レトロ建築
先日巡った北浜蚤の市のすぐそこに中央公会堂と中之島図書館があります。そのコラボガイドツアーがあったので申し込んでみました。この辺り、大正14年に周囲の市町村を合併して誕生した時期から昭和にかけて大大阪時代と言われ、東京より大阪の人口が多く繁栄した時代であり大正12年の関東大震災の教訓から鉄筋コンクリートの最新近代建築が建てられ、それが残る場所であります。朝9時に集合。まずは図書館内にあるレストランにて朝食をどうぞ、と言われます。プリンの瓶に牛乳入れてくれるの嬉しい。珈琲クリームより牛乳が好きなので。時間になると、まずは図書館の案内です。立派ですねぇ。中之島図書館は明治37年に大阪に図書館がないということで、住友吉左衛門友純氏の寄付で誕生したそうです。建築技師の野口氏が途中で亡くなり、日高氏が後を継いで両翼が増築され現在の姿になったのだとか。 阪神大震災後の耐震点検で1998年に発見されたこの墨書には、東京駅でおなじみの辰野金吾の名前があったことで、この建築に顧問として携わっていたことがわかったそう。外側のルネッサンス様式に対し、内部空間はバロック様式になっています。正面のコリント式円柱に支えられた上には切妻屋根があり、その向こうにドーム屋根があります。↑は中からそのドーム部分を見たところ。採光のために一部を持ち上げた越屋根になっています。特別会議室も素敵。艦船の船長室モチーフで窓も船の操舵のよう。窓の一つ一つが明けられるんだとか。部屋には絵が3枚。それだけでの撮影は不可ですが、2023年の東京国立近代美術館で行った「重要文化財の秘密」で「収穫」が展示されていたあの浅井忠氏の、奈良の鹿、京都の牛、大阪の安治川3点が飾られていました。部屋には司書さんに必要な資料ください~の「司」、会社のおつきの人を呼ぶ「會」、小遣いさん終わりましたよ~の「小」の3つのボタンが。その他、中央ホールにある八哲の哲学者や、昔ながらのボイラーを使っていて毎年壊れないかひやひやするなど緩急合わせた解説をしてもらいました。続いて、中央公会堂へ移動します。前に蚤の市の時に撮影した正面からの写真。素敵です。東京駅に似ていますね。原案は東京美術学校と早稲田大学で教鞭をとっていた建築家の岡田信一郎で、実際の設計は辰野金吾と片岡安。展示室で建築に至った経緯の話があります。株の仲買人岩本栄之助が明治42年に渋沢栄一と参加した渡米実業団でアメリカの富豪が慈善事業に寄付をしていることに感銘を受け、自分も帰国後に寄付をし公会堂建築が進められたものの、大正5年の第一次世界大戦の影響による相場急落で大損をし、結果命を絶つという壮絶なお話。でも明治期から大正にかけての日本の近代化への情熱の一端を垣間見る気がしました。特別室は平静に入って再生工事がされたので逆に風情がない気もしましたが、ステンドグラスや四騎獅子狩文錦という模様のカーテンなどは見ごたえありました。別部屋では龍村美術織物が一本一本糸をほどいて再生したカーテンなどの展示もありました。 モーニングを食べてから午前中の実りあるひと時。コラボ企画は定員が8名と人気ですぐなくなるそうで、予約出来てラッキーでした。色々近代建築はあるそうなので、ゆっくり建築巡りをしたいなと思いました。