約100年前に作られたと思われる

人工合成したルビーのリング。

リングの製作に手間をかけて

いる事から、その当時は安く

なかったことがわかる。

その当時、どこにあるか分からない

「ビルマ産」よりアールヌーボーで

イメージの良いファッションの国、

「おフランス産」の方が高額だった。

それが、例え人工合成されたものでも…

ルビーとして売られたので。

(3ctぐらいのルビーが3つ)

それから100年近く経ってオークション

で落札されたのが、約9万円。

天然無処理で美しいミャンマー産の

ルビーであれば、9000万円、歴史的

な価値を考えると数億円でもおかしく

なかった。1000倍以上の差。

ホンモノの宝石とは、そういうもの。

だから、この写真の指輪を持っていた

人が、宝物と思って持っていたとしたら

たいへんなこと。

悔しかっただろうし、情けなかっただろう。

宝石とは、人を幸せにして、いつか

受け継がれる時に、次の持ち主をも

幸せにするパワーを持つから「お宝の石」

と呼ばれる。

人工合成石という希少性を立証できない

モノの悲しい現実。

宝石は、何百年経っても古くならない。

ずっと受け継がれることを考えて

取り組まなければ、宝石に対するイメージも

悪くなり、宝石文化は育たない。

加熱処理したルビーの情報開示も将来同じこと

になるだろう。

写真は、上野西洋美術館に所蔵されている
ハシモトコレクションより。