ルビーを選ぶとき、まずは、天然のルビーだと確認する事。



実際のルビーで、プロの見分け方は…

ミャンマーの中北部モゴック鉱山の西側(チャッピン、

インガウン、キン)から産出したルビーを例にして実際の

手順をご覧いただきたい。

宝石種類と産地、処理の有無は、鑑別技術を使う。

ミャンマー産のルビーの場合は、

二色鏡、カラーフィルターぐらいで充分。

上の写真から、色味も特徴的でミャンマー産と分かりやすい。

…続いて、テーブル、クラウン、ガードルの順番で状態を

チェック。

人でいうと、ご挨拶のようなもの。第一印象が大切。

その次に、インクルージョンを観る。

人でいうなら、お話するような感じ。

ルーペを使ってインクルージョンを観ると下記のように

3つの特徴がある。

まず、モゴック産らしいシルクinc、ルチルの針状結晶が

120度/60度で交差し、シルクを編んだように見えるもの。


次は、形からカルシウムの結晶、アパタイトと思われる

インクルージョン。

(ミャンマー産のアパタイトは原形を留めていないものが多く、

歪んで愉快な形になることが多い。スタッビィ状結晶inc

と呼ばれるものもアパタイトが殆ど)


そして蜜と水を混ぜたときに見える模様糖蜜状組織が確認できる。

ただ、このルビーの場合は、サンプル的に観にくいので、

このルビーではなく別のルビーの分かりやすい写真を…



モゴック産ルビーの糖蜜状組織は、このように見える。

ルビーもサファイアも同じコランダムという鉱物で、元々は

ダイヤモンドのように無色透明。その中にクロムCrが混ざると

ルビーになり、鉄とチタンが入るとブルーサファイアになるが、

ブルーサファイアには、見られないことから、ルビーの

糖蜜状組織は、その着色要因であるクロムの密度のムラと

考える。

以上、インクルージョンのパターンから、

産地: ミャンマー
処理の有無: 天然無処理

であることが分かる。

それから、次は欠点のチェック。



キューレット(宝石の裏側)もバランスよく整えられている。

チェックしておきたいのが、生地不足と呼ばれる、

元々あった生地が凹んだ状態で残っているのかどうか?

このルビーにも、生地不足があるが、問題ないレベル。

フェイスアップで美しさに影響しない、破損の原因に

ならなければ気にしないで大丈夫だが、結晶の奥深くまで

生地不足があったら、破損の原因になるので、やはり欠点。

しっかり見極めること。

そして、もう一度、違う光源で同じように外観チェック。

同じルビーでも白熱灯の下では、表情が全く違うことが

分かる。(上の写真は、蛍光灯)

そして、美しさと色の濃淡をチェックする。

これで…

宝石種
原産地
処理の有無
美しさ
色の濃淡
欠点
サイズ

で品質が分かる。

ただ、一番大事なポイントは、この品質のチェックは、

好きなルビーが、品質に見合った値段なのかをチェックする

ための確認であり、ルビーを選ぶときは、

好きか、そうでないか? という好みを優先すること。

高品質でも好きでないルビーは、すぐに飽きてしまう。