みなさん、こんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

5月31日の決算委員会にて質問に立ちました。

参議院インターネット審議中継にてアーカイブ配信されております。是非ご覧下さい。

URL:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6408#413.5

 

今回の質問内容は下記のとおりです。

・東日本大震災10年目の取り組みと処理水の放出について

・こども庁について

・LGBTパートナーの在留資格について

 

●東日本大震災10年目の取り組みと処理水の海洋放出について

〈森まさこ〉

 自民党の森まさこです。質問の機会をいただき、委員長及び与野党の理事の皆様に感謝をいたします。

 まず、原発事故による処理水の海洋放出について質問します。

 資料、前後いたしますが、資料四の一、二を御覧ください。地方議会から反対の意見書が出ています。

 

 

 今年は東日本震災から十年です。令和元年台風や福島県沖地震の被害もあり、コロナ禍も相まって福島県が壊滅的な打撃を受けているさなかでの政府決定でした。決定プロセスについて、もっと被災者に寄り添ってほしかったです。

 つまり、四月二日に官邸から漁業組合長に電話が来ましたが、四月一日、福島県が十年ぶりに漁業の本格操業を開始した翌日だったのです。漁業者のそれまでの苦しみ、御遺体の捜索から始まり、瓦礫の片付け、試験操業と魚の放射線量の検査、気の遠くなるような作業をしてきました。本当に再開できるのかと、不安と闘いながらやってきました。その翌日に官邸から電話が来たわけです。

 復興大臣や環境大臣ら関係大臣に日時ややり方などをよく相談してやるべきであったと思っています。これは本当に苦渋の決断でこのような結論に至ったと被災地に説明して、納得する方法を取るべきです。これでは、内堀知事もおっしゃったとおり、これから国が風評被害、安全対策をしっかりやっていただけるのかどうか、福島県民は大きな不安を持ってしまったと言わざるを得ません。

 処理水の新たな風評被害は必ず起こる、いや、もう起こっている。それに対する対策もまだ提示されていません。

 資料四の三に福島民報記事、そこにマーカーを引いておきましたが、これまでの風評被害対策の焼き直しでは全く効果は見込めません。処理水対策のための新たな予算の枠組みをつくってください。

 また、閣僚で実行会議がつくられましたが、その下に、ヒアリングだけでなく、漁業、農業、商業、観光など被災事業者がメンバーとなる審議会をつくり、どんな風評被害対策をやるべきか、他に代替手段がないか、放出の場所や、これまでの東電のように虚偽や隠蔽がないことを監視する体制など、徹底的に詰めさせていただきたいと思います。官房長官、いかがでしょうか。

 

〈加藤官房長官〉

 実行会議の議長という立場で答弁をさせていただきたいと思います。

 ALPS処理水の取扱いについては、今御指摘のように、もはやこれ以上先送りができないという中で大変重たい苦渋の決断でありましたけれども、安全性の確実な担保と万全のモニタリング体制の整備、漁業などの御懸念の把握と徹底した風評対策の二点を確保することを前提に、四月十三日に基本方針を定めたところであります。

 風評対策に関しては、対策を着実に実行していくことが重要であり、四月十六日に、私が議長となる新たな関係閣僚会議の第一回会合を開催し、安全性に係る科学的な根拠に基づく情報の発信、風評の影響を未然に防ぐための販路拡大などの支援、最大限の対策を図ってもなお風評被害が生じた場合の丁寧な賠償など、徹底した風評対策を講じることを確認したところであります。

 また、この会議では、風評対策や安全性の確保はもちろん、風評を抑制する放出方法、適切な監視、情報発信を通じた透明性の確保など、基本方針を踏まえ今後定める内容を着実に実行できるかについても確認をしていくこととしております。

 加えて、新たな閣僚会議の下に経済産業副大臣を座長とする関係省庁によるワーキンググループを新設し、本日、福島県において第一回の会合が開催される予定となっております。

 今後も、宮城県、茨城県などの現地においてワーキンググループの会合を開き、地元自治体、農林水産業、観光業、流通業といった様々な方々から基本方針決定後の状況変化、追加すべき対策などに関する現場の御意見を直接丁寧に伺っていきたいと考えております。夏頃までに課題を抽出し、喫緊の追加対策を取りまとめる予定であります。

 予算については、まずは令和二年度補正予算や令和三年度当初予算を効果的に活用していくことになりますが、風評対策のための新たな予算についても必要あれば躊躇なく確保し、具体的な対策を講じていきたいと考えております。

 具体的な放出や放出方法、その監視方法、風評対策を検討するに当たり、現場の皆さんの声あるいは実情を把握している有識者の声もしっかりと伺っていくことは大変重要であり、現場の声をより良く把握し対策に反映する具体的な仕組み、やり方についてはワーキンググループにおいて検討させていただきたいと考えております。

 

●こども庁について

〈森まさこ〉 

 ありがとうございます。追加対策と現場の意見を聞いていく枠組みについて、前向きな御答弁をいただきました。

 次に、こども庁について質問します。

 自民党では、「こども・若者」未来創造本部を設置し、議論してきました。私は、その事務総長代行として、本日午後、本部の総会に緊急決議案がかかります。私は、自民党が政権に復帰した安倍内閣の、安倍第二次内閣の初代少子化大臣を拝命しましたが、子供・家庭関係予算は世界先進国で最低であり、他の子供予算を削って新しい子供予算に充てるなど予算のツケ回しに終始するやり方では将来世代に責任が持てないと思い、少子化大臣として麻生財務大臣にお願いをし、初の独自予算である地方少子化対策交付金を創設させていただくなどしましたが、予算の規模は、まだまだ世界水準に追い付いておりません。

 官房長官もお会いになった初代の審議会メンバーと、子供の幸せということをテーマに長年勉強を重ねてきました。資料一は、医療や子育ての専門家や企業と七年にわたり全国調査、海外調査、相談会、地方自治体との連携イベントなどの活動をしてきて、書籍三冊にまとめたものです。

 子供の命や心を取り巻く状況は危機的です。これらの問題は少子化大臣が無任所大臣であり、予算と人員を持たないことも一因ですので、こども庁を提案しますが、新しい省庁をつくるだけでは解決しません。その中身、そしてその仕組みを今までとは全く違ったアプローチにしない限り、縦割りや地方との格差、ライフイベントごとの課題は解決できないと思っております。

 そこで、本日は、フィンランドのオーロラAIを紹介します。省庁の仕組み、国民との関係を完全に逆転し、これまでの省庁中心の政策から国民中心、ヒューマンセントリックな考え方に立って、組織や事業自体を大転換しています。

 資料二の一で、フィンランドは、ほとんどの指標で緑色、つまり世界で高順位であります。三月に国連が発表した二〇二一年世界幸福度ランキングでも、フィンランドは四年連続一位でした。

 資料二の二を御覧ください。

 これがフィンランドのオーロラAIです。我が国の子供たちが国に誇りを持ち、夢を大きく持ってこれからの社会で必要とされる非認知能力などを高めていけるように、オーロラAI型の子供中心の、子供が真ん中にいるこども庁を設立すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、その場合、欧米のように男女格差を解消することが先決であることも、党本部でヒアリングした京都大学大学院柴田悠准教授も述べています。

 資料三の一と二のとおり、ジェンダーギャップ指数は先進国で最低であり、家事、育児時間は男性の七倍とも言われ、日本の女性は、睡眠時間も世界で最も短いのです。男女が望むだけの子供を持ち、また女性が安心して子供を産めるよう、家事、育児の分担や仕事と家庭との両立など、あらゆる障害を取り除くための政策を展開することが大事です。

 そのため、こども庁と男女共同参画担当大臣は、現在のように別の人物がそれぞれ担当するのではなく、同一人物が兼務して強力に推し進めることが不可欠と考えますが、いかがでしょうか。官房長官、お願いします。

 

〈加藤官房長官〉

 子供、また若者に関する施策について、現在、自民党、また与党内で組織の在り方も含めて議論いただいていると承知をしており、政府としては、その議論を注視し、また受け止めていきたいと考えているところであります。

 政策を推進に当たって、委員御指摘の子供中心の考え方、これはそのとおりだというふうに思います。行政側からのサービスを提供するという立場に立った議論になることがあるわけでありますが、受け手である子供さんあるいは家庭、そうした立場に立って考えていく、子供たちのために何が必要であるのかという視点は、組織の在り方も含め、そういう立場に立って組織の在り方も含め考えていくことが必要だというふうに考えております。

 また、フィンランドのオーロラAIというんでしょうか、御指摘もありました。昔というか今でもそうですが、ネウボラという一貫した子育て支援の仕組みもあり、私も見させていただきましたが、そうした他国において非常に有効なものがあれば積極的に取り入れ、また、日本はデジタル化についてもこれから一気に進めようとしているわけでありますから、そういった意味でも十分に参考にさせていただきたいと思っております。

 行政組織やサービスの在り方は、まさにその状況に応じて変わっていくべきものであります。また、そのときの国民の皆さんの期待あるいは不安にどう応えていくのか、そういった観点から不断の見直しを図っていくべきだと思います。

 また、担当大臣のお話がありました。任命権者は内閣総理大臣でありますので、その時々の判断で、適材適所であり、また、それぞれの大臣がどういうことを、所管を抱えておられるのかということを判断して総合的に進められている、総合的に判断されているわけでありますが、子供関係施策と男女共同参画施策は、仕事と子育ての両立の観点等も含めて、これは緊密に関連をしているところであります。よく言われるところでありますが、男性の育児参加が高ければ第二子を出生しやすいという相関もあるという指摘等々もなされているところであります。

 政府としては、担当大臣だけではなくて政府一体となって、内閣あるいは政治の中心課題の一つと、こういう位置付けとして、一丸となってこの問題には取り組んでいきたいというふうに思っております。

 

●LGBTパートナーの在留資格について

〈森まさこ〉

 力強い御答弁をありがとうございました。

 それでは、官房長官への質問を終わり、最後に法務大臣にお伺いをしたいと思います。

 資料五を御覧ください。

 現在、同性パートナーの在留特別資格については、海外で同性婚をした者は配偶者の在留特別資格が認められています。つまり、外国人カップルなら認められる在留資格が日本人の外国人の配偶者には認められないことになっており、不平等ではないかと思います。

 この問題については長く法務省で検討をしてきましたが、日本人の外国人配偶者にも平等に在留資格を認めるべきではないでしょうか。法務大臣、御答弁をお願いいたします。

 

〈上川法務大臣〉

 同性パートナーに係る在留資格でございますが、この今後の在り方に関しまして、様々な方々の声にしっかりと耳を傾けた上で、前向きに検討してまいりたいというふうに存じます。

 

〈森まさこ〉

 前向きに検討するという御答弁をいただきました。

 実は、このコロナ禍でも問題が生じております。やはり入管での配偶者としての滞在が認められていないと、日本国内で配偶者が、同性婚の配偶者がコロナで入院をした場合に、重症化して別の病院や別の病棟に移されたときに、その事実、病院の名前等を知らせていただけないなど、又は最も最終的な大事な局面になったときに立会いできないなどの悲痛な声も寄せられておりますので、法務大臣におかれましては、何とか、これは国内の同性婚を認める認めないとは無関係な問題でございますので、検討を前向きに進めていただくことを重ねてお願いしたいと思います。

 議員立法のLGBT理解増進法についても、与野党協議の結果が出た合意案について、関係者の皆様が今国会の成立に向けて頑張られているところでございます。誰一人取り残さない社会の実現に向けて私も全力で努力してまいることを誓い、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。