先月、レコーディングをしました。毎年恒例の盆録音(鈴木さんの職場スタジオ・仙台)。
由里子さんが仙台に駆けつけてくれて、しなやかなフルゥトのメロディを音楽に加えてくれた。あと、な、な、なんと!歌も歌ってくれた。「この曲には私の歌声も必要だから」と。

これには皆が勇気づけられ、さっそく深田くんも歌うことになって、気味わるく真面目に歌った。自分では「俺の歌声は今イチかな」なんて照れながら言っていたが、これは本当に今イチだった。
いざうらさんは、僕らよりも、とうに上のレベルにいて、発音の一音や音符の一音が伝わりうるものになるまで丹念に歌い直し続けた。それはまるで、嫌いな食べ物を食べることに挑戦するふうだった


 僕は、皆が言うにはバンドでナンバァワンのオンチらしいのだが、自分では信じがたいので、やはり誰よりも自信をもって歌ってみせた。気持ちは最高だった。
やっちゃんさんは、僕と深田くんの結構なオンチになんとも影響されず、ただただ素直にまっすぐ、芯のある声で歌った。僕と深田くんは、ホッと安心しつつ「あれ、おかしいぞ、次はもっと動揺するくらいに俺達はオンチに歌わなきゃいけないぞ」と目標を立てた。


 そのあと、北向さんの反撃の歌入れが始まった(鈴木さんの職場スタジオ・山形)。北向さんは水平線の向こうの異国に住んでいるので、飛行機とか、そういうもので日本に来たと思う。早くどうしてもバンドの音楽に参加したいらしかった。北向さんは北向さんのままだった。文句一つ言わず、僕らの伴奏に敬意の気持ちで真剣に応えてくれた。僕らの446ヘルツのピッチの音楽に、苦悩しながらピアノのフレィズを入り混ぜて、多くの歌を表情豊かに歌った。歌いまくった!ある突然「ハイっ、ハイよっ」とか発声してたが、その瞬間は気持ちを抑えきれなかったらしかった。相変わらずの破天荒ぶりが嬉しかった。いざうらさんにつけ、やっちゃんさんにつけ、北向さんにつけ、この人達はいいバンドだな、とまた思った。
この盆録音では、直美さんもバスにキャメラを積んでスタジオまで来てくれた。今も変わらず、10人のバンドは10人のアンサンブゥルで続いている。

森のもの舎クラブバンド 菅野