
実際のところ言いますと、入場チケットのモギリの直前に「あッしまった、高い所アカンかったんや!」と思い出して、引き返してエレベーター用のチケットを買い直そうと思ったのですが、シーズンオフで人の少ない時期にもかかわらず、なぜかその時に限って私の後ろからゾロゾロと小さな子供連れの家族が何組も続いて入場してきたので、引き返すに引き返せなくなってしまって、階段で登らざるを得なくなってしまったのです。

まあそんなこんなでエッフェル塔の階段を一段一段登り始めたのですが……ゔ~、やっぱりコワいですね。私は高い所は高い所でも、高層ビルみたいに足場がしっかりしていて、なおかつ周囲が厚い壁に囲まれていたりして「高さ」や「不安さ」を感じなければどんなに高い所でも平気なのです。
…なので前々々…回のネタの「モンパルナスタワー」みたいな建物は全然平気なんです。もちろん我が地元の「京都タワー」も。
しかしながら、そんなに高い所でなくても…たとえば小学校のジャングルジムとかみたいに、足場が鉄の棒一本だったり、鉄板一枚とかだったりで、わずかなミスで足を滑らせる危険性があったり、あるいは鉄板が老朽化して見えないところでボロボロになっていたりして、気付かずに足を置いて「あーーーーーーーーーーッ((((((ノ゚⊿゚)ノ」てな感じで落っこちてしまうような事を想像させてしまうような場所が非常に苦手なのです。もしかすると私の場合「高所恐怖症」というよりは、どちらかといえば「落下恐怖症」とか「転落恐怖症」といった症状のほうが正しいかもしれません。
なので今回のエッフェル塔もまさにそういう所なわけでして、「巨大ジャングルジム」とでも形容すべきエッフェル塔の、100年以上前に建造された厚さ数ミリの鉄板でできた粗末な階段を「カーン…カーン……」と乾いた音をたてて登るという行為はまさしく恐怖の連続で、下の写真のような場所が延々と続くエッフェル塔のような場所では私は「戦慄」する意外はありえないわけです。

それでも後ろからは小さな子供連れの観光客がきゃあきゃあ言いながら先を行く私に追いすがってくるわけです。でもまさかいいオッサンが高い所が怖いといって階段の途中でガクガクブルブル(((( ;°Д°))))と震えているのもカッコ悪いです。しかし何よりもせっかく大枚4ユーロを払ったんだし、昇れる所までは昇って払った分の元は取り返さなければいけない!という、私の心の奥底に潜む「関西人魂」と、やっぱり階段を昇った先にどんな光景が広がっているのかというのを見てみたいという「好奇心」が、戦慄する私の心を押し殺して階段を一歩一歩昇らせました。
一歩階段を昇るたびに「次こそは落ちるかもしれない( ̄□ ̄;)))!!」という本能的恐怖と、「有名な観光地なんだし、十分安全性は保全されているはず。大丈夫ダイジョーブ( ̄▽ ̄;)。 」という楽観的な思考が波のように交互に押し寄せてきて、昇っていて正直、身体よりもむしろ精神的に疲れてしまいました。
後方からの外国人家族の楽しそうに騒ぐ声に追い立てられて階段を昇っているうちに、少し広めの踊り場に辿り着きました。ここまで自分のペースというより後ろから追いすがってくる家族のペースに合わせて昇ってきたので、とりあえずここで休憩して心身ともにリフレッシュするとともに外国人家族を先に行かせて自分の登攀ペースを取り戻そうと考えました。
しかし…踊り場とはいえ高い場所である事に変わりはありません。ふと視点を変えてエッフェル塔の外側に視線を向けると…そこは落ちればもうオシマイの超高所。このブログを読んでいただいている皆さんにこの私の恐怖を少し味わってもらおうと写真を一枚パチリ。撮影している間も実際恐怖心で一杯でしたがここはひとつサービスで我慢して撮りました。ガクガクブルブル(((( ;°Д°))))……でも案外高い所が平気な人には楽しい写真かも?!

さて気を取り直して。さきの家族連れはもうはるか先へと行ってしまったし、観光客の少ないオフシーズンのパリなので後からやってくる入場者も幸いにもありません。自分のペースで一歩一歩階段を昇って展望台を目指します。漫画や物語なら一休みしたあとで雑念が振り払われて「さぁ行くゾ!」みたいな感じでガンガン迷いも無く先を目指すのでしょうが、あいにくこちらとら現実の世界なので、相変わらず恐怖と冷静が波のように襲いかかる中での登攀となります。ガクガクブルブル(((( ;°Д°))))……。

それでもやっぱり「千里の道も一歩から」の格言通り、恐怖におののきながらも階段を昇ってゆけばいずれは目的地に達するものです。昇り始めて、途中休息を挟みながら15分ほど段を昇った頃でしょうか。視界の先に階段が途切れて平坦なフロアーが見えてきました。ようやく展望台です。

いかに「鉄骨の芸術」とはいえさすがに展望台にはしっかりとした「床」がしつらえてあります。これでようやく落下する心配も無く安心して周囲の眺めを楽しむ事が出来ます。

こちらの「第1展望台」には日本の各所タワーでもおなじみ、小銭を入れるとカチャンと目隠しが外れて一定時間眺めを楽しむ事が出来る望遠鏡や、東西南北各方向に何カ所かそこからの眺めの写真パネルがあって、「ここに見えるのは×××」といった眺望の解説図があったりします。北東の方角に目をやると、遠くのほうにうっすらとこの前日に訪れたサクレ・クール寺院が見られます。

展望台の中央にはさらに上に行くエレベーターがありまして、その周囲にはフランスらしく酒を出すバーがありまして、「高い所とアルコールが好き」という私からすれば「恐るべし」人たちはパリの眺めを肴にイッパイ楽しむ事も出来ます。またこの時にはそのバーの一角に、氷でできたエッフェル塔のミニチュアが造られておりまして、寒空の下さらなる寒さを演出しておりました。

たぶんこの展望台で地上からは100mも無いでしょうか。やっぱり高いは高いんですが、足場がしっかりしているぶん高さの恐怖をあまり感じず、非常に落ち着いてのんびりできました。…展望台でしばし休息を取って、普通の人なら「さあいざ頂上へ!」となる所なんですが、高所恐怖症の私にとってはもうこれでパリの高さを存分に味わったので「もうこれ以上は結構です」といった感じです。このあとはいよいよパリ最大の見せ場「ルーヴル」が控えているので、これ以上の長居は無用です。ぼちぼち塔を下りる事にしましょうか。

とはいえ、ここで私は最期に一つ重大な事を忘れていました。「もと来た道を戻らなければならない」のです。

あぁ~っ、考えてみれば当然の事なんですが、昇った階段は降りないと元来た場所には戻れません。いくら降りるのが怖いからといってエッフェル塔にそのまま居着くわけにはいかないし、何よりもまず永年憧れ続けた「ルーヴル」を見ずにパリを後にするわけにはいきません。ここはひとまず死んだ気で我慢して階段を降りる事にしましょう。今度は「下り坂」の帰り道なので「行き」よりはラクに早く、なおかつ地上に「近づいて」いくので、恐怖も短くて済ませられるんでしょうけど…。
まあ、とりあえずは降りましょうか。ガクガクブルブル(((( ;°Д°)))) 。……次回からはエッフェル塔の周辺のよもやま話を2~3回やって、いよいよ最終章「ルーヴル篇」へと参ります。