を日本語詞(前夜作った)で歌った。

 Stevie Heger も歌ってるし、「進め!船乗りよ」なんて一郎さんにピッタリだと思ったのだ。

 

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2020-11-14 富士葬祭 やすらぎ苑有田玉

 森下一郎 お別れ会

 

 森下"Bookie"寿一

 セットリスト

 

 お花入れBGM Inst.

01. What A Wonderful World

(詞曲 G.D.Weiss-G.Douglass)

02. 慈しむ人

(詞 白井久美子 曲森下寿一)

 

 喪主ライヴ

01. 七つの夏-1967-(詞曲 森下寿一)

02. CANCER(詞曲 森下寿一)

03. Sail on, Sailor(進め!一郎)

(詞曲 B.Wilson, R.Kennedy, T.Almer, J.Rieley, V.D.Parks, 日本語詞 森下寿一)

 

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 僕は元気です。

 11-17 コマラジ出演から復帰します。

 11-20 吉祥寺SCARAB、11-21.22 新潟も予定通り。

 

 ♫ロックンロール♫

 

 

 

 【遺影】 一郎さんらしくバックを海にしてもらった。

 

 2017年

Stevie Heger に貰ったシャツとキャップを身につけて

 

 

 

 うーん?

1940年代か1950年代?

船員時代の身分証明書写真か?

 

 

 

 う〜ん?

1940年代か1950年代?

船のデッキ?

 

 

 

 1973年?

 

 

 

 1976年?〜1979年?

 

 

 

 これは1986年

 

 

 

 風歌と

1994年くらいか?

(1993年生まれなので)

 

 

 

 2010年

Stevie Heger と

 

 

 

 2017年

PANTAと

 

 

 

 2019年

浜松の実家

TOSHIさんも来た!

 

 

 

 一郎さんがいつも持ってたらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

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