こんにちは!看護部です😊
寒い日が続いていますので、体調等お気を付けください。

今回は採卵周期の時に起こりうるリスクとしてOHSS(卵巣過剰刺激症候群)について大切なお話しさせていただきます🐰🐰

①卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは
卵巣過剰刺激症候群とは、主に不妊治療で使用する排卵誘発剤が卵巣を過剰に刺激することで、さまざまな症状が起こる病気です。


OHSS(ovarian hyperstimulation syndrome)と略されることもあります。

女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm)の臓器ですが、OHSSでは卵巣が過剰に刺激され、卵巣が腫れたり、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こります。

OHSSの症状は採卵後の腫大した卵巣から分泌される高濃度のエストロゲンや、さまざまなサイトカインなどにより血管透過性が亢進する(過剰になる)ことが原因で生じます。

重症化すると血管内の水分が少なくなる(血管内脱水)ことで、腎不全や血栓症などの合併症を引き起こし、治療が遅れると命に関わることもあります。

②卵巣過剰刺激症候群の初期の症状
・卵巣の腫れ                          
・腹水がたまることによるお腹の張り、体重増加、腹囲の増加など 
・血管内脱水による便秘、口渇、電解質異常

③重症化の症状
・卵巣茎捻転(下腹部激痛あり)
・胸水貯留による呼吸困難
・血栓症による脳梗塞・肺梗塞・腎不全・尿量低下
・卵巣のそばにある腹膜が刺激されることによる下腹部痛、悪心、胃痛⇒嘔吐、下腹部痛増強持続

重症化につながる症状に気がついた時はすぐに病院へ連絡してくださいね。
 

④卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク因子
以下のリスク因子に該当する方は、OHSSになりやすく、重症化しやすい可能性があります。
OHSSはリスク因子がない方に起こることもあります。

・年齢35歳以下
・やせ型体型(医学的にBMI18.5以下)
・多のう胞性卵巣症候群(PCOS)
・卵胞の数が多い
・排卵期血中エストロゲン(E2)の急速な増加→E2値>3500pg/ml以上
・ゴナトロピン製剤投与量の増加
・OHSSの既往がある

当院では排卵誘発剤を使用する際、卵胞発育状況の経過観察とともに、OHSSの発症リスクが高い方や多のう胞性卵巣症候群の方、採卵後卵巣の腫れがある方にも経過観察を頻回に行い、薬剤の調整や採卵後の血液検査やエコー、モニタリングを行う等慎重な管理と対応を行っています。

卵巣刺激中から特に採卵後は、血管透過性亢進により、血管の中の水分が血管の外に漏れやすくなるため、血管の中の水分が減少しやすい状態(血管内脱水)になります。


その結果血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。


電解質が多く含まれたスポーツドリンクなどを積極的に(できれば1日1リットル以上)飲んでください🥛

次回はOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の重症化予防のお薬について説明します!
ここまで読んできただきありがとうございます😘

参照:厚生省  重篤副作用疾患別対応マニュアル OHSS(卵巣過剰刺激症候群)平成23年3月より一部抜粋