紅鮭屋総本店  紅鮭はかく語りき・・・ -11ページ目

紅鮭屋総本店  紅鮭はかく語りき・・・

元yahooブログの「紅鮭はかく語りき・・・」です。
あっちのグサービス中止に伴い、恥ずかしながらこっちに移ってまいりました。
相変わらずの不定期、独り言徒然です。

ある日の、
もうすぐランチタイム営業も終わるかという、そんな夕暮れ時。

いつもの無駄に明るいバイト17号(←現役JK)が仕事を終え、無駄に明るい挨拶をして帰っていった。・・・はずなのに、
気が付けば店の入口に立ったまま誰かと話している。
仕事終わった後に仲間と話すのは別段構わんが、そこは店の入口だ。
まだ店内にはお客も残っている。

・・・ったく、もう!

と、17号の様子を見に行くと、相手は買い物帰りのちょっと汚ったない恰好をしたおばはんだった。
話しているというよりは、おばはんが一方的に、しかもかなり熱心にJKにしゃべりかけていて、一見、勧誘とかクレームとかにも見えなくもない。

俺はお国の言葉はわからんが、あんまりいい雰囲気には見えなかったので、二人の会話に割って入ってみた。つか、話すなら他でやって欲しい。そこは店の入口だし。

 - あの、何の御用でしょうか?

と声をかけると、おばはんはJKから俺にターゲットを移し、お国の言葉で何やらまくしたてる。

 - 申し訳ありませんが、私はお国の言葉はわかりません。ですが、まだ営業中ですし、ここは店の入口ですから、お話でしたらあちらで。

と、やんわりと実に穏やかなつもりで、おばはんの話を遮った。

するとおばはんは、自分の話を遮り、日本語で話しかける俺を訝しみ、
軽く睨みながら、

『アンタは誰だ?』

的なことをいい、間にいたJKが俺を

『店長だ。』

的な説明した。・・・らしい。(正確には店長じゃなく、クレーム処理係だがw)

すると今度はカタコトの日本語で俺に向かって話出す。
あんまりカタコト過ぎてよく聞き取れなかったが、内容はこんなカンジ。

曰く、
『自分は日本に来て25年。旦那(様)は『イワツキ』で仕事をしている。
ずっと『ハタライタ』が今は$♪×¥&%#?!??(←全く分からない)
詳しいことはこの紙を読んで欲しい。』
とのこと。

どうやら俺が言った後半部分(入口からどいてほしい)は無視されたようだ。
差し出された紙はB5を半分に折った紙で、一見してもううんざりするほどに、
もうね、びっしりと・・・、余白無く、小さな文字のお国言葉が模様の様に書き付けてあり、裏面はご親切に日本語訳もあるという。

んなもんはいらん。
ともかく、ココは入口だからどいてほしい。

っ的なことを得意の『笑顔』で、実に『丁寧』な言葉に変えて伝えたつもりだったんだが、そういうのはお気に召さなかったらしく、俺は無視することにしてまたJKに話始めた。

おばはんが厚かましいのは万国共通らしい。
つか、『イワツキ』が『岩槻市』だとしたら、こんなトコまでご苦労なこった。そんなに言いたい事があるなら県庁舎か、せめて大使館にでもいけばいい。
こんな都会の片隅の、しかも雑居ビルの上階にあるちっさな店に勤める未成年のバイトに訴えるお前の『主張』とは一体何なのさ?

・・・いや、知りたくも無いが。

ま、言っても聞かないのならしょうがない。
つか、もう暖簾は下げたし、残ってるお客も一人だけだし。
JKは気の毒だが、飽きたら帰るだろうからそれまで我慢しろ。

俺はまだ仕事残ってるし。

で、店内に戻ろうとすると、中ドアの陰に隠れバイト18号(←現役DK)が
こちらの様子をうかがっていた。
俺らを心配してというよりは、単なる野次馬として。
DKは小声で俺に、

「アノオバサン、サッキ1階ニイタヨ。裏ノ自販機デ水トカこーらトカヲイッパイ買ッテタ。ナンカ・・・、変ナ人ダッタヨ。」

と耳打ちする。
どうやらゴミ出し行った時、おばはんを見かけたらしい。

「サッキハ隣ノマッサージ屋サンニ入ッテコーラ配ッテタ。デ、今度ハウチノ番。変ナ人ネーww」

「人ネー」じゃねねーよ。
じゃ、自販機で買い込んだ飲み物を、ビルの中を上から下へと一軒一軒訪ね歩いては、見ず知らずの人に『主張』と一緒に配ってんの?
ここ(東京)でぇ??? 『イワツキ』からぁ? 何の為にぃ??
・・・ますます関わり合いにはなりたくないなー。
お前も目ぇ合わすんじゃないぞ。つか、それより仕事に戻ろう。

「ウン。ワカッターww」

そうして俺とDKが店内へ戻ろうとした時、ようやくDKの存在に気付いたおばはんは俺を押しのけ、DKの袖をつかんで引き留めた。

「オニイチャン、コレ!コレ、サッキワスレタ!アゲルカラ!!」

とレジ袋から菓子パンを取り出してDKに渡そうとする。
だがDKは受け取りを拒否。
尚もおばはんは菓子パンを差し出し、DKは差し戻し・・・
俺の脇で菓子パンは二人の間を行きつ戻りつ・・・。

・・・あぁ、もう限界だ。何度でも言うぞ。ここは店の入口だ!やるなら他でやってくれや!!
まくし立てられるお国言葉にイラついた俺は、

 - ウチの子たちにこうことをされては困ります。
ご用の赴きはわかりかねますが、当店はまだ営業中です。どうぞお引き取り下さい。

と、イライラを押し込めながらも、極めて穏やかに、そして『笑顔』で最後通告をした。

すると、それまでの態度を一変させ、おばはんは俺に鬼のような形相で、

「ウルサイ!オマエ!ニホンジン!ワタシハドウホウニハナシテイル!」
「ココハドウホウノミセヨ!コレハドウホウノリョウリヨ!」
「オマエハナンデモマネヲスル!ナンデモワレワレカラヌスムンダ!」
「オマエ、ドロボウヨ!」
「コノミセヤメロ!デテイケ!!」
「スグニココカラキエロ!ジブンノトコロヘカエレ!!」

と、矢継ぎ早に怒鳴り散らした。

俺が何をこの人から盗んだのかはわからんが、
どうやら俺ではなく、『日本人』が気に入らないらしい。
つか、出てけとか辞めろと言われましてもねー。

感情のコントロールができず、ただ自分の言い分だけをまくし立てる輩はどこの国にもいるもんだな。勝手に興奮し悦に入ると自制が効かなくなる。
だが、普段酔っ払い相手に磨いた「あしらう」というスキルを持つ俺に、
カタコトのおばはんなぞ敵ではない。
反論すると余計熱くなるので、極めて穏やかにスキルを発動させる。

実の無い笑顔で、

 - どうぞお引き取り下さい。

と、これを連呼するだけだが、これが意外によく効くんだ。
俺はこれを「暖簾に腕押し作戦」と命名している。

だが、エスカレートしたおばはんは、

「ケイサツヨベバイイダロ!ワタシハ$♪×¥&%#?!」
「オマエ!コノヤロ!$♪×¥&%#?!$♪×¥&%#?!$♪×¥&%#!!」

と、もう何語かわからない言葉をヒステリックにまくし立て続けるが、
態度を崩さぬ俺にやっと「無駄」を悟り、

「モウコナイ!シネ!ニホンジン!シネ!」

と吐き捨ててやっと帰って行った。
これを世間では「自爆」といい、「暖簾に腕押し作戦」はそれを「誘発」できれば成功だ。

・・・あーあ。
モウコナイってさ。じゃ、解決だわ。
と、ため息をついたところに、

「大変でしたねー」

と声をかけられ、振り向くと最後のお客が苦笑いでレジに立っていた。

苦笑いに苦笑いで、騒ぎを謝罪し、代金をもらって来店の礼を述べて送り出すと、

「頑張ってくださいねー」

と、励まされた。

自分で言うのもなんだが・・・、
俺は結構差別とか偏見とか少ない方だと思う。
まぁ、無知ではあるし、気が付かないところで傷つけているかもしれないが・・。
外国で暮らしたこともないので、『日本人』だという自覚が薄いし、周り中、外国人だらけだし。
『歴史』を持ち出され、『日本人』として非難されても、どうにもピンとこない。

事なかれの、流され侍。主張のない無趣味の仕事人間・・・。

頭がおかしくなるほどに、熱にうなされるかのごとく、
必死に、熱心に、躍起に、命がけに・・・
あのおばはんにそれぐらいの主張があるなら聞いてやってもいい。
(だがあれはどうみても単なるヒステリーで病んでるっぽかったけど。)

本当にそんな生き方をする人がいるのであれば、例え〇〇と紙一重な人生であっても、それはそれで羨ましいと思う。

ま、あくまで人に押し付けなければの話だけどねー。