どこの国でも同じなんでしょうが

何か一大事が起これば文句を言わないと気が済まない人達がいます。

それがさらにエスカレートしていき、「いくらなんでも・・・」というくらい

極端に走る意見が出てきます。

今は情報がタイムリーにネットで拾ってくることができますが

その情報が信頼できるものかどうかを判断するのは各個人です。

〇〇新聞とか〇〇放送とかって最もらしいソース先のような名前をつけて

投稿すれば、人間心理として信じてしまいがちです。

 

今回の事で一番残念に思うのは

PCR検査を全例でやれと言っているエキセントリックな人たちがいるということです。

机上の空論とはまさにこの事で、

疫学的には、、というか学問的にはそれが理想かもしれないけれど

生身の人間が住んでいる社会で、受けられる医療も限界がある現実世界で

全例検査などしたら一体どうなるのかすら想像もできないのかと疑ってしまいます。

 

周りの良識ある医師達は、概ね今の政府の方針には賛成しています。

もちろん不備はたくさんあります。

まあ私が不満に感じていることは、一体PCR検査を何例しているのか?、どれくらいの検査数で陽性率がどの程度なのか?そのあたりは日常診療において非常に参考になるので明らかにしてほしいということです。

 

ただ、本当に今大切なのは軽い症状の人は自宅で待機すること。

そして家族と濃厚接触しないように気をつけること。

これしかないんですよね。

いつもと違う風邪なら受診する。

 

そしてここがポイントになるのですが

いつもと違う風邪である場合にどの医療機関に行けばいいのか?

その際にきっちり対応できる体制があるのか?

答えは、残念ながら今のところは「no」なんですよね。

医療機関に行っても、コロナ感染専門外来などはほぼありませんから

一般診療の中に組み込まれて診療を受けます。

そこで診療を受けたとしても、薬処方のみで帰宅となるかもしれません。

採血や胸部レントゲンが施行されるかどうかもその時の医者の判断だったりで

変わってくるのかもしれません。

PCR検査までしてもらえるのか、様々な事が不透明です。

こうなってくると、じゃあ死ぬまで待てという事か?あるいは救急搬送されるくらい悪くならないと見てもらえないのか?となってしまうんですね。

 

一体どうしたらできるだけ混乱なく、この事態を乗り切れるのか?

 

やはり風邪症状の方だけをなるだけ個別に診療し(他の方と一緒の空間になるだけいないようにする。風邪症状の方同士も近づけないようにする)、風邪の方にはPCR検査を行い

陽性であっても症状が軽ければ自宅待機。

濃厚接触者である方々も検査をし、陽性であっても症状がなかったり軽微なら自宅待機。

 

これを国民全体がきっちり受け入れられるかという事です。

自宅待機を受け入れる事ができるのであれば、PCR検査の数を増やしたとしても

混乱は起きにくいでしょう。

今後もし患者数がどんどん増えていけば、重症の患者様優先での入院になります。入院しなければいけない状態とは、酸素吸入が必要か、呼吸器管理が必要か、点滴管理が必要かなどということです(もちろん心臓・腎臓・肝臓などの機能不全もあるので呼吸に関することだけではありません)。まあ要するに入院しなければ直ちに命に関わってくるような状態である場合に入院となります。

という事は口からご飯を食べることができ、解熱剤などの薬を飲むことができ、酸素も必要がないような肺炎であれば自宅療養という事もあるかもしれません。

 

新型コロナ肺炎はインフルエンザ肺炎と比べると(インフルエンザも重症化すると肺炎を起こします)回復に時間がかかるというデータがあります。

なので重症化した高齢者の方々などの入院は長くなる事が予想されます。

とにかく今はベッド数を確保しておかないと全国で増えてくるであろう患者様を収容することができません。

物理的にはベッドはいくらでも作ることができますが

武漢の仕切りもないベッドがただただ並べられた体育館のようなところで、寝かされるだけ、、、医者は来ず看護師もほとんどいないという事になりかねません。

医療関係者の中にも感染者は出てくるでしょうから、ベッドは増やせても医療従事者を増やす事は不可能です。

 

結局のところ、やっぱり痛みわけなんだろうと思います。

有事に際し、完璧な事を求めるのはあまりに自己中心的です。

煽りは自己中心的な行為を助長するだけです。

買い占めもそうです。

全例検査などという意見もそうです。

政府を批判をして唾を飛ばすんではなくて、感染拡大をできるだけ抑えるように

皆が協力し合う。

改善点についてはお互いに話し合う。

良い方向に向かうように互いに知恵を出し合う。

弱い方々を守る

子供を守り、そしてこのウイルスに関しては非常に脆弱である高齢者を守る

これに尽きると思います。

 

東日本大震災の時もそうでしたが

有事に際し、声を荒げて人を責める事をやめてほしいと思います。