「おはようございます」

ユノが部屋に入るなり元気に挨拶すると


「ヒョン、おはようございます」

同じグループのメンバー、チャンミンが笑顔で答えた


今日は朝早くから、新番組の打ち合わせがある

久しぶりの2人揃っての仕事だ


「ヒョン、朝ごはんは食べてきました?」

「いや、朝早かったから、これだけ」

ユノは手に持ったアメリカーノを揺らしてみせた

「だと思って、これ作ってきました
良かったらどうぞ」

手に持った紙袋を差し出した

中を取り出すと、ホワイトブレッドとブラウンパン、色とりどりの野菜、ローストビーフが挟まったサンドイッチが入っている

「おう!すごい!
チャンミンの手料理は久しぶりだな」

嬉しそうに口を大きく開けてかぶりついた

「んまい!
チャンミン、腕を上げたな
ありがとう!」

「いやいや、まだまだっすよ」

チャンミンの「まだまだ」
謙遜しているのはわかっている
それと同時に、興味を持ったことを突き詰めたいという欲があるんだと、ユノは思う

チャンミンは努力の人だ
そこは自分と似ていると考えている

デビュー当時から、チャンミンは
メンバーの誰よりも多く曲を聞いていた
少ない休みもレッスンに費やしてきた

今でも、ネイティブ並みの日本語もブラッシュアップしている


自分たちのグループは
常にレジェンドとして押し上げられている
実際、ここまで成し遂げてきたことには誇りを持っているし、先を進む者としての責任を背負っている

でも、他のアーティストに比べて、自分たちが優れているとは思っていないし
頂点に立っているとも思っていない
頂きは遥か雲の先、視界に捕らえてもいない
「まだまだ」これからだと考える

ユノがそんなことをぼうっと考えてると

「どうしました?
昨日はゆっくり眠れました?」

チャンミンが顔色を伺っている

「え?
ああ、よく寝たよ
それがさ、ここ3日間くらい懐かしい夢を見てさ」

ユノは、3日間に見た夢の話を聞かせた

高校の恩師、練習生時代のドンヘ、それからホジュンヒョンが出てきた夢だ

「初心忘れるべからずってことだったのかな?」

チャンミンは黙って聞いていたが

「きっと、ユノヒョンがみんなに『ありがとう』を言いたかったんじゃないっすか?
『サンキュー』『サンキュー』歌ってましたもんね」

「おう!
そうか!
きっとそうだわ
みんなにありがとうを言いたいと思ってるんだ」

「びっくりした、大きな声で・・
それで、僕の夢は見なかったんですか?」

「いや、ないな」

「分かりました」

「違うんだ」

「冗談ですって!」

「いや、本当にそうじゃなくて
チャンミンとは一緒に夢を見ているから」

「そういうことにしておきます」

クールに言い放って、前に向き直ったチャンミンの耳が真っ赤になっているのを見て
ユノは笑いを噛み殺した









これにて完結です

しつこいようですがフィクションです(^。^)

読んでいただいてありがとうございました😊