ひとつのことなら誰だって出来る
ひとつのことなら、誰だって出来る。
自分の興味が向くものや、仕事を複数仕掛けていく事は、
大変だが、考えようによっては楽しいことになる。
ただし、それに対して同調してくれる人間が、
何人いるかによると思う。
僕のやっている映画作りという仕事は、常にリスクと背中合わせ。
なぜなら、テレビドラマと違って、
オンエアに追いかけられることもないし、
言ってしまえば、別に作らなくたっていいものという究極の判断を
されてしまうもの、それが映画だからだ。
だからと言って、同時並行させていく企画にも限界があることは
解っている。
しかし、同時に全ての企画が着地していくという保証もどこにもない。
そのリスクと常に闘いながら、企画の着地=製作までこぎ着けるのが、
僕たちの仕事だ。
その間には、山あり谷あり。
思いもよらない障壁が待ち受けている。
撮影直前で、プロデューサーと監督の考え方の違いであったり、
はたまた、出資者と製作者の考え方の違いであったり、
様々な理由で、上手く行っていた企画も流れる。
ただし、そのリスクを食い止める力という物があるとしたら、
それは、「これを絶対にやるんだ!」という情熱を持ち続けられる人間と、
それを理解する人間同士の信頼関係。
これに他ならない。
そんな眼に見えない物が実は映画を成功に導くということを、
忘れてしまうしまうと、
その企画は不幸になってしまうのかも知れない。
現時点で同時並行している物がいくつかあるが、
いろいろな意味で「待ち」の状態の物もある。
この「待ち」の期間の過ごし方を上手くやらないと、
自分を追いつめることになりかねない。
企画が動くポイントには、三つあって、
①中身が力を持った時
②キャスティングが固まった時
③お金が付いた時
どれが先に来るかはその企画の特性によって違う。
だからこそ、それらを見極めつつ、
僕らは同時にいくつかの物たちとつきあわざるを得ないのだ。
すべての物に愛情を注ぎ続けるのは大変なことだが、
不公平な注ぎ方だと、
企画の方から不満を言い始める事がしばしばある。
もちろん、企画が口を開くわけもなく、
それはそれに関わる人間が代弁を始めるのだ。
「このままじゃ危ないですよ!」
「何が面白くてこれをやっているんですか?」
「意味があるのか?」
などなど。
卵を暖めている期間に親が逃げ出す事ほど悲しい事はない。
愛情を込めて暖めているけれど、
時にすきま風が吹いたりもする。
しかし、その時こそ逃げずに踏ん張るのだ。
焦りも禁物だ。
ギリギリまで諦めない。
そんな愛情で企画は成就すると思うのだ。