急なHbA1cの改善 | ほぼ年中無休 もりぞの内科の「ホンネでぶつかる医療の話」

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専門は糖尿病ですが、内科一般診察しています。時に子供も。糖尿病で病院を迷われている方、介護施設を探している方、ご相談下さい。


糖尿病の 検査で 超メジャーな


HbA1c


これが 下がると みんなとても 良い笑顔をされます。(=⌒▽⌒=)



私も 嬉しいニコニコ




でも いつも喜んでばかりでは いけません。 (`・ω・´)


70代 男性の HbA1cの経過です。





ずっと HbA1c 7% 台だったのに


急に HbA1c 6.2%になっていますね。




photo:01





iPhoneからの投稿





両手を挙げて わーい 今回良かったですね。



で 終わってはいけません。 


 



70代男性で 特に普段と生活変えたわけでもなく 治療法変えたわけでもなく


随時血糖も いつもと同じくらいの値です。






それなのに急に HbA1cが改善しています。 ちょっと おかしいな。



 

ここは なにかを感じ取らなければ 臨床医として。




こういう時は  見かけ上の HbA1cが改善しているだけのことがあります。




見かけ上の HbA1c??





HbA1cていうのは  赤血球の 中の Hb(ヘモグロビン)が 糖と くっついている割合です。




 

なんらかの 原因で 赤血球の ターンオーバーが亢進しているときは、見かけ上HbA1cが低くなることがあります。






赤血球が骨髄から血中に出てきて壊されるまで約120日間といわれています。

  

糖は120日の間少しづつヘモグロビンにくっついていきます。




だから最初の方に作られたヘモグロビンには沢山糖がくっついていますが、 最近できたヘモグロビンには まだあまり糖がくっついていません。










急に血液がなくなるような状態になると、それを補うために、骨髄から新しく赤血球が沢山供給されますので、相対的に新しい赤血球が多くなります。

 


まだ 糖とくっついてない新しい赤血球(ヘモグロビン)がふえるのでHbA1cが低くなります。







急に血液がなくなる状態で 一番頻度の多いのは 出血です。


溶血性貧血とかもありますが稀です。

若い女性なら 月経とか婦人科疾患もありますが、この方は男性なので

 



消化管出血 を最初に疑います。 腎臓が ちょっと悪いので腎性貧血も考えないといけませんが、腎性貧血はそんなに急には こないので。






消化管出血なら おなかが痛くなったり、黒色便がでたりするのですが この患者さんはなんの訴えもありませんでした。





ちょっと 貧血を疑って、眼瞼結膜を診察すると



まっ白





やばい!! あわてて 貧血チェックすると  予想通り Hb 6.7g/dlと低下していました。






紹介すると 十二指腸潰瘍でした。

 


 

こういう場合 見逃されるケースも少ないくないので、今回見落とさなくて 良かったと思いました。




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もりぞの内科 年中無休
(12/31 1/1 1/2除く)
糖尿病診療

院長 森園 茂明
福岡県北九州市八幡西区上上津役2-14-17

電話:O93-611-5335

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なにもしないのに 急にHbA1c改善したら、貧血を疑いましょう。