これは、都会のおとぎ話。
誰もがいつもよりちょっとだけ輝きたいと思うクリスマスイブ。
そんな東京の街を包む何千万の灯りが、突然、消える。
「普通」の特別な夜が、「本当」の特別な夜に変わった瞬間。

いつもならば夜に溶け込んで消えてしまうような想いが
今夜は暗闇にふっと浮かび上がる。

妻と愛人に揺れ動く男。
かつての恋を酒に溶かしたバーテンダーと
その影にひそかに惹かれるキャンドル店の女。
エレベーターに閉じ込められたベルボーイとOL。
45年前の秘密を語ることがなかった老夫婦。
一途な元ヤクザと男を待ちきれなかった女。
ある病により生きる希望をなくしたモデルと
夜空に光る人工衛星マニアの少年。

12人の秘めた想いが
まざって、とけて、ゆらめいて。
キャンドルの炎のように揺れて織り成す
ひとつの夜の物語

見えるものが見えなくなって
見えないものが見えてくる。

東京の夜が、ちょっと好きになる作品。


そういえば灯りが暗めだと、人との距離が近くなる。
そういえば辺りが静かだと、人との距離が近くなる。

ただひとつ悔いが残るのは、今、夏だってこと。