みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

2021年6月28日、千葉県の路上でトラックが下校中の児童の列に突っ込み、2人の児童が亡くなるという痛ましい事故がありました。

このような凄惨な事故の再発を防ぐためにはしっかりとした対策が必要であると私は考えています。

 

2019年6月6日に成立した死因究明等推進基本法においても、法律施行後3年を目処にいわゆるCDR(Child Death Review)制度の確立が求められています。

CDRとは、子どもが死亡した時に、複数の機関や専門家(医療機関、警察など)が、子どもの既往歴、家族背景、死に至る直接の経緯などの情報を元に予防できる可能性の検証を行い、効果的な予防対策を導き出すことで、将来的に死亡率を可能な限り減らしていくシステムのことをいいます。

特に事故あるいは虐待ということであれば、社会全体として再発防止に資する施策議論をどのように行っていくのか、という観点からもCDRは不可欠な制度だと考えています。

未来を支える子どもたちの大切な命を守るために、全国どこに住んでいても、子どもが亡くなったときにCDRを実現できる体制構築を目指します。

 

このような動きを背景として自由民主党「こども・若者」輝く未来創造本部にて取りまとめられた「こどもまんなか」改革の実現に向けた緊急決議の内容をご紹介いたします。

 

私は7年間、財団法人1more Baby応援団で子どものための全国調査・海外調査、そして子育て世代の皆様の声を聞く活動をしてまいりましたが、その成果を全てこちらの会議に活かして頂きまして、結婚・妊娠・出産・産後ケア・そして子どもの成長過程までを含む全ての段階において子ども達を支援します。

ママもパパも、その他の子育てに関わる全ての皆様と、子どもを守るために活動なさっている全ての方々にプッシュ型で支援を届ける子ども庁を作るという事に対して一歩進み出すことができたことを大変光栄に、そして誇りに思います。記者会見の様子は下記リンクよりご覧いただけます。

 

https://www.facebook.com/100003277375713/videos/4013580778761128/

 

以下が緊急決議の具体的な内容になります。

 

こども・若者を取り巻く状況は、深刻さを増している。

児童生徒の自殺者数は過去最悪となり、児童虐待やいじめの問題は益々悪化している。出生数の減少は予想を上回るペースで進行し、人口減少に歯止めがかからない。

新型コロナウイルス感染症は、こうした問題をより顕在化させた。

こうした強い危機感に基づき、自由民主党においては、「こども・若者」輝く未来創造本部を設置した。本部では、「こどもまんなか」という考え方の下、行政や事業者の立場からではなく、こどもの視点、こどもの目線で、こどもたちが生まれる前の段階から、産まれ、育ち、学ぶ、それぞれの段階ごとに光を当て、こども政策を作り直すために議論を進めてきた。

これまでも政府は様々な少子化対策等を講じているが、残念ながらその成果が表れているとは言い難い。

この点は責任与党としても真摯に反省しなければならない。

少子化対策担当大臣経験者にもヒアリングを行い、これまでの取組みについての振り返りも行った。

この結果も踏まえ、もはや我が国社会の存続が危機的状況にあるという認識の下、こどものための政策のあり方を、抜本的に改革しなければならない。これは政治の責任であり、役割である。

1996年の省庁再編時には、「国家の4つの機能」として、「国家としての存続機能」「国富の拡大・確保機能」「国民生活保障機能」「教育・文化継承醸成機能」が前提とされていた。

まず私たちは、現下の我が国社会の危機に際し、国家の5つ目の機能として「社会の存続支援機能」を加えるべきであると考える。

具体的には、こどもをまんなかにおき、こどもの権利を尊重し、こどもの命や安全を守る政策を強化する。さらに、家庭、地域、保育所、幼稚園、学校、自治体、さらには親や養育者の就労環境や社会におけるジェンダーギャップ解消への取組みも含め、こどもを取り巻くあらゆる環境も視野にいれる。

こうしたこどもの成育、成長過程の全体について、国としての責任の所在を明らかにし、予算や人材といった資源を思い切って投入する。そして行政・政治・社会全体に「こどもまんなか」という考え方を浸透させることにより、全てのこどもがすくすく健やかに育ち(愛育)、のびのび学び活動(育成)し、たくましく生きていく力を身につける(成育)ことができる社会を目指す(イメージ図参照)。

 

(出典:Children Firstの子ども行政のあり方勉強会)

図:「こどもまんなか」改革のイメージ

 

その成果として、温かい家庭を築きたいと願う人々の想いに寄り添い、長らくの課題である待機児童問題を解消し、児童虐待やいじめはすべて隠すことなく、速やかに対応する。

こどもの貧困や、その他こどもが直面するさまざまな課題も解決し、我が国に生まれくる全てのこどもたちの幸福につなげる。

政府に対しては、「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を有する行政組織としてこども庁(仮称)を創設することを含め、下記について「骨太方針2021」に盛り込み、速やかに実現することを求める。

 

1.こども制作に関するデータ収集分析能力を向上させ、エビデンスに基づく政策立案と実践(EIPP)を確立すること

深刻化しているこどもの貧困や児童虐待、重大ないじめ、こどもや産後の母親の自殺といった課題に対する行政の対応は、必ずしも成果に繋がっていない。

その原因として、こどもに関する施策の立案や実施において、厚生労働省・文部科学省・内閣府などのタテ割りの壁、各省庁・各都道府県・各市町村のヨコ割りの壁、さらには妊娠・出産・産後や、就学前後、成人前後に見られる年代割りの壁があり、こどもや家庭の目線に立った相互の連携や情報共有、評価などを困難にしていることが指摘されている。

こどもを取り巻く喫緊の課題に迅速かつ適切に対応するためには、そうした課題に関するデータの収集、分析能力を飛躍的に向上させ、統計を充実させるとともに、これをPDCAに確実に活かし、エビデンスに基づく政策立案と実践(EIPP: Evidence Informed Policy and Practice)を確立することが必要である。

政府の施策の改善に活用するのみならず、こどもに身近な自治体や施設のレベルにまで適切にフィードバックする体制を構築しなければならない。

この実現に向けては、イギリスにおける教育水準監査局(Ofsted: Office for Standards in Education)の取組み等を研究すべきである。

 

2.こどもや子育て世代が抱える様々な課題に早急に対応すること

女性の健康、結婚、妊娠・出産、産後ケア、そしてこどもの成育過程までを含むすべての段階において、こども、女性、男性、子育て世帯への包括的な支援を充実させる。不妊治療の保険収載や支援拡充を図る。

産後ケア事業の全国展開や普及啓発等を通じ、こどもとその保護者等(里親を含む)との間の愛着の形成を促進する。

男女が望むだけのこどもを持ち、女性が安心してこどもを産めるよう、家事育児の分担や仕事と家庭との両立など、あらゆる障害を取り除くための政策を強化する。

母親に限らず、父親を含め身近な養育者への支援も必要であることについて、社会全体で理解を深めていく。

こどもの貧困、児童虐待、重大ないじめ、自殺、孤独・孤立などこどもが抱える課題は早急に解決を目指すべきである。

さらにこれらの課題が結果的に教育格差につながるとともに、教育格差が新たな問題を生む負のスパイラルの要因ともなる。

これを断ち切るためには、全てのこどもに教育および福祉の政策の効果を行き渡らせなければならない。

 

3.こども政策を実現するために十分な予算を確保すること

こどもに関する困難な課題に直面する現場の方々を勇気づけ、こども政策を着実かつ機動的に進めるためには、そのための予算を十分に確保する必要がある。

こどもへの支出は未来への投資であり、社会を健全に維持するために必要であることを広く国民に理解を求め、安定的な財源を確保しつつ、こども政策への支出を欧州並みに大幅に拡充すべきである。

 

4.「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を有する行政組織として、こども庁(仮称)を創設すること

以上に記したような政策について、「こどもまんなか」の実現に向けて効果的に推進するためには、現在、各府省が個別に実施している政策、予算、法令について、網羅的・一元的に整理・把握する必要がある。

医療・保健・療育・福祉・教育・警察・司法等の各分野における子ども政策について、タテ割りを打破し、省庁横断で推進すべきであり、妊娠前から、妊娠・出産・新生児期・乳幼児期・学童期および思春期の各段階を経て、おとなになるまでの一連の成長過程を通じ、こどもの視点に立って、困難を抱えるこどもや、家庭をはじめとするその環境への支援が抜け落ちることなく実施され、子どもの権利条約を基盤とし、かつ責任の所在が明らかにされる体制を構築すべきである。

「小一の壁」等の年齢による切れ目や、自治体間または地域間の格差等の解消や是正についても取り組みが必要である。

このため、「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を有する行政組織として、こども庁(仮称)を創設する(イメージ図参照)。

こども庁には、その責任の所在を明確にするための担当大臣を置くことを前提とし、地方自治体の意見にも留意しつつ、政府において実現のための検討体制を早急に設け、ただちに検討を開始すべきである。

 

(出典:Children Firstの子ども行政のあり方勉強会)

図:こども庁(仮称)イメージ

 

以上が緊急決議の具体的な内容になります。

 

特に2.こどもや子育て世代が抱える様々な課題に早急に対応することにつきましては、私が力を入れて取り組んできた政策でもあり、2021年の政府の骨太の方針第2章4項にも記していただきました。

 

これからも国民の声を聞き、それを政府の政策へと反映するべく精進してまいります。

 

[骨太の方針2021]

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/2021_basicpolicies_ja.pdf