その十 ~アサダタイキと中井正樹のマンガチック舞台~ | The Stone Age プチロングラン公演記念                  森達行の『The Stone Age 今昔物語』

その十 ~アサダタイキと中井正樹のマンガチック舞台~

最初に、チラシを作成した森★直子さんに一言。
あなた天才!見事なセンスに脱帽。

チラシを見ていただきたい。


JUNGLE劇場’03「まんがの星」(2003年7月 ジャングルインディペンデントシアター)


某有名漫画家の特徴を見事に再現した上に、

この絵の2人がThe Stone Ageのどのメンバーかが一発で分かる。

私はこのチラシを見て爆笑したよ。



さて本題。
この物語の主役は中井正樹とアサダタイキである。

そして二人の起用は今後に繋がる成功を収める。
最近の作品「俺たちは存在していないことになっている」は黒衣の3人が主役だったように、

The Stone Ageのキャスティングの幅を広げた作品と、私は捉えている。

それがこの「まんがの星」である。



場所は狭い狭いアパートの一室。

学生時代に発表したデビュー作が、

爆発的にヒットした2人組み漫画家の中井とアサダは、

現在では掲載が全くないにもかかわらず、夢をあきらめずに漫画を描き続けていた。

そこに昔の作品のファンという編集者(一明一人)が、執筆の依頼にやってくる。

作品は方向性が異なってきた二人(中井は劇画志望、アサダはギャグ漫画志望)であるが、

何かと衝突しながらも意気揚々と作品に取りかかる。

そんな彼らと、行きつけの喫茶店のマドンナウェイトレス(野上マヤ)や、

アパートの女大家(森世まゆみ)、行方不明だった二人のまんがの先生(坂本顕)が絡んで、

夢とは何かを問いかける作品。



The Stone Ageには、二つの舞台スタイルがある。

1つは、E-1や先日の「俺たちは~」のように、一幕の舞台で、ひとつの世界観を見せる作品。

1つは、何人かの作家(鮒田、アサダ、中井)がひとつのシーンを描き、構成の妙味で見せる作品。

私は両方とも好きだ。それぞれに鮒田氏の脚本と演出が活きているから。

この「まんがの星」は後者に近い。私も音響として、バカバカしい音楽を存分に流させてもらった。



劇中劇で二人の描いたまんがを再現したシーンは秀逸。

まんがに出てくる登場人物はみんな個性派であった。

その中でも、客演の糸川さん(仏団観音びらき)の演じたキャラは、

実際の彼の行動と相まって、えもいわれぬ雰囲気をかもし出した。

樺島さん(ントログリセリン)と射場さん(P・カウンシル)の凸凹コンビは本当に凸凹だった。

そーいえば本番を射場さんのお子さんが観にきた。

お子さんを目の前にして緊張する射場さんに対して、

お子さんから「お父さん頑張って」と、

声援が飛んだ時は会場は拍手に包まれたっけ。(あかんやん!)



ヒロインの服部まひろさん(キリンバズウカ)は、

清楚でエロエロで私と鮒田氏と射場さんのハートを打ち抜き、

森世まゆみさんのミニスカート姿は、女優魂を痛いほど我々に示してくれた。

このメンバーを見て分かると思う。

そう!前回のE-1グランプリ大阪決勝で対戦した劇団から、

特に個性的な役者さんを引っ張ってきたのだ。



ここに、「そーいえば、看板役者はどうしたの?」と思う方もいるでしょう。

ぶっちゃけ彼は2.3シーンしか出ていない。

それは何故か?直前まで、他の劇団に客演していたからだ。

なんでそんな事に?

看板役者は、The Stone Ageの本番直前まで、他の舞台に出る事に引き受けてしまった。

こうなると自然に練習量が足らなくなり、

舞台の質を落とすことをタブーとする鮒田氏は、彼の出番を減らしたんだと思う。(たぶん事実)

って事だけど、ぶっちゃけ

「ちやほやされてエエ気になってる緒方くんに、頭を冷やさせた」って事だろうな。(推測)
だとしたら、観客と自分の組織をしっかりと考えて決断した鮒田氏に拍手を送りたい。