老いる【命拾いしたストーブ】 | 森小カフェ(もりしょうかふぇ) in 中道(山梨)

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ひとりの作家のうつわと茶器
そして多肉
森小の日々

去年出来たことが

 

今年は出来ない。

 

これは

 

老いの何者でもない。

 

■□■□■□■□■□

 

 

 

実家に行ったら

 

母が

 

ストーブが壊れたので

 

誰か直せる人がいないかと

 

私に言った。

 

実家には

 

反射型のストーブがいくつもあり

 

今年亡くなった猫のジローのためのもので

 

その中の2つが

 

壊れたと言った。

 

電化製品が2つも

 

同時に壊れるなんて・・

 

何かおかしい。

 

もしかしたら

 

私に直せることかもしれない・・

 

「見せて?」

 

ストーブのところで

 

母に尋ねた。

 

「電池変えた?」 「変えた!」

 

「灯油入れた?」「入れた!」

 

バカにされたような質問に

 

母は笑いながら答えた。

 

そして

 

母は

 

スイッチレバーを下して見せた。

 

「ほら着かないでしょ~!」

 

私はストーブをよく確認した。

 

そのレバーと

 

右下にある赤いボタンがあった。

 

赤いボタンには「点火」と書いてあった。

 

それを押すと

 

普通に火が着いた。

 

レバー+スイッチボタンの工程の

 

スイッチを押し忘れただけだった。

 

二人で大笑いした。

 

ストーブ2つは

 

不燃物の日に出されることなく

 

命拾いした。

 

 

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帰り道

 

何度も思い出しては笑えた。

 

笑いながら

 

ふと・・

 

人のことを笑っている場合ではない。

 

笑いながら運転しているこの時でさえ

 

時間は刻々と

 

レンガがバラバラと崩れ落ちるように

 

過ぎているのだ。

 

がんばろう。

 

 

どくしゃになってね…