もうヒザは走れる状態じゃなかった。
あと30キロ。とにかくやれるところまでやってみよう。
そう思うしかなかった。たしかそう思っていたと思う。
15キロ地点の品川で折り返して再び日比谷を目指す。
1キロ走ったら5分歩く、というのを繰り返して、なんとか前に進む。
雨のおかげでノドは渇かなかったけれど、
少し腹が減ってくる時間だった。
20キロ地点から給食、つまりバナナやパンが置いてあるって話だった。
それだけを楽しみに、ようやくたどり着いた20キロ。
バナナはどこ?アタシのバナナは?
目の前に広がるのはバナナの皮の残骸が散らばったアスファルトのみ。
そこに何かがあったであろう机には、何も残ってはいなかった!
この怒りと絶望感を誰にぶつければいいのっ?!
雨に降られ、ヒザを痛め、食うものもなし。
「俺はここで何をしてるんだろう」
銀座を遠くに見ながら意識は薄れかけていた。
非常食としてウエストポーチにしのばせていた角砂糖をほおばり
有楽町駅のガード下、中間点へ到着。
まだ、あと半分・・・。
銀座4丁目を左折して浅草を目指す。あと20キロ。
このころになると痛みで、続けて1キロも走れなくなっていた。
なのに、銀座!
人が多いよ、銀座!
銀座のマダムたちが沿道から応援してくれるではありませんか!
応援してもらってるのに、目の前で歩くなんてかっこ悪い・・・。
つらい中でも少しだけ残っていた男の子のプライドで走り続けた私。
今思えば、あの応援がなければ完走をあきらめてたかもしれません。
ありがとう、銀座マダムたちよ!
25キロ地点を越え、浅草まであと少しとなりながらも
歩くだけでもひざが痛むようになっていた。
もう限界か。完走はできないのか。
そんな私に今まで経験したことのない神秘が訪れたのです。
次回、ついに最終回。期待せずに待て!