おそらくその口ぶりだと、ちょうど隣の席にいるその男性のグループとは知り合いなのだろう。
しかし、伝言ダイヤルの女性はチョコレートの種類にうとく“ゴディバ”というのがチョコレートの名称であるのに気づけなかったのだ。
それでも、何かプレゼントをその男性グループに要求しているのだけはよく理解できたのだった。
男性グループの全員がその時、嬉しそうにニヤニヤしていたのだった。
伝言ダイヤルの女性が幸子に“ゴディバ”とは何ですか?と問うと、ベルギー産の高級チョコレートのことだとすぐ教えてもらえたのだった。
とても美味しいらしい。
しかし、自分が頼まれたのはM&Mのチョコレートだったし、既にこの段階で都内の某百貨店で買った大きくて丸い赤い頭に手足が生えたM&Mのチョコレート人形をプレゼントした後だった。
そのプラスチック製のお人形は片手を回すとM&Mのチョコレートが一個づつポロッとでてくるような仕掛けになっていたのだった。
可愛らしいM&Mのキャラクターデザインの顔のお人形が今でもハッキリと思い起こされるのだ。
ふと、あることに、この時、伝言ダイヤルの女性は気づいていた。
それは、幸子が臨席の男性グループに高級チョコレートのゴディバを送ってくれっていうことは、幸子の住所を知っているに違いないということだった。
まだ、この時点で伝言ダイヤルの女性は幸子の住所を知らなかった。
そして、その後もずっと知ることはなかったが。
伝言ダイヤルの女性が幸子に
「幸子さんは、彼らには住所を教えているんですね」
と質問をすると幸子は、
「いいえ、会社に送ってもらうんです、会社の取引先の人なんですよ」
と、すぐ話を交わされたのだった。
それは多分、本当のことだったと思う。
もし、嘘だったとしても別にそれほど気にすることでもなかったのだったし。
『この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません』
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