
写真は、指輪88(淡交社)の71番目に
紹介されている1905年、約100年前の
人工合成ルビーを使ったリングです。
引用ここから>
豪華で存在感があり、離れたところ
からでも美しく見えるリングです。
リングサイズは14番で、大きな赤色
の石を縦に3つ並べたべゼルの部分
の繊細な作りが特徴です。この石は
人工的につくられた合成ルビーです。
今では、宝石として取引されること
はなくなったものです。1905年頃に
合成ルビーが作られ、その存在が一般
に知られずに天然のルビーと混在して
流通していた当時は、かなり高額で
取引されていました。現在では合成
石は宝石ではないという考えが定着し、
人が数を増やすことのできる合成石
は、その希少性の低下と共に価値を
失っています。天然の原石からこの
ように縦長にカットするためには、
とてつもない大きさの原石が必要
です。そのうえ3石とも同じ色調の
ルビーを用意するのは、それだけでも
限りなく不可能に近いことです。
本物のプロは、このリングを見て、
石は合成石であると判断できるはず
です。
>引用ここまで。
私自身、人工合成ルビーは、宝石と
思っていないので、この原稿を担当
することになって、どう表現しようか
と悩んだのですが、実際に書いてみる
と、色々な事が分かりました。
実際にこのような大きさのルビーが
3石ついたリングがオークションに
出品されたら、恐らく数千万円から
スタートすると思いますが、
実際のオークションで落札された
このリングの価格は、10万円以下でした。
0.5ctぐらいの小さな、無処理で美しい
ルビーが付いた500年前のリングが、
1~300万以上で落札されている事実を
目の当たりにすると、100年後の事を
考えてジュエリーづくりをしなければ…
と考えさせられます。
橋本貫志氏コレクションより