フロー理論 Csikszentmihalyi Jul 3

「自己」は「注意力」の方向性を決定ずけ、同時に「注意」を向ける方向性によって「自己」は影響される

「自分に克つ」ための戦いにフロー体験（集中しており、心が満たされることがない状態）を感じる人がいる。それは　実は　自分「と」戦っているのではなく　自分「のために」、自分の心を乱す注意の方向（意識を無秩序にするエントロピー）と戦っているのである。

金銭や身体の健康、または名声が幸福と無関係であるということではない。これらは「我々をより快適に感じさせるに役立つ限り」、真に祝福されるものとなることができる。そうでなければ、それらはせいぜい中立であり、最悪の場合は生活の障害になる。

別の言い方をすれば、それらに心を煩わせるよりも、日常生活をより調和ある満ち足りたものにできる方法、を直接的に達成する方法を見つけ出すほうがより有益であると思われる。

生活をよりよいものにする経験について考えるとき、人々はまず、幸福は快楽を経験すること、例えばよい食事、素晴らしいセックス、金で買えるあらゆる満足の中にあると考える。その余裕がないならば、次に、静かな夕方、家族との団欒、などに幸せを感じる。

生活は楽しさがなくても耐えられるし、快いものでありうる。しかしその快さは心もとないものである。しかし、経験の質を統制できるようになるには、日々の出来事の中に楽しさを組み込む方法を学ばねばならない。

「何が経験を楽しいものにするか」を12年以上にわたって数千人の回答者から集められた長時間の面接、質問紙、その他の資料に基づいて概観する。

それらしい明瞭な理由もないのに、強い喜びの経験・恍惚感をもつことがあると報告する人々がいる。（典型例は読書である）。それには身体的能力も身体的活動も不要である。

経験の質を向上させるのに、誰もが同じことを簡単な方法で行っている。（マイクロフロー活動）。ものを噛んだり、鼻歌を歌ったり、髪を触ったり、喫煙したり、その他の個人的儀式が一例である。

挑戦と能力の並はずれた微妙なバランス感覚によって、最大の楽しさが生み出される。自分の能力の限界の近くに目標がある場合には集中して取り組みやすくなる。

我々は繰り返し自分の行為の必要性について疑問を投げかけ、それを行うことに批判的な評価をする。しかし、フローの状態にある時はｋその動作は魔術のように我々を前へ前へと進めるので、それを省みる必要はない。

フローにこのように完全に没入できるのは、目標が常に明確で、フィードバックが直接的であるからである。（ィードバックの種類がどのようなものであるかは重要ではない。）