販売の現場では、第三者による分析結果を
報告する通称「鑑別書」が品質保証書のように
使われているが、それは間違い。
鑑別書(分析結果報告書)には品質は書かれて
いない。
「非加熱ルビー」「非加熱サファイア」
なんて見ることがあるが、その根拠が鑑別書
だったら、それも間違い。
無処理かどうか? については、
唯一、コメント欄に「加熱の痕跡が認め
られない」と書かれてあるだけだから。
「処理をしていない」だろう、と推定する
事しかできない。
これは、宝石鑑別をする研究所が悪いの
ではない。第三者が他人の財産の価値判断
には限界があるということ。
宝石鑑定鑑別は、国家資格でもない。
それでは鑑別業者の存在価値は何なのか?
「不正を防ぎ、業界の信頼性を高めること」
だから、本来は、私たち宝石商が、
現場のサンプルを提供したり、宝石研究所
の研究に情報提供するなど、協力していく
のが本来のかたち。
お陰で、赤色ガラスをルビーと言って売る人
も居なくなったし、キュービックジルコニア
をダイヤモンドと偽って売る人もほぼ
居なくなった...
それは、良いこと。
しかし、人工合成石をルビーとして販売した
100年前の大混乱から発達した業界の鑑別書
を使った宝石の販売は、つづく50年ほど前に
始まった「結納時に、給料3ヶ月分の
ダイヤモンドを婚約指輪として贈ろう」と
デビアス社のセールスプロモーションで
一気に広がってしまい、書類がついていれば
宝石の品質判定ができなくても宝石を売る人
が多くなったのが不味かった。
鑑定、鑑別書に書かれていることが、その
宝石の価値判断のメインの資料になったから
その宝石に精通していない素人でも宝石販売
できるようになってしまった。
美しくない、しかも処理をしているルビーに
「ピジョンブラッドカラー」と業者が販売
しやすいように、良いことだけ書いている
鑑別書も多い。(そうでない研究所もごく
僅かスイスにあるが…)
ピジョンブラッドというコメントが
あったら価値の高い宝石だと、
売る人も買う人も思い込んでしまった。
今は、インターネットで情報が仕入れ
られる時代だから買う側の人がレベルを
上げるチャンス。
分析結果書類は、品質保証書ではない
第三者の意見書だということを理解して
宝石、特にルビーを見ることが大切。
最低、処理をしているかどうか?は、
販売する宝石商に保証してもらうのがいい。
なぜ、モリスは、天然無処理だと保証して
お届けできるのか?