「めまい」を訴える患者さんは少なくありません。
「めまい」は大きく2種類に分けられます。
自分の体や天井がグルグル回るように感じる「回転性めまい」と、
立っているとクラクラする、あるいは宙に浮いたように感じる「非回転性めまい」です。
【回転性めまい】
耳の奥にある内耳の異常によって起こります。
内耳には「三半規管」と「耳石器」があり、リンパ液で満たされています。
頭を動かすと、このリンパ液に流れが生まれ、これが信号となって脳に伝わり、
身体を平衡に保っています。
三半規管にリンパ液が溜まり過ぎると、回転性めまいに加えて、
耳鳴り、嘔気、難聴などの症状があらわれます。
これが「メニエール病」です。
また、耳石器からはがれた耳石が三半規管に入り込むことによって発症する
「良性発作性頭位めまい」という病気もあります。
中高年の女性に多く、症状は比較的短時間でおさまります。
治療は、いずれも内服薬、点滴療法が中心ですが、
難治性のものに対しては手術を行うこともあります。
【非回転性めまい】
脳梗塞、脳腫瘍など脳血管の病気によるものもありますが頻度はまれで、
大部分は起立性低血圧(立ちくらみ)や、ストレスや自律神経の乱れによる
ものです。精神安定剤等の薬の副作用によるものもあります。
治療は原因疾患の治療が第一ですが、十分な休養、睡眠、温熱療法、運動療法などです。
画家ゴッホは晩年、回転性めまい、耳鳴り、嘔気、難聴に苦しみ、
自ら左耳を切り落としました。おそらくメニエール病に苦しんでいたものと思われます。
「時は 私に めまいだけを残してゆく・・・」
小椋佳の名曲ですが、この主人公の場合は、
おそらく恋の悩みで自律神経が乱れたことで起きた「非回転性めまい」でしょうね。
【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
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