
写真は、Histric Rings(淡交社
監修:宝官優夫氏 諏訪恭一氏)
の中で紹介されている1905年の
米国の人工的に合成されたルビー
のリングです。
手に取ってこのリングを拝見し、
原稿を担当させて頂きましたので、
よく覚えています。
私が感じたのは、豪華な作りなどから
みても、これが元のオーナーさんが
手にした時は、人工合成ルビーだと
知らされていなかっただろうという
事です。
ルビーが宝石として大切に
されてきた文化のベースには、
「限りある地球の美の象徴ルビー
…それを自分が生きている間、
預からせて頂き、自分が消費しない
ように次の世代へのメッセージを残す…」
そういうモノがあり、それ故に、
天然無処理で美しいというのは、その
文化の大前提なのです。
結局これだけの大粒のルビーがついた
リングです。オーナーさんの期待もあった
のでしょうが、オークションに出品され
ましたが、ほとんどアクセサリーの値段
で落札されました。
天然無処理で美しいルビーであれば、
今なら億単位の逸品だったと思います。
私は、経年変化しない=何百年も変わらない
宝石ジュエリーに携わる人間として
100年後にオーナーさんがガッカリする
ような事だけはしたくない、
何百年の恥…は嫌だな、と感じました。