みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。
 
ジェンダーギャップ指数について 
 

• ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラムが国別に男女格差を数値化したもの 
• この指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの要素から評価され、0が完全不平等、1が完全平等を示している 

• 日本は、2021年は156ヵ国中120位と、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中では韓国や中国、ASEAN 諸国より低い結果となっており(前年は121位)、119位のアンゴラと121位のシエラレオネに挟まれる形となっている 


• 特に、「経済」と「政治」の数値が著しく低く、「経済」の順位は156か国中117位(前年は115位)、「政治」の順位は156か国中147位(前年は144位)となっている 
 

• 政治分野では、スコアは上がっているものの、各国がジェンダー平等に向けた努力を加速している中で、日本が遅れを取っているため、順位は低下している 
 

• 政治の小項目に使用されている、国会議員(*日本の場合は衆議院議員)の男女比、閣僚の男女比、最近50年における行政府の長(*日本の場合は総理大臣)の在任年数の男女比の各スコアと順位は以下の通り 
 

• 国会議員(*日本の場合は衆議院議員)の男女比:140位、スコア0.110    女性議員割合―衆議院9.7%(2021年12月22日) 参議院23.1%(2022年
1月6日) 
 

• 閣僚の男女比:126位、スコア0.111                         閣僚の女性割合―10% 
• 最近50年における行政府の長(*日本の場合は総理大臣)の在任年数の男女比:76位、スコア0                                            女性の総理大臣の数―0人 
• 経済分野では、管理職の女性の割合が低いこと(14.7%)及び男女の賃金格差が順位を下げる要因となっている 
       
クオータ制について 
 

• クオータ制とは、ポジティブアクション(affirmative action)の手法の一つであり、政治における男女間格差を是正する方策である 


• クオータ制の実施については以下の4つが挙げられる 
 

①○強 議席割当制:議席のうち一定数を女性に割り当てることを憲法又は法律のいずれかにおいて定めているもの(26カ国が導入) 
 

②○中 法的候補者クオータ制:議員の候補者の一定割合を女性又は男女に割り当てることを、憲法または法律のいずれかにおいて定めているもの(60カ国が導入) 
 

③○弱 政党による自発的クオータ制:政党が党の規則等により、議員候補者の一定割合を女性又は男女に割り当てることを定めるもの(55カ国が導入 うち22カ国では、議席割当制又は候補者クオータ制とを併用している) 
 

④全くない国 
 

日本は④にあたる  候補者男女均等法による努力義務が達成されれば③に上がる 
  
  
内閣府男女共同参画局

「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組」より抜粋 
 
• 各国の取り組み 


• フランス:法的候補者クオータ制 
 

• 1999年に憲法を改正して、2000年にパリテ法制定 
 

• 上院議員選挙では、比例代表制部分について候補者名簿を男女交互方式とする 女性議員は下院39.5%、上院33.3% 
 

• 韓国:法的候補者クオータ制 
 

• 2000 年のクオータ法制定時には比例候補者の30%以上について女性を割り当てることについて努力義務とされていたが、2018 年の改正で女性の割合を比例名簿過半数にすることが義務化された) 女性議員は17.3% 

• 公的政治資金の活用(180カ国中32カ国) 
 

• ①事前に設定した女性比率を超えた場合に、助成金を受け入れる等の仕組み(5カ国) 
 

• ②女性候補者・議員比率に応じて配分額を増加させるか、あるいは数値目標との差に応じて配分額を増減させる仕組み(13カ国) 
 

• フランス:下院議員選挙(小選挙区制)において、各政党の選挙候補者の男女差が2%以上の場合、政党助成金を減額する 
 

• ③使途に関して女性の政治参画を高める目的などの制限が課されている仕組み(6カ国) 
 

• メキシコ:2006年に政党助成金の2%を女性のための研修に使うことが義務化され、2014年には3%に増額 使途については国家選挙管理機構が監査し、違反には罰金を課す 
 

• ①と③の併用型(2カ国) 
 

• ②と①の併用型(1カ国) 
 

• ②と③の併用型(5カ国) 
 

• 韓国:小選挙区の30%以上に女性を公認した政党間で配分する「女性候補者推薦補助金」と、政党交付金の10%にあたる「女性政治発展基金」の2種類の女性議員を増やすための公的政治資金が導入されている 
      
男女間格差についての考察と問題点 
 

• 国民全体の性別・年齢構造に比べて、国会議員は女性・若い世代が少なくなっている 
 

• 女性議員比率の国際比較―日本の順位(衆議院)は190ヵ国中168位(仮に、参議院で比較すると94位、衆参合計で比較すると149位) 
 

• 他方、男女の年代別投票率(第49回衆議院議員総選挙)を見ると、男女ともに20歳代と比べて、「18〜19歳」の投票率が高く、「18〜19歳」から「60〜64歳」までは女性の方が投票率が高い 
 
• 課長補佐の女性割合が小さいのはなぜか? 
 

• 昇進試験の受験資格に、転勤等の実績が重要な場合が多く、育児出産で転勤が難しい女性にとって昇進していく機会が少なくなってしまっている 
 

• 産休育休明けの復帰女性社員に対して大変だから良かれと思って「いない」と言ってる実情―Unconscious  bias(アンコンシャス・バイアス)の問題 
 

• 性別によるポストの固定化ー前期が男性なら次期は女性といったような登用の工夫が必要 
 

• 男女別・学歴別の年収、生涯賃金 
 

• 男女間の賃金格差は世界的にも大きい 
 

• 給与金額は、正社員同士、非正規雇用労働者同士で比較しても、男女間に差がある 
 

• また、給与金額は同じ職業、勤続年数であっても男女間で差がある 
→女性は非正規雇用労働者が多いから給与が少ないのだという理由づけは妥当しない 
 

• 同じ学歴でも男女間で年収の差が存在し、年齢の上昇とともに拡大の傾向を示す 
 

• 同じ大学・大学院卒の男女間の生涯賃金の差は、正社員で約 5,200 万円、非正社員で約 3,300 万円 
 

• 女性大卒者の年収は、男性高卒者の年収とほぼ同じ水準である 
 

• 部長級の役職であっても、男女間賃金格差は必ずしも縮小していない 
  
• 新しい資本主義の中で男女間賃金格差をなくし、賃金の底上げを求めていきたい