みなさん、こんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

5月18日の法務委員会において質問に立ちました。

参議院インターネット審議中継にてアーカイブ配信されております。是非ご覧下さい。

URL:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6367#108.8

 

今回の質問は前回「5月13日法務委員会質問」に続く形になります。

前回の質問報告記事も合わせてご覧いただければと思います。

 

 

今回の質問内容は、

・少年法改正案について

・取調べの弁護人立ち会いについて

・少年院での処遇について

 

 

●取調べの弁護人立ち会いについて

〈森まさこ〉

自民党の森まさこです。前回に引き続き、取調べの弁護人立会いについて質問をいたします。

前回指摘したとおり、四月八日の当委員会で上川大臣が、法制審特別部会で導入しないということとされたと御答弁されましたが、それでは、過去の法務省答弁に「導入しないこととされた」と答弁したことがあるかどうかを平成二十七年当時まで遡って国会議事録を全てチェックいたしました。その結果、過去にそのような答弁はありませんでした。昨日、法務省刑事局も、「導入しないこととされた」という答弁は過去一度もしていないことを認めました。本日は、当時のまさに当事者である法制審特別部会の委員も傍聴に来てくださっています。資料一を御覧ください。在り方検討会での村木厚子さんの発言議事録です。本当に驚くべきことが書かれています。私は読んだときの衝撃を忘れません。この議事録自体もなかなか出てこなかったのですが、今日は時間がないのでそのことは話しませんが、また明らかにする機会があれば述べたいと思っています。最後の部分に私がマーカーを引いておきました。弁護人の立会いの必要性を述べています。彼女もまた法制審特別部会の委員です。法制審特別部会では果たして「導入されないこととされた」のでしょうか。その基本構想に記載してあるとおり、取調べの弁護人立会いについては賛否両論あったため「結論を得ることが困難であった」のではないですか。そのため、「その要否・当否を含めて別途検討されるべきこととされた」のですよね。このように、基本構想の議事録を引用して質問しています。もう一度言います。弁護人の取調べの立会いについては、結論を得ることが困難であったため、その要否、当否を含めて別途検討されるべきこととされたのですよね。大臣は前回、答弁が説明不足であったとおっしゃってくださいました。そうであれば、説明不足の点を補足して、再度御答弁を願います。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 ただいま森まさこ委員御指摘のこの法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会におきましては、中間報告として、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想が中間的な取りまとめとして出されたところでございます。ここにおきましては、被疑者の取調べへの弁護人の立ち会いにつきまして、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否及び当否も含めて「別途検討されるべきである」と記載をされているところでございます。

 

〈森まさこ〉

 今御答弁を大臣からいただいたとおり、法制審特別部会では、その要否、当否を含めて別途検討されるべきこととされたわけでございます。それでは、大臣、ここに書いてあります「別途検討されるべきこととされた」というところにいう別途検討、これはいつするのですか。昨年末、大臣が受け取られました刷新会議の報告書でも三年後の見直しを含め検討すると記載されていますので、大臣から検討のスケジュールをお示しくださいますか。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 私、先日森まさこ委員から御質問がございまして申し上げたところでございますが、法制度につきましては、社会情勢の変化等も踏まえつつ、時代に即したものとなるよう不断の検討を行っていくということが重要であると、これは基本的な認識でございます。この被疑者の取調べへの弁護人の立会いにつきましては、法務・検察行政刷新会議、これは森まさこ委員が法務大臣のときに立ち上げられた会議でございまして、報告書も出されたところでございますが、そこの中におきましては、弁護人の立会いの是非も含めた刑事司法制度全体の在り方について、社会の変化に留意しつつ、中略でありますが、幅広い観点からの検討がなされるよう適切に対応することとの御意見をいただいたところでございます。私からは、このことにつきまして様々な分野の様々な視点での幅広い御意見をいただいたところでございますので、これをどのように対応していくのかということも含めまして、いろいろ分野がございますので、その意味で適切に対応してまいりたいという、こうした物の考え方の中で、刑事局に対しまして適切に対応するよう指示をしたところでございます。法制審議会、また法務・検察行政刷新会議におきましても様々な御意見、また先ほど申し上げたような記載事項もございますので、刑事司法制度全体の中で適切に対応していくものと考えております。

 

〈森まさこ〉

 上川大臣、ありがとうございます。上川大臣は、私が当時立ち上げました法務省の刷新会議、この報告書を受けて、公文書の取扱いや決裁の在り方などについては法務省ガバナンス会議を立ち上げてくださいましたし、また、今ほど議題にしております弁護人の取調べへの立会いを含めた捜査全般の在り方については刑事局に指示をしてくださいました。大変有り難く思っております。ただ、その大臣の指示を踏まえて刑事局が何をしているかと申しますと、指示を踏まえた後に、私のこの委員会での質問に対して、「導入しないこととされた」という、過去一回もしていない答弁を大臣にさせるなどしておりまして、本当に大臣の指示を踏まえてこの取調べの弁護人立会いの問題について検討をしているのか、非常に疑問に思っております。そこで、大臣におかれましては、大臣が指示をした後に刑事局において具体的にどのような作業をしているのか、いま一度確認をしていただきたく思います。例えば、立会いについては、立会いを求めたのに拒否されたなどの現場における個別具体例を検討することも必要であると考えられます。弁護士の皆様方からはこのような実務における具体例を私の方にいろいろと聞いておりますので、こういったことを実務者レベルで日弁連などの弁護士の皆さんと法務当局との協議の場を設けてはいかがでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 これは刑事局の方に指示をしたところでございまして、刑事司法制度全般のこの手続に係る大変重要な項目の一つであると認識をしております。当初、私は今冒頭の答弁で申し上げたとおり、刑事訴訟法、また刑事のこの手続に関しましては絶えず見直しをしていくべき事柄であるということで、検察行政刷新会議の中での御提言もそのような趣旨でしっかりと位置付け、そして認識をした上で指示をしたところでございます。どのようなやり方で対応していくのか、改めて刑事局の方に、少し私の方からその内容につきましての動きについてはフォローさせていただきまして、またそのような方向性につきましてどう考えているのかということも併せて考えてみたいというふうに思っております。

 

〈森まさこ〉

 ありがとうございます。大臣の方で指示の後、刑事局で何をされているか御確認いただくということでございました。今ほど私の方で提案をいたしました、実務者レベルでの弁護士と法務当局との協議の場を設置することについても検討をお願いしたいと思います。

 

●少年法改正について

〈森まさこ〉

 それでは、次の質問に入らせていただきます。少年法でございますけれども、少年の再犯率と成人の再犯率がよく比較されますが、18歳、19歳の年長少年の再入率と若手成人、20代や30代の若手成人の再入率を比べるとどうでしょうか。つまり、少年全体と成人全体という大きなグループではなく、年の近い18歳、19歳と20代、30代の再入率を比べるとどうですか。法務省、お願いします。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 お答え申し上げます。平成30年の少年院出院者の2年以内の再入院率につきましては9.7%となっております。一方で、30歳未満の受刑者、平成30出所の30歳未満の受刑者の2年以内の再入率につきましては9.2%ということになっております。

 

〈森まさこ〉

 データでは若手成人の方が若干低いというような今お話がありましたが、ほぼ似通った数値になっていると思います。実は、犯罪白書を私も読み込んでみましたが、このようにジェネレーションごとに細かく見ていきますと少しずつ上がっているということで、年の近い者の再入率はほぼ似通ったような傾向を示しております。私は、やはり実質的に重要なことは、可塑性に富むこの年代、そして、脳の研究でも分かってきた若い世代、まあ25や26歳までもやはり脳というのは発達している、その年代の方たちに対する処遇というのは、少年院であっても少年刑務所等であっても、その更生、そして再犯の防止に資するものとするため、教育的処遇をしていくことこそが大事だと思います。実際の現場においてどのような教育的処遇をしているのか、少年刑務所等の例をお示しいただきたいと思います。

 

〈法務省矯正局長〉

 お答え申し上げます。刑事施設におきましては、個々の受刑者の特性に応じまして改善指導、教科指導等の矯正処遇を実施しているところでございますが、特に少年受刑者につきましては、その可塑性に期待し、精密な処遇調査に基づく処遇要領を作成した上で、個別担任を指名し、面接、日記指導等の個別に行う指導も行っております。また、改善更生及び円滑な社会復帰のために学力向上が必要な受刑者に対しましてはその学力に応じた教科指導を実施しておりまして、その一環として、一部の少年刑務所におきまして、近隣高等学校の協力の下、当該学校の通信制課程に受刑者を編入させて、刑期の中で卒業に至らせるまで綿密、丁寧な指導を行う取組を行っております。このほか、文部科学省との連携により、少年院と同様に、刑事施設内におきましても高等学校卒業程度認定試験を実施しております。なお、刑事施設における同試験の令和2年度の実績は、受験者数309人に対しまして、1科目以上の合格者が296人であり、うち136人が高卒認定合格者となっております。少年法改正等の特定少年を含む若年受刑者の処遇につきましては、法制審議会の答申等を踏まえまして、少年院の矯正教育の知見等を活用しながら、教科指導を始め、これまで長年にわたり培ってきた少年受刑者に対する処遇内容、処遇方法等を生かして、充実させるよう検討してまいりたいと考えております。

 

〈森まさこ〉

 私が大臣時代ですが、当時の副大臣であった義家副大臣が、強いリーダーシップを持って、この少年刑務所等における少年の高卒、高校卒業又は高卒認定を得るように働きかけてくださいました。それでは最後に、そのような現状を踏まえて、法成立がもしなされましたら、18歳、19歳の者が少年刑務所等に入った場合の処遇を現在よりもより可塑性に配慮したものにいくため、少年院等のやり方も取り入れていくお考えはありますか。

 

〈法務省矯正局長〉

 お答え申し上げます。法制審議会の答申におきましても、少年院の知見を使っての少年受刑者の処遇の充実ということが言われておりますので、今後、少年受刑者に対しましても、少年院で培った知見、ノウハウを活用して少年受刑者の処遇の充実に努めてまいりたいと考えております。

 

〈森まさこ〉

 終わります。ありがとうございました。