3月14日に三種町議会の一般質問が行われました。

 

統合中学校建設費を含む令和6年度当初予算が審議される3月議会ですので、私の一般質問も関連した内容で行いました。

質問は①山本中学校及び統合中学校の安全対策②統合中学校建設工事期間中の対策および通学路の改良工事③スクールバスの運行④小中併設校の4点。

 

①山本中学校及び統合中学校の安全対策では、昨年の水害を受けてどのような対策を講じているのか質問しましたが、水害以前の対応を継続しているとのこと。内容を聞いても生徒の安全を守れるとの確証が得られるものではなく、一層懸念が増す結果となりました。生徒の安全が守られるよう、引き続き働きかけていきたいと思います。

 

②統合中学校建設工事中の対策および通学路の改良工事は2度目の質問ですが、工事直前になっても具体的な対策が決まっておらず、業者任せの姿勢に驚きました。対策を講じた場合、工期が伸びるか追加費用が発生するおそれがありますので、生徒の学習環境と併せて、経緯を見守る必要性を感じました。

 

③スクールバスの運行については、当初8台としていたバスの台数を7台に減らし、30~40分の通学時間を想定しているとのこと。周辺自治体での事例を見ると年間約1億円の経費が発生しているため、長期に運行を維持できる見込みか問いましたが、明確な答えはありませんでした。将来運行削減によって生徒や保護者の負担が増えないよう見守ってまいります。

 

④小中併設校については、これまでほとんど検討されていないとのこと。

上小阿仁小・中学校の視察や、文科省の情報に基づいて併設校のメリットを示したうえで、建設費を最適化するために①当面は既存校舎を活用した併設校②将来的にはコンパクトな併設校を新設という案を示して検討する考えがないか伺いました。

町長の答弁は、当面は校舎を有効活用でき、将来世代の負担を減らしたいので現計画で進めたいというもの。

わずか10年で生徒数が2/5になるのが有効活用とは言えませんし、長期にわたる多額の借り入れは将来世代の負担になります。非常に残念な答弁でした。

 

質問の詳細は以下に記載します。

 

①山本中学校及び統合中学校の安全対策について

 

【水害対策について】


昨年7月の水害を受けて、山本中学校及び統合中学校でどのような安全対策を講じるのか、昨年の9月議会で確認したところ、ハード的な対応が困難なためソフト的な対応をとるとの説明があった。その後具体的にどのような対応がとられているのか質問する。
 

問:水害が予想される場合、登校前に分かっていれば登校を取りやめる、登校後に分かれば下校させるとのことでしたが、このような対応をいつから実施しているのか伺う。

答:水害以前、かなり前から消防計画とマニュアルに定め、手直ししながら実施している。

問:昨年の水害を受けて見直しているものと思ったが、見直しがないことに驚いた。水害対応のタイムラインは作成しているか?また登校を取りやめる、または下校させるときの判断基準はどのようなもので、判断は誰がどのように行うのか? 

→タイムラインではなく、マニュアルや災害種別に応じた指針を定めている。判断は、町からの情報、三種川上流部の住民の情報をもとに、学校が教育委員会と協議したうえで行う。

問:上記対応はどのように教師や生徒に周知されているのか、また訓練は実施されているのか?
 

答:防災総合訓練を実施している。


問:登校後に下校させる事態となった場合、通学路の安全確認など、実際に下校させるまでに様々な確認が必要となることが予想される。その間も災害リスクが増大する可能性があることを考えると、対策の実効性に疑問を感じるが、町長の見解を伺う。

答:1~2時間対応する時間があるので、できることはかなりあると考えている。

問:1~2時間はあっという間である。タイムラインも整備されておらず迅速な対応が行えるとは思えないので、生徒の安全が確保できる確証は持てない。

【土砂災害対策について】


去る1月23日の全員協議会で、新たに2か所の土砂災害警戒区域該当箇所が報告されたため、その詳細について伺う。

 

問:これらの土砂災害警戒区域該当箇所はいつ見つかったものか?

答:令和5年度に入ってから測量で見つかった。

問:高さと傾斜で分かるので、もっと早期に分かっていて当然である。2か所のうち1か所は盛土で軟弱地盤でもあるとのことだが、土砂災害特別警戒区域に該当する可能性があるのか?また校舎建設にあたって安全上の問題はないのか?

答:地質調査をもとに杭の長さを選定することで安全性を確保するなど、特別警戒区域にならないようにしている。

問:県に確認したところ、県は土砂災害警戒区域の指定・解除のみを判断し、当該箇所の安全性の判断は行わないとであった。今回報告された土砂災害警戒区域該当箇所の安全性は、誰が、どのように判断したのか?


答:安全対策はとても重要なので、土砂災害警戒区域の要件をクリアできるように対策している。

問:教育委員会に安全性を判断できる人材はいないはずである。誰が責任を取るのか?去る1月23日の全員協議会で示された工事費には、水害対策および土砂災害対策で新たに約7億円が盛り込まれている。これだけ多額の費用が新たに発生したのは、昨年の計画の精度が十分でなかったためではないか?7億円の安全対策費は、新たに用地を造成するために必要と見込まれていた4億円を大きく上回っている。7億円の費用を費やすことの妥当性について、町長の見解を伺う。

答:工事費が増えたが、昨年提示したのは一般的な工事の概算金額でしかない。調査結果により強固なものが必要となったため増えた。

問:数字に責任を持ってほしい。30億円も43億円もあやふやな数字だったようだが、議会はこれらの数字で判断して進めてきている。

②統合中学校建設工事期間中の代替施設、安全対策、振動・騒音対策および通学路の改良工事について

 

山本中学校校地内に統合中学校を建設する場合、建設期間中の学校運営への影響が懸念されることは、以前にも指摘したとおりである。学校建設は、子ども達の教育環境、生活環境の安定に十分配慮したうえで行われるべきであり、昨年質問した際はまだ具体的に検討されていないとのことだったので、工事を間近に控えた今、どのような対策を講じているのかを再度確認する。


問:工事車両の通行に伴う通学路の安全対策、校地内の公道の通行量増加に対する安全対策について伺う。

答:これまで説明してきた通り、工事車両の通行規制を予定している。
 

問:グラウンド、テニスコート他、工事により使用できない施設の代替施設の確保と、代替施設までの移動時間も考慮した利用計画について伺う。

答:学校と調整する、または校外施設を利用する。

問:工事中の振動、騒音対策はどのように行う予定か?

答:落札業者と協議する。

問:通学路の改良工事はいつ、どのように行う予定か?また工事による通学への影響をどのように回避する予定か?

答:冠水対策で道路をかさ上げした場合周辺への影響が大きい。早期に通行止めにするなどの対応を考えている。

問:学校運営への影響を避けるために工程を調整した場合、工期が伸びる可能性が非常に高いと思われる。現在示されている工程はこのことを想定したものになっているのか?

答:影響を考慮していない標準工程である。工事前に条件を検討して仕様書に盛り込む。

問:工事による影響を加味すれば当然工期が伸びる、工事費が上がるなどの影響があるのではないか?

答:標準工期だが通行規制等を行っても工期に影響はない。

 

③スクールバス等の運行について

 

三種町立小・中学校再編準備委員会において、統合中学校建設地を決定するための判断材料として、スクールバスの運行計画が提示された。それ以前には最長50分とされていた通学時間が、おおむね30分以内となる計画を提示され、これを基に建設地が決定された。スクールバスの運行方法によっては保護者の負担が大きく変わるため、再編準備委員会では多くの意見・要望が出されている。
前回の質問から2年近くが経ち、学校建設を間近に控える現在、スクールバスの運行についてどのように計画しているのか改めて伺う。


問:現在においても、希望するすべての生徒がおおむね30分程度で通学できるようスクールバスを運行する計画か?

答:令和5年度に運行原案を作成し、令和6年度に運行計画策定を予定している。運行原案ではおおむね30~40分の乗車時間だが、今後検討委員会で検討して決定する予定である。

問:学校再編準備委員会でも多くの要望があったが、部活動などの送迎に、土日等休日も含めて、スクールバスを活用する考えがあるか?

答:山本中学校同様、授業のある日はスクールバスに合わせて部活動を終えて帰宅させる予定。

問:長期休暇中の部活動などの送迎に、スクールバスを活用する考えがあるか?

答:山本中学校同様、平日は部活に合わせてスクールバスを運行する予定だが、子ども一人一人に対応するのは困難である。

問:八峰町では7台のスクールバスを運行しており、年間約1億の経費がかかっている。スクールバスの運行には多額の経費がかかるが、運行計画を長期にわたって維持できることを、財政の観点から確認しているか?財政負担から運行内容を見直し、生徒や保護者の負担が増す事例が多い。

答:直営か委託かは決まっていないが、運行は必要である。生徒数の減少により毎年利用者数が変動し、運行方法も見直しが必要になる。

問:見直しは必要だが、生徒と保護者の利便性を維持することが重要である。

④小中併設校について

 

先日、上小阿仁小・中学校を視察する機会を得た。
視察の中で、小規模校のメリットは、教師と子ども、子ども同士が顔の見える関係であること、併設校のメリットは、小学校の教師が引き続き関わることもあり、中一ギャップ(中一ギャップとは中学校入学時の環境の変化に子どもが苦しむこと)が解消されること、小学生が中学校の教師から専門的な教育を受けられることであると伺った。
デメリットとしては、中学生が身近にいるために小学6年生のリーダーシップが育ちにくいとのことだったが、メリットに比較してデメリットは小さいとの説明だった。
文部科学省によると、小・中併設校の導入により①中学生の不登校出現率の減少②市町村又は都道府県独自の学習到達度調査、全国学力・学習状況調査における平均正答率の上昇③児童生徒の規範意識の向上④異年齢集団での活動による自尊感情の高まり⑤教職員の児童生徒理解や指導方法改善意欲の高まり等の意識面の変化、といった効果が、ほぼすべての市町村においてみられているとのこと。
そこで、本町における小・中併設校の検討状況について質問する。
 

問:本町においても少子化等により小・中併設校の導入を検討する機会はあったものと推察するが、これまでの検討状況を伺う。

答:検討は行われていないが、委員会で一貫校の提案はあった。

問:統合中学校の建設費が検討当初と比較して2倍近くに増加した現在、既存校舎を活用した小・中併設校の検討も行うべきと考えるが、町長の見解を伺う。

答:統合中学校は令和17年までは1学年2クラスを維持できる。

問:ここ数年の出生数を見ると、統合中学校の開校後10年で、生徒数がおよそ2/5の100名ほどになることが予想される。生徒数が減少した時点で小・中併設校を建設することがより合理的な選択ではないかと考えるが、町長の見解を伺う。

答:学校建設により教育の充実が見込まれており、しばらくは校舎を十分に活用できる。子どもの減少に合わせて小学校を1校にするのは子どもの負担が大きい。旧町ごとに年間10人の出生数が維持できれば小学校を維持できる。今でなければ建てることができない。将来負担を減らしたい。有利な財源を使わなければならない。長期的な財政はさらに厳しくなるが、計画したうえで提案しているので、理解してほしい。

問:当初計画の2倍にまで工事費が膨れ上がっており、小中併設校含め様々な選択肢を検討するのが常識的な判断である。借り入れは長期にわたり、今の子ども達が将来返済していくことになる。一度立ち止まって計画を見直すことが必要である。