しっかり、じっくり、青春映画。檸檬のころ。
榮倉奈々と谷村美月が等身大の女子高生の時間を見せる。
語弊を恐れずに言えば、
この映画は特別なドラマではなく、ごくごくありふれた風景を切り取ったものだ。
夢、進路、恋、勘違い、失恋、別れ。
どこにでもあるような。誰もが通ってきたような。
いわゆる甘酸っぱい「レモン」のころを
二人の少女の物語を指でなぞることで思い出す一本。
吹奏楽部の指揮者で成績優秀、おまけに美人の秋元加代子を榮倉奈々が、
そして、音楽ライターを目指すロック少女の白田恵を谷村美月が演じる。
2人はほとんど交わらない。
それぞれの時間を過ごし、それぞれが恋に落ちて、それぞれの道を選ぶ。
その道の途中で一瞬だけ出会う。ほんの一瞬だけ。
その一瞬でふたりは、ちょっとだけ、素直になる。
もちろん高校生の話なので、
自転車2人乗りしちゃったり、席替えで一喜一憂しちゃったり、
一緒にお弁当食べちゃったり、文化祭でバンド組んだりしちゃってます。
榮倉奈々の恋の話では、彼と過ごす最後の日に自転車2人乗りして
急な坂道を下って上るシーンがあるんだけど、もうこれなんて恋そのもの。
一番好きなのは、別れの言葉さえうまく見つからない彼が、
大きく手を振って駅で見送るラストシーン。
榮倉の視線は小さくなるその姿が見えなくなっても、
まだ線路のその先に想いを残しながら遠ざかる街を見据えている。
この手の映画で毎回思うのは、「男ってバカだなぁ」ということだけれど、
この映画はちょっと違って、
榮倉奈々のエピソードでは、
「どうして女の子はオトナで男子はガキなのか」と思わされ、
谷村美月のエピソードでは、
「女の子も恋に落ちると周りが見えなくなるのね」と妙に納得する。
青春映画にありがちなエロでもなく、バカでもなく、
この時期の女子を丁寧に描いたのは岩田ユキ監督。
主題歌は出演もしている平川地一丁目の林直次郎。
(↑デビューの時って小学生くらいだったんじゃ・・・)
レモン味のリップクリームが時間のものさしとして出てくるんだけど、
あの頃ってどんなものでも甘酸っぱいアイテムになるのね。
なんだか妙に思い出してちょっぴりオセンチになっている28歳です。