『異類婚姻譚』  本谷有希子

 

 

 

 

この本を読んでいて、寒気がしてそのまま読み進められなくて、本を閉じた。

 

なぜ、人間は生きているのかわからないけど、

生きていく中で見て見ぬふりをしたり、気づかぬふりをしたりすることもある中、

この本はそんな「フリ」「現実」を突きつけられたような感覚だった。

 

現実を見て見ぬふりしたあのときに、時間を後戻りさせられ、それを思いださせられたから、

途中で本を閉じ、少し時間を置いてまた読んだ。

 

本を閉じた瞬間。

〜「今日は揚げもの、食べたくない。」

旦那と自分のあいだに、一体何を挟めばいいのか。〜

 

〜俺に持ち家があるって知った時、サンちゃんはどう思ったの?〜

 

〜俺はねえ、サンちゃんがここから何があっても出て行かないってこと、初めから分かってたよ。〜

 

 

夫婦の間だけでなく、友達や家族、職場の人間関係であっても、

「朱に交われば赤くなる」

という言葉もあるように、

その「関係」に境目がなくなってきてくることはよくある話。

 

一瞬「あれ?」って違和感を感じたとしても、その違和感をなかったことにするのもよくある話。

 

この本の中では、夫婦の顔が似てくることが発端で、「何か」に気づいていく。

「顔」っていうのは、昔からその人自身があらわれるところだって言われたりする。

「顔」は年々変わっていくし、「顔」はその人の印象にもなる。

 

「違和感」を感じ生きることが幸せかどうかはわからないし、

「違和感」を見なかったことにして生きることが幸せかどうかもわからない。

 

でもその「違和感」に気づいたとき、

それを見て見ぬふりできなかったり、そのことに対して何か発言したり。。。

そういう人を人は「めんどくさいやつ」とか「ひねくれたやつ」とかってなっちゃう。

だから、ひねくれたやつが、ワタシは好きなのかもしれない。

 

「まあ、世の中には似たような夫婦がゴマンといるしね。

そうだね。

それもいいかもね。」