エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(12) 送配電の費用負担方法を変える[HRPニュースファイル2045]
http://hrp-newsfile.jp/2019/36
幸福実現党 政務調査会エネルギー部会
◆電気料金の3割を占める託送料金
小売全面自由化が施行された2016年4月以降の電気料金は、原
このうち託送料金は、おもに送電・変電・配電にかかる費用で、一
電気料金のうち託送料金の占める割合は、家庭用で約30%、産業
◆日本では固定費の多くが従量料金で賄われている
送配電事業は典型的なインフラ型産業であり、総費用のうち約80
一方、託送料金の内訳は27%が基本料金、73%が従量料金であ
これは、電気を多く使う利用者が、あまり使わない利用者に比べて
しかし、今後再エネのコストが下がり、ほぼ「限界費用ゼロ」(※
また、需要側の蓄電池や電気自動車(EV)などを送配電ネットワ
送配電ネットワークの固定費負担の公平性を高め、柔軟なアクセス
◆固定費回収をめぐる経済学の論争
インフラの費用負担の方法について、経済学では古くから論争があ
米国の経済学者ホテリングは、あらゆるものは限界費用で販売され
彼は橋の例を引いて、「通行料金が無料の橋と有料の橋で建設費は
実際に、米国のF・ルーズベルト(民主党)政権がニューディール
これに対して米国の経済学者コースは、価格は限界費用と同じであ
日本では、1951年に松永安左エ門氏が地域独占・民営の電気事
前述の2人の経済学者の中では、どちらかというとコースの考え方
◆インフラの費用負担に対する日米の考え方の違い
しかし、米国では民主党だけでなく、「小さな政府」を標榜する共
例えば、アイゼンハワー政権は、ドイツのアウトバーンに倣い、全
また、現トランプ政権も、総額2兆ドル(約220兆円)のインフ
一方、日本では伝統的に、インフラのコスト負担を直接の利用者に
これは戦後の資金不足も理由の一つですが、自家用車がぜいたく品
現在も日本では、インフラに投資するよりも社会保障の充実や教育
しかし、自家用車の有無にかかわらず、高速道路は人の移動や物流
ただ、日本では高速道路の料金が高いことが、新幹線や大都市圏に
◆送配電ネットワークに国費を
さて、今後は送配電ネットワークの増強・更新・次世代化のために
現政権はそのコストを託送料金に上乗せして回収することを検討し
将来の送配電ネットワークの役割は、これまでの単なる電気の流通
このことを考慮すれば、送配電ネットワークのコストは、託送料金
なお、国内のエネルギー資源が乏しく、日本と似た一次エネルギー
韓国の電気料金が安い理由は、政府出資の電力会社が電気を供給し
このため、電力会社が赤字になっても、安い電気料金が維持されて
◆安くて無尽蔵のエネルギーで社会が変わる
原発や再エネなどの化石燃料に依存しない電源は、多額の固定費を
エネルギーの制約がなければ、未来の社会は大きく変わります。
リニア新幹線で都市間を移動し、都市内では自動運転の「空飛ぶク
幸福実現党は、2050年の社会の大変革を見据え、政府主導で送
参考
※1 「料金設定の仕組みとは?」 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/
※2 「各一般送配電事業者の託送料金平均単価等」 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/
例えば、低圧の場合の1kWhあたりの託送料金平均単価(税込)
※3 「小売電気料金及び託送料金の推移 日本と海外の比較」 消費者庁 2016年6月29日
https://www.cao.go.jp/consumer
※4 「送配電網の維持・運用費用の負担の在り方検討WG」資料 電力・ガス取引監視等委員会 2017年6月20日
https://www.meti.go.jp/committ
※5 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。
※6 『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』 ジェレミー・リフキン NHK出版 ISBN978-4-14-081687-5
※7 正確には、基本料金と従量料金の「二部料金制」を支持した日本の
※8 州間高速道路: インターステート・ハイウェイ(正式名称はDwight David Eisenhower National System of Interstate and Defense Highways)
※9 Public road length by functional system and Federal-aid highways, Highway Statistics 2017, Federal Highway Administration, US Department of Transportation
https://www.fhwa.dot.gov/polic
※10 「トランプ氏と野党、2兆ドルインフラ投資へ協議開始」 日本経済新聞 2019年5月1日 https://www.nikkei.com/article
※11 「エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(11) 送配電ネットワークを次世代化」 HRPニュースファイル 2019年6月24日 http://hrp-newsfile.jp/2019/36
※12 「再生エネ、送電線増強へ全国負担 コストなお課題」 日本経済新聞 2019年5月16日 https://www.nikkei.com/article
※13 「電気料金の国際比較 2016年までのアップデート」 筒井美樹ほか 電力中央研究所 2018年1月 https://criepi.denken.or.jp/jp
※14 「『電力がぶ飲み大国』韓国の現実」 野口透 JBpress 2011年8月4日
https://jbpress.ismedia.jp/art
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