学会の最後のセッションまで参加し、預けていた荷物を受け取りタクシー待ちの列に並びましたが、皆が一斉に帰る時間帯ですので、結構混雑しています。
その時、前に並んでいた、真っ赤なドレスを着たゴージャス系のマダムが突然振り向き
「空港に行くの?タクシーシェアしない?」
と(もちろん英語で)きいてきたのです。
「ラスベガスは観光?」
ときかれたので
「いや学会で」
「ああA4Mね、あたしもよ。カリフォルニアからなの、あなたは?」
「日本です」
「へーえらいわねぇ!何科なの?あーデンティスト!」
というような会話(実際はマダムが機関銃のようにしゃべるのを、わたしがシドロモドロで答えている状態)をしていると、
「デカいのが来た、空港だろ一緒に行こう」
とさらに前から声がかかりました。
6人ぐらい乗れそうな大型タクシーの前には如何にもドクターっぽい、アーリア系と思しきカップルが。
こうしてあっという間に「日米混成即席相乗りカルテット」が出来上がったのでした。
タクシーに乗り込んだあともマダムの機関銃攻撃は続きます。
「私この学会は結構前から参加してるんだけど、前はもっと参加費高かったし、講師もイマイチでね!でも最近はいいのよぉ」
ここでやっとの思いで私が「木曜のワークショップ出ましたけどナイスでした」と言うと、アーリア系のご主人が「私も出たよ、どれに?」「炎症のです」「ああそう、私はLONGEVITY(長寿)だったけど、やっぱり良かったよ」
近年はアメリカにもアンチエイジング系の学会がたくさんあります。最大最古のA4Mといえど競争原理が働いているのでしょう。
「外国語で通訳なしの学会に来るなんてスゴいわよねぇ。私は絶対ムリ」
というような感じで機銃掃射は続きますが、せいぜい2~3割しか理解できません。学会の話題でなかったら間違いなく「理解度0%」だったことでしょう。
ホテルから20分ほどで空港敷地内に入りました。私の乗るユナイテッド航空のターミナルが一番手前です。マダムとご主人が料金を計算し始めました。様子を伺っていると一人20ドルくらいのようです。
わたしが財布から20ドル札を取り出し渡そうとするとマダムが
「Noooooooo!」
と叫びます。
「遠くから来てるんだものいいわよぉ、ねえ!」
とアーリアご主人を見ると頷いています。ここは日米友好のおかげと有り難くおごって頂きました(^-^)
車を降り改めてお礼を言うため車内を覗き込むと
「ドクター!また来てね!」
と皆が笑顔を返してくれました。学会の最後に心温まるエピソードにめぐり合うことができ、「来年また来よう」と思いを新たにしたのでした。
タクシーが走り去るのを見送ったあと頂いた名刺をよく見ると、スタンフォードの臨床准教授!あのマダム結構エライ先生でしたヽ(´▽`)/