『紙の山羊』 山家望
山家さんにはまっている。
『紙の山羊』は『文學界 2023年1月号』に掲載されている。
『紙の山羊』の主人公は行政書士の相川。
相川はある日、奇妙な仕事の依頼を受ける。
それは謎の人物に教育を施すこと。
謎の人物とは実は人物ではなかった。。。
簡単な手続きに必要な申請書類等を誰でも簡単にできるようにするシステム作りだった。
相手は人ではなくAIだったわけだ。
相川は、悩んだ挙句、そのAIを育てる仕事を引き受ける。
山家さんの作品は、その発想もおもしろいし、登場人物の深層心理が、その人物の発する言葉や行動で、まるで目の前にいるかのような感覚になる。
だから、読んでいてとてもおもしろい。
この主人公の相川にも感情移入させられた。
題名の『紙の山羊』について考えてみた。
この作品の中に「山羊」は登場しない。
たぶん、『紙』が『アナログ』 『山羊』が『それを食べるもの』ということではないかと思った。
AIにアナログな仕事は奪われていく、それを山家さんは『紙の山羊』という題名に託したのではないかと思った。