■1.論長論短 No.157 年初の「平凡な日常」 宋 文洲
「ちょっとだけ置かせてくださいね」。足元のカバンから新聞を出すために私は隣座席の人に言いました。しかし、彼のテーブルにコップを置こうとした時に不味いことが起きました。私はその中のコーヒーを派手にこぼしたのです。
世の中は不思議なもので、実は昨晩にも同じ場面がありました。主役は私ではなく娘でした。
昨晩も8歳の娘と足湯を楽しみました。終わる頃、彼女が足湯の機械の縁に立とうとしたため、機械が転倒し、大量のお湯が床にこぼれたのです。そのお湯は床一面に流れ込みベッドの下にも広がりました。
びっくりした私が「何してんだ!」と大きな声で叱りました。家内が大量なバスタオルを持ってきて私がそれを使って湯を吸い取りながら「自分のしたことだから早く始末しなさいよ」と茫然としている娘に叫びました。
大人気ない私は作業しながらもさらに一言文句を言ったと思います。しかし、その後、徐々に怒る気持ちが消えて行きました。娘が「私の責任だから全部やります」と言いながら一生懸命作業を始めたからです。
バスタオルを持ってベッドの下に潜りながら「私の体は小さいからベッドの下を任せてください」と娘が言います。途中、ベッドの下から「パパ、私わざとじゃないから許してね」との娘の声が聞こえた時、怒る気持ちよりも「自分が大人気ないな」、「娘への教育は厳しすぎたかな」とむしろ反省を始めました。
自己反省と同時に8歳の娘に尊敬の念すら持ちました。自分の子供の言動に感動を覚えたのは初めての体験でした。何か優しい言葉をかけたいのですが、適切な言葉が見つかりませんでした。
皆さま、私の一年はこんな「平凡な日常」から始まりました。