透き通った感性、ずっと欲しいと願い続けているのは今もそうだ。


あんな感性があったら、と小説の中や詩の中に見つけては、これは生まれ持った物なのか、それとも環境や経験値による物なのか、どちらにせよ私には与えられなかった物の一つと言える。


これまでも、そしてこれからも、欲しい物を一つだけあげる、と言われたら迷うことなく、唯一無二の感性が欲しいと言うだろう。


最近面白いと思える小説にも巡り会えず、それでも書店をウロウロしていて、これ読んだっけ?と手に取ったのが、沼田まほかるのユリゴコロ。


私は彼女の作風が好きだ。


暗い題材の中でも、ほんの一瞬光るものを見つけた時の胸の締め付け感が良い。


女性作家と相性が合わない私には珍しく、彼女の書いた物はほとんど読んでいるはず、多分!


なのに、見逃していた一冊かも?と手にした。


そして、先日SNSで聴いた中島美嘉の僕が死のうと思ったのは、に今どハマりしている。


この歌詞にやられた。


もっと深く知りたいと思い調べたら、もう10年も前の曲だった。


若い人には、今頃?と言われそう。笑


作詞家は、青森県在住のamazarashiというバンドのボーカル・ギター担当の秋田ひろむ。


日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝だか、「それでも」というところから名付けられたこのバンドは、「アンチニズム」をコンセプトに掲げ、絶望の中から希望を見出す辛辣な詩世界を持つ、とプロフィールに書かれていた。


私の好物のワードだ。笑


初めてこの曲を聴いた瞬間、涙が溢れ落ちた。


こんな感性が欲しい、と強く思った。


どうして私にはないかな〜〜!笑





僕が死のうと思ったのは

ウミネコが桟橋で鳴いたから

波の随意に浮かんで消える

過去も啄んで飛んでいけ


僕が死のうと思ったのは

誕生日に杏の花が咲いたから

その木漏れ日でうたた寝したら

虫の死骸と土になれるかな


薄荷雨漁港の灯台

錆びたアーチ橋捨てた自転車

木造の駅のストーブの前で

どこにも旅立てない心

今日はまるで昨日みたいだ

明日を変えるなら今日を変えなきゃ

分かってる分かってるけれど


僕が死のうと思ったのは

心が空っぽになったから

満たされないと泣いているのは

きっと満たされたいと願うから


僕が死のうと思ったのは

靴紐が解けたから

結びなおすのは苦手なんだよ

人との繋がりもまた然り


僕が死のうと思ったのは

少年が僕を見つめていたから

ベッドの上で土下座してるよ

あの日の僕にごめんなさいと


パソコンの薄明り上階の部屋の生活音

インターフォンのチャイムの音

耳を塞ぐ鳥かごの少年

見えない敵と戦ってる

六畳一間のドンキホーテ

ゴールはどうせ醜いものさ


僕が死のうと思ったのは

冷たい人と言われたから

愛されたいと泣いているのは

人の温もりを知ってしまったから


僕が死のうと思ったのは

あなたが綺麗に笑うから

死ぬことばかり考えてしまうのは

きっと生きることにまじめすぎるから


僕が死のうと思ったのは

まだあなたに出会えてなかったから

あなたのような人が生まれた世界を

少し好きになったよ

あなたのような人が生きてる

世界に少し期待するよ




清らかな水のように胸を満たす、そんな透き通った感性が欲しい。