みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

本日は、岸田文雄総理が総裁選にて「分配なくして次の成長なし」と大きく掲げていらっしゃった「新しい資本主義」について、みなさまにご紹介いたします。

 

「新しい資本主義」とは、従来の株主分配偏重の欧米型資本主義から脱却し、下請け企業や役員や従業員や事業そのものに適正な分配を目指すものです。

この「三方良し」実現のためには、従業員、役員、事業そのものに対する適正な分配が不可欠です。

 

私は、以前より日本における欧米型資本主義の適応に危機感を抱き、法務大臣時代には法務省に新しい資本主義のための審議会を設置しました。法務大臣の任を終えた後も、現在に至るまで継続的に勉強会を行っております。

(10月11日に行われた、元オックスフォード大学教授・現早稲田大学教授スズキトモ先生との新しい資本主義勉強会の様子。)

 

 

日本では、既に経済成長が鈍化し人口減少が続く「成熟経済社会」に突入しています。対して欧米社会は、未だに人口増加、経済成長が予測される社会です。

この様に大きく潜在的成長率の異なる経済社会間においては、それぞれに適した、異なる仕組みが適応されるべきであることは想像に難くありません。しかし、欧米の仕組みをそのまま日本に輸入してしまったものが現行の欧米型資本主義なのです。

欧米型の資本主義を無理やりに日本社会に適応させた結果として、下図のように従業員や役員、事業に対する分配が一向に進まない一方で、株主還元のみが異常に膨らんだ状況が引き起こされています。

(出典:アライアンスフォーラム財団公益資本主義研究部門 / 早稲田大学・スズキ研究室。)

 

上図より、失われた30年の始まりとされる1991年から、日本の経済成長(売上高)が停滞していることが分かります。また2001年以降、従業員給料は下落しているにも関わらず、利益と株主還元は急激に増加していることがわかります。

 

売上高の成長が停滞しているにも関わらず、過去20年間利益は成長している。これは給料やR&D(研究開発)等がコスト削減の対象となり、犠牲となっている可能性を示しています。そうして増加した利益は、配当や自己株買いの形式で優先的に分配されています。

 

「資本市場の逆機能の20年間」(スズキトモ)とも称される期間の問題は、四半期開示決算や剰余金の取崩しによる自己株買いなど、投資家への過剰な還元、優遇措置が導因となっています。

 

 

これに対して岸田総理の掲げる「新しい資本主義」政策とは、以上の問題をリセットするために株主への還元、優遇措置を見直し、下請け企業や従業員、役員、事業への適正な分配を行うことを重視するものです。

即ち「分配なくして次の成長なし」とは、付加価値を投資家へ過剰に還元するのではなく然るべきステークホルダーへ分配し、分配による好循環を発生させることで、日本経済の成長を促すことを企図するものです。

 

先日の岸田総理の所信表明演説でも言及されましたが、「新しい資本主義」政策のひとつとして四半期開示制度の見直しが挙げられます。

成熟経済社会である日本においては、四半期開示制度は投資家、経営者両者に短期的思考をもたらし、投資家への過剰還元を誘発する原因となります。この過剰還元により、企業の長期的、持続的発展に必要な資金ですら企業外、国外へ流出してしまう状況が発生しているのです。

四半期開示を廃止し、投資家への還元に代わり、下請け企業や従業員や役員、事業への分配を増やす環境を作ることで、企業の持続的発展に必要な資金の流出を最低限防ぐことが可能であると考えています。

 

四半期開示制度は些末な問題であると思われるかもしれませんが、四半期開示こそが「分配なくして次の成長なし」の最大の障害となっており、その廃止こそが岸田総理の「新しい資本主義」への政策転換のための第一歩であると言っても過言ではありません。

「新しい資本主義」実現を目指す上で、四半期開示廃止は外すことのできない論点であるのです。

 

 

国民のみなさまのより良い暮らしのため、今後とも「新しい資本主義」実現のために党副幹事長として全力を尽くす所存で参ります。