今年の3月発行の第72号に載せた原稿です。
参考になれば・・。
今日は認知症のお薬についてのお話です。
「認知症の薬」といえば「アリセプト」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?そんな代表になるほど、10年以上日本では「アリセプト」しか認知症の薬が認められていませんでした。ようやく昨年いくつかのお薬が選べるようになりましたので、どう違うのか、便利なところ、などをあげてみます。2~4のお薬は昨年春~夏にかけて発売されましたので、1年間は2週間ずつしかお薬をもらうことができません。
1 アリセプト
昨年までは唯一の認知症の薬であり、現在も広く使われています。もの忘れについての相談があった場合に「とりあえずアリセプト」、それがずっと続いているケースも少なくないように思います。高価な薬であり国民医療費への影響も心配ですし、何より薬は適正に使われてこそ本領を発揮します。アリセプトは軽度~高度の認知症まで幅広く対応でき、1日1回型、粉薬やゼリータイプもあります。患者さんによってはかえって興奮を強くしてしまう場合もあります。
2 レミニール
軽度~中等度の認知症に用います。これのみが1日2回型で服薬回数が多いですが、液タイプがあるのが特徴です。
3 リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ
貼るタイプの治療薬なので、お薬をのむのに時間がかかる、嫌がる場合に便利です。名前は違いますがこの2つの成分は全く同じで、軽度~中等度の認知症に用います。副作用として貼った部分が赤くなる・痒くなる、がありますので皮膚のケアが求められます。
4 メマリー
これまでの3つとは脳の伝達において効く部分が異なります。中等度以上の認知症に対して用い、単独またはこれまでのお薬に追加も可能です。お薬による興奮は少ないといわれています。
以上これらのお薬の作用機序は簡単にいうと脳内の伝達をよくすることであり、脳細胞そのものを回復させるお薬ではありません。「認知症の進行を遅らせる」ことが目的で、薬だけの治療に過度な期待は禁物です。約2年で内服の効果がなくなるともいわれており、定期的に中止してみて効果を確かめることも必要と思います。
続いて認知症で困った症状が出た時に使われるお薬についてお話してみましょう。
5 抑肝散(漢方薬)
最近注目されており、興奮を抑え、穏やかにする作用があります。漢方薬なので独特の味と1回量が2.5gありますので、白湯にとかして飲むなどの工夫が必要です。人によってはとても有効で、これのみで穏やかに過ごせるようになる場合があります。
6 リスパダール
認知症の周辺症状(困った症状)に用いられる代表的なお薬です。妄想や暴言暴力など、もう在宅無理・・とあきらめてしまう前にチャレンジしてみる価値があります。液タイプもあり、食事や飲み物に混ぜて内服することも可能です。副作用として足がふらつく、ぼーっとする、などがあります。ずっと飲み続けるのではなく、どこかで減量し中止することになります。
以上、お薬について簡単にお話しましたが、何よりのお薬はご家族をはじめ接する人たちの「笑顔」です。あれもこれもできなくなっていく中、できているところに注目し、笑顔で褒めて自信を取り戻してもらいましょう!そうすれば・・やがて楽しく家庭での役割をはたしてもらえるようになり、いい方向に変わるきっかけになると思います。ファイト!
