ユノ、今どこにいますか?


僕のこの恐ろしい推測が間違いであって欲しいと願いながらも
居なくなった理由に嗅ぎつくことができたんじゃないかという思い
探す手掛かりになると期待してしまうという
矛盾した考えで頭が沸騰しそうだ

シウォニヒョンが一緒で良かった

秘書の方にも協力してもらって
ユノが入院していた病院の担当の医師になんとか面会させてもらえることになった

僕ひとりで行っても、個人情報保護うんぬんで門前払いだっただろう


その日のうちに、担当の医師から話を聞くことができた

ユノは、病院に運ばれてから丸一日覚醒しなかった
目が覚めた翌日から、目が見えにくいという症状を訴えたという
すぐに眼科に受診して、かなりの視力低下が認められたという話だった
詳しい話は専門医でないので分からないということだ

眼科の医師にも話を聞きたいと申し出たが
生憎、今日は外来の診察が終わるとすぐに退勤したそうだ


もしやと思って聞いてみた

「あの、彼はその後眼科に受診してませんでしたか?」

「ちょっとお待ちください」
と言って、内線電話をすると、相手から答えをもらうまでに時間がかかっているようで
ジリジリとその様子を見守っている

「お待たせしました
 先月まで、外来にかかっていたようです」

「先月まで・・それで、今は?」

「次の予約は入ってないので、その先は分かりません」

ユノの病状については眼科の医師に直接聞くしかない

担当の医師には
貴重な時間を奪ってしまったことを詫び、無理を押して教えていただいたことにお礼を申し上げて
ヒョンとともに病院を後にした


なんてことだよ!

先月まで病院に来ていたとは!
ユノが外来に来るなんて考えてもいなかった
なんて間抜けだったんだ!
だって、家にさえ帰ってないみたいだから、ここには居ないものと思っていた

もっと早く気づいていれば
いや、もっと早く会社に行ってさえすれば
検体の開発中止を知ることができたのに


悔しくて堪らない


これで分かった

目が悪くなって、それを僕に知られないように身を隠したんでしょ?

あのときだって、喉が渇いてたから勝手に飲んだなんて言って
怒んなよなんて言って
分かり切った嘘をついて、僕を安心させようとして


でも、ユノは分かってない
残された僕の気持ち

何も教えられないまま離れて行かれる辛さ

ずっと、何か嫌われるようなことをしたんじゃないかと不安になってたんだからね!


絶対に探し出す

見つけたら、怒ってやる!


「チャンミン、泣くなよ」

どうも泣いていたみたいだ

悔しすぎて涙が出た

「ユノのこと、検体の副作用が原因なら、会社を挙げて治療方法を探していくから
 治験に参加して副作用が出てしまった人たちにも責任があるだろ
 治験方法のリサーチはチャンミンに任せる、いいだろ?」
 
「必ず探し出します」


それからは、治療法のリサーチとユノの居場所を探し出すことを並行してやっていく


病院が盲点だったこともあって、悔しい思いをしたから
あともう一箇所の
出来れば足を踏み入れたくない場所にも行ってみることにした


ライブハウスだ


忌まわしい思い出しかない


あそこに行けば何か情報かあるかもしれないと
頭の中に浮かぶことはあっても
どうしても行動に移すことが出来ないでいた



ユノがあそこのステージに立った日

あの人に聞きたいことがあって
シウォニヒョンに黙って、あの人の楽屋を訪れた

僕を見たあの人の目

僕を通して、姉を見ているんだと感じた

そして、ナヨン、姉はどうしてるかと聞いてきた

知らないのか

知りたかった真実を聞いた後



「ナヨンは死んだよ
 自分で首を吊って」

残酷な事実を教えてやった



続く