水曜日の朝


町の人たちに「おはようございます」と挨拶して
ユノは力強い足取りで学校へ向かっています

その顔は、昨日までとは違っていました

迷いが吹っ切れたのか、目に力があります

先生の許しをもらわなくても
国語の授業に出席する

決心したことで、勇気が生まれたようです

町の人は、いつも通り
「おはよう、いってらっしゃい」
と、挨拶を返してくれます

みんなの笑顔がユノの背中を押してくれているようでした



国語の公開授業は
午後の最初の時間です

その前の給食の時間

ユノは、昨日、保健室に給食を運んでもらったことのお礼を言いました

すると
「今日のメニューはなんだと思う?」
おどけた顔でシンドンがクイズを出します

「なんだろう?」
首を捻ります

「カレーで〜す!
それとソフト麺の最強タッグだ!」
シンドンが張り切って答えを言いました

「やった〜!
縁起がいいぞ!」
ドンヘも大喜びです

「なんで縁起が良いんだよ?」
シウォンが聞きました

「だって、今日に限って、みんなの大好物じゃん
前祝いってことじゃない?」
ドンヘが答えると

「本当だ!ドンヘは良いこと言うなぁ」
ウニョクも同意します

なんでも良い方向に考えられるって素敵なことです

公開授業にあたって
緊張気味だったクラスのみんなの
肩の力が抜けたようでした


その頃
オ先生は公開授業の準備に忙しいようです
校長先生や教頭先生に挨拶をしに行ったあと
何度もトイレに行ったりして
落ち着きません

その様子を横目に
ナム先生が声をかけました

「先生の公開授業、楽しみにしてますよ
5年生にしては難しい教材を扱うんですね」

オ先生は、不機嫌そうに

「ナム先生は、その時間、授業はないんですか?」
と聞きました

「ええ、幸いなことに空いているんで、オ先生の授業を見させてもらいますよ」

そう聞いて、オ先生は舌打ちをしました

どうも、ナム先生のことは苦手にしているみたいなんです

「そろそろ、教育委員会の方がお見えになる頃だ
出迎えに行かないと・・」

オ先生は、そういうことには余念がないようです


給食の時間が終わり
午後の授業が始まる予鈴が鳴りました

すると、何故か
前のドアのところにはドンヘが
後ろのドアのところにはシンドンが
まるで出入りを塞ぐように立っています

みんなは気がついてます

ユノをトイレに行かせないように見張っているのです

シウォンとチャンミンは
ユノの席に来て、今日やる授業について
「この話のここからだよ」
と教えています

「分かった
ありがとう」

ユノは授業の予習をするように
真剣に読み進めています

「ユノ、今日は掃除に行かないんだよね?」

チャンミンが恐る恐る聞きました

「うん、僕も授業を受ける
先生には許してもらってないけどね
ナム先生に出席しなさいって言われたし
僕もそうしたいから」

ユノがキッパリ言いました

それを聞いて

よし! よし!

と、チャンミン、シウォン、ドンヘ、ウニョク、シンドン、キュヒョン、そしてクラスのみんなが
目で合図を送り合って頷きました

ドンヘとシンドンは
安心して自分の席に着きました

ちょうどその後
授業の始まりを知らせるブザーが鳴りました

いよいよ、公開授業の始まりです


続きます


読んでいただきましてありがとうございました😊