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守山さくら内科クリニックです

 

本日日本での新型コロナ肺炎の重篤患者さまの20名が

人工心肺を使っているとの報告がありましたね。

その内4名は快方に向かっているとのこと。

 

人工心肺とは、心臓と肺の代わりをしてくれる装着で、人間の体から血液を十分に酸素化してそれを体内に戻して治療する方法です。

大変難しい手技なので誰でもどこでも簡単にはできません。

集中治療室を設置している大病院に限られた数しかないと思います。

 

ECMOを使った治療というのは一般的ではありません。

非常に高度な技術を要する治療であり、高度な専門的知識をもった医療従事者にしか行えないものです。

通常高齢者の肺炎に対しては使用されることは少ないのではないかと思います。

でも現在コロナウイルス感染者の治療では患者さまが重篤化すれば、要するに人工呼吸器だけでは生命維持ができない場合に人工心肺を用いて治療をしているということです。

 

この事を知ると、やはりこのコロナウイルスによる肺炎とは、かなりやっかいなものなんだなーという事がわかります。

人工呼吸器で酸素を送り込んでも肺組織自体のダメージが強いため、

患者さまの肺では酸素化する事ができないという事です。

肺組織のダメージが強すぎる場合は、もう回復することが不可能となり

死に至るということになるわけです。

 

20名中最低でも4名がECMOのおかげで救命できるとするなら、やはり医療レベルの差で

救命率が大きく変わってくることになります。

 

現在の20名の患者さまがたも、このウイルス流行の初期段階であったため、その治療まで

してもらえることができたのかもしれませんが

もっともっと流行していけば、ECMOの数が足りなくなりますし、またあるいはECMOを使って治療する余裕すら無くなっていくかもしれません。

 

つくづく患者数をできるだけ抑え込みながら重症患者さまの治療を濃厚にできるように

というのが理想的にはなりますねー・・・。

 

ところで武漢から出た論文によると

 

入院が必要になった年代は20歳以上のAdultsが98%でした

要するに、19歳以下の入院患者は2%となり、ここからも若年者では重篤化しにくい

という事がわかります。季節型インフルエンザなどではこの入院が必要な成人のパーセントは70%程度となるためインフルエンザと比べると子供の重症化は非常に少ない事がわかります。

幼い子供の重症化が少ないという事はこの恐るべきウイルス感染の一番救われる特徴だと思います。

 

そして軽症者と重症者との一番の症状の差は「呼吸苦」でした。

咳・発熱・鼻水・咽頭痛などでは差はありません。

まあ、肺がどの程度侵されているのかという事なので、この結果は最もなんですが

病院に中々行けない状況で一番気にしないといけない症状は「呼吸苦」です。

自分で確かめる一番いい方法は、1分間の呼吸数が20を大きく超えて、肩で呼吸をしないといけないような状態になっていないのか?ということです。

「なんとなく息苦しい」とか「胸のところが重たい感じがする」ではなく

実際にはぁはぁと息をしているような状況であるのか?ということで、

風邪症状の後にこれがでてきたら肺炎をおこしている可能性が非常に高くなるため

入院治療が必要となります。

 

最近、重症患者さまにオルベスコというステロイド吸入(随分以前から発売されている喘息治療薬です)を使用したところ、著明に症状が改善したという報告がありました。

これは朗報です。

ステロイド吸入ですので、全身投与に比べると副作用が少なく、

これからの治療の効果をさらに上げてくれるのではないかと期待しています。

オルベスコはもともとそれほど流通していない薬剤なので、現在使っている患者さまのこともあるため一旦流通している過剰分は引き上げられていると思います。

現在は簡単には手に入りません。

ただメーカーはこれから増産していくと思いますので

入院などが必要になる方には使用していけるようになると信じています。

 

 

アビガンについては、重症患者さまには使用されているのでしょうが

今のところ朗報と言えるようなレベルの結果はでていないかもしれません。

アビガンも抗インフルエンザ薬などと同様で、ウイルス量が少ない時期に使われる事が

望ましいんでしょう。

ただ8割以上は軽症で終わるようなウイルス感染に対して、副作用がタミフルなどと比べるとかなり多いこの薬は簡単に投薬できないのが現実だなーと

現時点では個人的に思っています(実際は違うのかもしれませんのでご了承ください)

 

 

手洗い・うがいをきっちりする。

手を不用意に顔にもっていかない。

ライブ・スポーツジム・密室での食事会・長時間の人と対面での会話(向かい合わないということが大切かと思います)を避ける。

しんどいことですが、今しばらくこれを守り感染者数をなるだけへらし

乗り越えましょう。

 

世界経済はかつてないような状況になっていくでしょうし

国内産業も根本から見直さなくてはいけない状況になるでしょう。

たくさんの失業者が出たり、あるいは以前は必要とされなかった業種の需要があがったりとか様変わりしていくのかなと思います。

互いに助け合い、資産の分配をする覚悟でこの苦境を乗り切らなければならないと感じています。

 

自分の大切な人を守るために、弱者を守るために

身勝手な行動をしない。

人を不安にさせるようなデマを流さない。

買い占めなどをしない。

転売などという行為は卑劣極まりないです。

日本人としてプライドをもってこの苦難を乗り越えていきましょう。