平安朝物語のヒロイン~メイちゃんの執事と浮舟~
うわーーーい!新日本プロレス棚橋選手から、8月3日にまたペタもらったYO!過酷なG1まっただ中なのに、こんなふうにペタしてくれる棚橋選手…ううう、ありがたい。それなのに私ったら、プロレスとは全然関係ない記事書いちゃってるよーーー。だって今合宿引率中で、生観戦はおろかテレビ観戦もできない状態なんですもの…。さて、今回も平安時代の物語について書きたいと思います。『メイちゃんの執事』と、『源氏物語』最後のヒロイン浮舟の共通点も見えてきてしまうという!!平安時代の作り物語(現代でいうところのフィクション)のヒロインは、基本的に貴顕のお姫様です。もう少し専門用語でいうと、公卿以上の身分をもつ父親の娘です。『竹取物語』は伝奇物語だからまあ置いておくとしても。『うつほ物語』のヒロインあて宮は、一世源氏の娘(天皇の孫)。『源氏物語』では、藤壺は皇女、葵上は左大臣の娘、六条御息所は大臣の娘、朧月夜は右大臣の娘、朝顔斎院は式部卿宮の娘、紫の上は兵部卿宮の娘、花散里ははっきり描かれていないけれども姉が麗景殿女御ということは大臣の娘(『源氏物語』では、大納言クラスの娘が更衣、大臣クラスの娘が女御とランク分けされている)。いわゆる「中の品」といわれる女性たちについても、空蝉は中納言兼衛門督の娘で入内を考えていたほどの姫君、夕顔は三位中将の娘、末摘花は常陸宮の娘。明石の御方は近衛中将でその後受領になったという変わった経歴をもつ人物の娘ですが、父方の祖父は大臣です。宇治十帖においても、大君、中君、浮舟、いずれも八宮の娘です。女房として出仕している女性がヒロインとなることはまずないのです。さて、このように『源氏物語』が書かれた時代、もちろん道長の娘らホンモノの貴顕のお姫様たちも『源氏物語』などの作り物語作品を愛読していたわけですが、主として作り物語を制作あるいは享受していたのは、紫式部と同様の受領層の娘たちでありました。もう少し専門用語でいうと、五位程度の身分をもつ父親の娘です。そしてそれは、貴顕に女房として出仕する女性たちの出自とも重なってきます。彼女たちにとって、これらの作り物語のヒロインは、自分たちより出自の高い、あこがれのお姫様であったことになります。セレブな女性が恋愛をする小説や漫画を想定してくれればいいです。そういう小説や漫画、現代でもあるでしょう??女性がセレブな世界にあこがれをもつのは、いつの世も同じ、といえるでしょう。でも、あまりにも貴顕のお姫様だと、雲の上すぎて読者の感情移入がしにくいですよね。だからこそ、『源氏物語』の最後のヒロインであるところの浮舟は、出自は高いけれども、受領の娘の継娘として育つという、女房たちに近い女性として設定されています。紫式部の同僚たちにもいますが、もともとの出自が高いけれども、父を早く亡くしたことから女房として出仕している女性たちは多かったので、女房たちが感情移入しやすいヒロインだったはずです。(身分制度が崩れた現代の日本人からすると、薫や匂宮の浮舟に対する身分差別的な視線には義憤を感じずにはいられないのですが、当時身分差は当たり前のことでしたから、薫や匂宮にマイナスな感情をもつ読者はいなかったのでしょうね)『源氏物語』の愛読者のうちの一人、『更級日記』を残し、自らも物語作品を残した菅原孝標の娘にとってもそうだったようです。『更級日記』によれば、彼女は物語にどハマりし、「后の位も何にかはせん」(=天皇のお后様にしてあげると言われたって、物語を読んでる方がイイ!)というほど一心不乱に読みふけったそうですが、(ちなみに、子供の頃の私が『あさきゆめみし』を読んだときはそうでしたよーーー! 千年の時を超えて、すごいわかるよーーーー!って言ってあげたい)彼女がなりたかったのは、紫上や朧月夜などのヒロインではないのです。その時の彼女の気持ち、こう書いてあります。女子なら誰でもみんな、こう考えたことがあるはず!!!「われはこのごろわろきぞかし、さかりにならば、かたちもかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。 光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮舟の女君のやうにこそあらめ、 と思ひける心、まづいとはかなくあさまし」(=今の私はダメだけど、もうちょっと大きくなったらきっと美人になるはず。 光源氏に愛された夕顔、薫大将に愛された浮舟みたいに、セレブな男性に愛される! …なーんて思ってた黒歴史暴露☆)夕顔と浮舟は、『源氏物語』に登場するヒロインの中では出自が低いので、孝標の娘にとってはセレブすぎない、自分と地続きの存在なのです。特に浮舟は、もともと八宮の娘ですが、母親は八宮に出仕していた女房で認知されておらず、受領である常陸介の継娘として育てられています。孝標も上総守でしたから、東国育ちというところで共通点もありますしね。この浮舟というヒロインの、実は八宮の娘、というところ、女子の変身願望をグッ!!とわしづかみしませんか??クリーミーマミも、セーラームーンも、普段は普通の女の子、でも実は…っていう話でした。それですよ、それ!!そういう変身願望は誰にでもあって、それが千年前からずっと続いているっていう、この不変さはすごい。『メイちゃんの執事』なんか、直球ど真ん中ですよ。両親が亡くなったあと、大富豪の孫娘だってことがわかるなんて。ナイトみたいな男の子に愛されるから、千年前の女性たちにもウケると思う(笑)。そんなわけで、作り物語の制作と享受をしていたいわゆる受領層の娘たちは、一方では超セレブな世界の恋愛物語を楽しみながら、だんだん自分に近い(現代の表現にすれば庶民派の)ヒロインにも共感していったことがうかがえるのです。次回、「長いので一旦ここまでに」の予定です。