「シブすぎ技術に男泣き!」
見ル野 栄司(2010)中経出版


文系学生→銀行に就職→事務系キャリアの私にとって、製造業の現場は未知の世界。 だから「ものづくり高度化法」などの中小企業支援策についてはイメージが湧かない。

というか、


『中小製造業の海外進出が進展する今日、「ものづくり日本」とのビジョンはいかがなものだろう?』


などと考えてしまったりする。近所の本屋でこの漫画を手にしたのも、自分に欠けている中小メーカーの感覚を知るのに多少とも役立つかな…との発想から。 目次を読んで買うことに決めた。 まず、書かれているタイトルが笑える…


 第1話「大赤字だろうが、エンジニアはいいモノを作りたいンだ!」

 第10話「ダメな機械ほど愛着が!エンジニアの悲しい性に男泣き!」

 第14話「誠意は赤字に耐えてこそ…瀬戸際エンジニアのバラード」


…ダメじゃん!!  再生支援を仕事にされている診断士の先生は、こんな職人魂の塊みたいな会社や経営者のお相手をするケースが多いんだろうか? もちろん、漫画のタイトルとして自虐フレーズを付けているわけだが。


内容は、とても売れそうにないメダルゲーム機などの珍製品、テキトー課長ほかいかにも居そうで笑えるキャラが登場、そしてパクリ、倒産など、おそらく実話をもとにしたものだろうが、たしかに哀しくも可笑しい。そして、中小製造業のものづくりに対する愛着やプライドが伝わってくるし、私などは「なるほどナ」と参考になるところがあった。
作品的には、もう少し構成を変え脚色を施していけば新味のあるドラマとして結構ウケる可能性があるんじゃないかと思った。


これからの日本を考えると、「ものづくり」へのこだわりは、なんとも是非が難しい。 ただ、これを読んで改めて気づいたのは、


「細部にまでこだわる美意識や完成度の高さの追求は日本人の特性であり、強みにも、弱みにもなる。」


ということ。 製造業もサービス業も、文化・芸術もみんなそうだなと。 強みとして活かさなければならないのは言うまでもないことだが。