みなさん、こんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

5月13日の法務委員会において質問に立ちました。

参議院インターネット審議中継にてアーカイブ配信されております。是非ご覧下さい。

URL:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6355#106.5

 

主な質問内容は、下記のとおりです。

●少年法改正案について

●取調べの弁護人立ち会いについて

●被害者支援弁護士について

〈森まさこ〉

自民党の森まさこです。

●少年法改正法案の経緯と趣旨

 少年法の在り方については、我が党及び与党内で長い間議論が重ねられました。上川法務大臣は、大臣御就任前、自民党司法制度調査会長、与党PT座長として議論の中心を担われました。この問題には様々な立場や御意見があり、議論の取りまとめには並々ならぬ御苦労があったものと推察いたします。当時の担当であった宮崎政久当時政務官にも逐次報告を受けておりました。

 上川大臣から、当時の議論の経緯や御苦労なさった点、改正案への思いなどをお聞かせ願いたいと思います。

 

〈上川陽子法務大臣〉

ただいま森委員から御紹介いただきましたが、私自身、法務大臣就任前におきましては、自由民主党の司法制度調査会長として、また与党のPTの座長としてこの議論について携わらせていただきました。少年法のこの在り方に関しましては、様々なお立場の方々からも、いろんな視点からのヒアリングも行ったところでございまして、全くその御意見の幅も大変広いということも改めて痛感したところでございます。

 この少年法でございますが、若年者全般を実は対象とするものではございません。あくまで罪を犯し、刑罰法令に触れ、あるいはそのおそれのある非行少年に対しまして、この刑事司法制度の中でその健全育成を図るものでございます。

 そして、その犯罪を取り扱う刑事司法制度でございますが、この罪を犯した者が将来及び犯罪に及ぶことを防止する、いわゆる特別予防に資するだけではなく、この私的制裁を禁止し、国家が刑罰権を独占する以上、被害者や社会の応報感情にも適切に応え、制裁の威嚇により犯罪を抑止する、いわゆる一般予防にも資するものであること、このことが求められるものでございます。

 そこで、少年法の在り方を検討するに当たりましては、少年の保護、教育の観点だけではなく、刑事司法全体の制度の在り方として、この刑事司法制度の存立基盤であります被害者を含めた国民の理解、信頼の観点をも考慮すること、これが不可欠であると考えております。

 このような観点から、これまでも累次にわたりまして少年法の改正が行われてきたものというふうに理解をしているところでございます。

 そこで、今回、十八歳及び十九歳の者の位置付けでございますが、まず平成二十七年の公職選挙法の改正によりまして選挙権を与えられ、国政に参画をする権利を得るとともに、国会議員の選挙という公務に参画する責務を負うことになりました。

 また、これらの者は、平成三十年の民法改正によりまして、民法上の成年として経済取引の自由を認められるとともに、親権者の監護権から外れる自律的な法的主体となるに至った者でございます。

 これらの社会情勢の変化によりまして、十八歳及び十九歳の者は、成長途上にあり、可塑性を有する一方で、社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場として位置付けられたと言えるところでございます。そうなりますと、十八歳及び十九歳の者にとりましては、少年法においてもその立場に応じた取扱いをすることが適当であり、刑事司法に対する被害者を含む国民の理解、信頼の確保という観点からも必要でございます。

 そこで本法律案でございますが、十八歳及び十九歳の者につきまして、少年法の適用対象として全事件を家庭裁判所に送致することとしつつ、特定少年として原則逆送対象事件に死刑、無期又は短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件を加えること、また、検察官送致決定後の刑事事件の特例に関する規定は原則として適用しないこととすること、また、公判請求された場合には推知報道の禁止を解除することなど、十七歳以下の者とは異なる特例規定を定めることとしたものでございます。

 様々な論点が複雑に絡み合っているところもございまして、一つの問題を全て一つずつ解決すれば全体がバランス取れたものになるかといえば必ずしもそうではない。今申し上げました基本的な考え方に基づきまして、この段階におきましての一つの大きな方向性として、今申し上げたような法律案にまとめ上げるということになった次第でございます。

 

〈森まさこ〉

この少年法改正法案の成立に至った過程にずっと携わってこられた上川法務大臣の御説明を聞いて、よく理解ができました。

 

●犯罪被害者支援弁護士について

 今、上川大臣のお話の中にもございましたが、少年事件にも被害者がいます。先日の参考人意見聴取でも、参考人の皆様方から口々に、被害者の救済が重大であると、重要であるというお話がありました。例えば、大山参考人はこのようにおっしゃっておられました。「これまで、少年法の改正が沸き起こるたびに加害者と被害者遺族の意見が衝突するように思います。その一番の問題は、被害者、被害者遺族を救済する制度がないことです。これはつくらないといけません。」

 では、具体的に何をすべきか、これを議論すべきだと思います。そこで、私は、今日は犯罪被害者支援弁護士について取り上げたいと思います。

 被疑者や少年には早い段階から国選弁護人や付添人が選任される制度がありますが、被害者にはそのような制度がありません。私は弁護士時代、もちろん少年の付添人もしましたし、少年院に入った後も面会に通いました。一方で、被害者側の弁護士としても活動してまいりました。その経験から、多くの被害者や御遺族が国の支援制度がないために弁護人を頼めず、つらい思いをしている現状に疑問を感じてきました。

 そこで、大臣就任時に、法務省として初めてとなる「犯罪被害者支援弁護士制度検討会議」を創設いたしました。

 資料一を御覧ください。

 

 令和二年六月に指示し、七月に第一回会議を開催し、先月、すなわち令和三年四月に論点整理が出されました。資料一の中で私の方で注目した発言にマーカーを引いておきましたので、御覧ください。

 被害者には推知報道の禁止規定もありません。名前やプライバシーが報道され、マスコミが自宅に押しかけ、家族や御遺族も含めて、学校や職場でも二次被害に遭う苦しみを味わいます。また、加害者側との示談交渉も精神的にも大きな負担が掛かります。捜査への協力や裁判への参加など初めてで、法律的に分からないことだらけです。それらを全て捜査機関がきめ細かく相談に乗ってくれるわけではありません。民間支援団体も一生懸命やってくださるのですが、法的措置はできません。

 現在、法テラスにて犯罪被害者のための弁護人を選任する制度がありますが、その費用は国ではなく日弁連会員からの特別会費を充てているのです。本来、国民の安全を守る使命を持つ国がすべきことではないでしょうか。

 資料一の犯罪被害者支援弁護士制度検討会議の論点整理を踏まえて、今後、法務省として検討を開始すべきです。御答弁願います。

〈上川陽子法務大臣〉

御指摘いただきました被害者に対しましての弁護人の選任制度ということでございますが、被害直後から犯罪被害者に弁護士を選任し、その費用を国費負担とすべきとの御意見がある、このことについては報告書も含めまして承知をしているところでございます。

 こういった御意見等を踏まえまして、森まさこが法務大臣就任中に、これに関しましての論点整理を目的として法務省に犯罪被害者支援弁護士制度検討会を設置し、有識者によりましての検討を開始していただきました。私が法務大臣に就任した後もこれを引き継がせていただきまして、議論を進めてまいりました。そして、まさに令和三年の四月にこの検討会におきましての論点整理を取りまとめて公表したところでございます。

 検討会におきましては、犯罪被害者にも早期に弁護士を選任し、その費用を国が負担とすることにつきまして様々な御意見が示されたところでございます。一部委員からは、被疑者側に国選弁護制度があること等の均衡を考えて、国費負担のスキームをつくるべきとの積極的な御意見がございました。その一方、また、犯罪被害者支援には、弁護士のみならず、捜査機関や民間ボランティア等が様々関与するが、弁護士による活動の必然性や効果はどのように考えるのか、また民間ボランティア等の活動に優先して弁護士の活動に国費を投入すべき合理的理由は何かといった御指摘もあったと承知をしております。検討会では、このような様々な御意見に基づきまして論点整理を取りまとめたものでございます。

 もとより、弁護士によりまして犯罪被害者支援を充実させることが重要であるというふうに私自身認識をしております。検討会では、弁護士費用の国費負担の課題のほかに、現在の法テラスにおける犯罪被害者支援を充実させる方策につきましても御議論をいただいたところでございます。

 法務省といたしましては、検討会での委員の御意見等も踏まえまして、弁護士による犯罪被害者支援を充実させる観点から、担い手である日弁連、また法テラスと連携をしながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 

〈森まさこ〉

 今大臣から「検討を進めてまいります。」という御答弁をいただきまして、本当にうれしい思いです。

 犯罪被害者支援弁護士については、法務省で取り上げられたことが会議体としてはなかったものでございますので、今回論点整理をして、もうそれで終わりかという不安の声をたくさん寄せられておりましたが、大臣におかれまして検討を進めていくということで、よろしくお願いいたします。また、犯罪被害者支援弁護士制度を含めまして、その他の犯罪被害者の支援を充実していく内容についても検討を進めていくようにお願いをしたいと思います。

 

●取調べの弁護人立ち会い

 

 少年法が改正されますと、十八歳、十九歳について二十歳以上と同様の刑事手続が取られるケースが増える可能性があります。ただ、十八歳、十九歳は精神的に未熟であり、捜査はより慎重になされなければなりません。まさに、取調べに弁護人が立ち会う必要性が高い場面です。三月三十日に続き、四月八日の当委員会でも、私から取調べに係る弁護人立会いについて質問をさせていただき、上川大臣に御答弁いただきました。

 資料二を御覧ください。

 資料二の議事録のマーカーのとおり、上川大臣からこのような御答弁をいただいております。「検察の在り方検討会議を受けて設置された法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会において弁護人立会いにつき議論されたものの、捜査の在り方を本質的に変質させる可能性があることを踏まえて、導入しないこととされた」と御答弁されました。まあ法務省がそのように大臣に報告したのだと思います。しかし、本当に「導入しないこととされた」のでしょうか。

 そこで、改めて検察の在り方検討会議と特別部会での議論の経過について私の方で確認いたしました。配付しました資料三、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想、これは法制審の特別部会の取りまとめです。その二十一ページ、資料三にございますので御覧ください。

 ここには、弁護人立会いについて、「被疑者取調べの適正を確保するとともに、被疑者において供述するかどうか、あるいは供述調書に署名押印するかどうかを弁護人と相談の上で判断できるようにして、弁護人による援助を十分なものとする必要があり、また、諸外国でも被疑者取調べへの弁護人の立会い制度を導入していることが多いことから、被疑者取調べへの弁護人の立会いを認めるべきとの意見があった」と賛成意見が記載されております。それに続けて、「これに対しては、被疑者の取調べに反対意見もあり、一定の方向性を得るに至らなかった」とあります。賛成意見に続けて反対意見が記載されているわけです。

 そしてその後に、「この度、取調べの適正確保に資するものとして、被疑者取調べの録音・録画制度を導入することとしているところであるが、取調べへの弁護人の立会いについては、それ以上に取調べへの支障が大きいとして強い異論があることから、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否及び当否も含めて別途検討されるべきである」と記載されています。

 「導入されないこととなった」などと書いていません。賛成意見と反対意見の両論があって一定の方向性を見ることができなかったことから、この部会ではそれ以上議論されず、別途検討することとなったというのが正しい経緯です。

 資料二と資料三の違いを私が法務省に指摘しましたら、法務省は過去の答弁と同じく答弁しただけですと言うのです。では、過去の答弁とは何ですか、見せてくださいと言いましたら、資料四の議事録が出てきました。資料四を御覧ください。

 資料四のマーカーを引いたところが法務省の答弁で、林眞琴さんの答弁ですが、導入しないこととされたとどこに記載されているのでしょうか。書かれていません。

 法務省は一事が万事この調子で、自分たちのやりたくないことは少しずつ違うことを言って、議事録の中で既成事実をつくり上げていく。そういうやり方はやめるべきです。取調べの弁護人立会いに反対であるならば堂々と理由を述べるべきであって、少しずつやらない方向へ答弁をすり替えていくような方法を、国権の最高機関である国会の答弁という国民に対して最も誠実であるべきで、取るべきではありません。

 刑事局長、前回の答弁は局長が決裁し、大臣に報告したのでしょうが、導入しないこととされたとの部分は法制審の議事録に書いていないのですから、撤回していただけますか。

 

〈川原刑事局長〉

 お答えいたします。

 被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、平成二十八年の刑事訴訟法改正に先立つ法制審議会、新時代の刑事司法特別部会において議論をされたところでございますが、取調べの在り方を根本的に変質させて、その機能を大幅に損なうおそれが大きいとの問題点が指摘されたところでございます。

 そのため、この制度につきましては、議論が一定の方向性を得るに至らなかったことから、合計で三十回行われた特別部会の第十九回会議の段階で、先ほど委員からも御指摘がありましたが、委員、幹事の総意により、検討指針と検討事項を中間的に取りまとめられた時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想におきまして、先ほど申し上げた問題点を挙げつつ、委員の資料にも記載されておりますとおり、取調べへの弁護人の立会いについては、それ、これは、ここに言うそれというのは取調べの録音・録画制度を指すものでございますが、それ以上に取調べへの支障が大きいとして異論があることから、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否、当否も含めて別途検討されるべきであるとされて、それ以後は同部会におきまして検討対象としないこととされ、その結果、その際の法制審議会の答申には盛り込まれず、平成二十八年の刑事訴訟法改正においては制度として導入しないとされたところでございます。

 委員からその大臣の御答弁の内容について御指摘をいただいたところでございますが、御指摘の答弁につきましては、ただいま申し上げた経緯を端的に御説明したものであるところでございます。

 

〈森まさこ〉

 刑事局長から今答弁がされましたが、法制審の議事録をそのまま読む、しかし賛成意見については読んでいません。反対意見のところだけ読んで、そして答申に取り込まれることがなかったというふうに述べたところまではまあいいと思います。本当は賛成意見と反対意見両方述べるべきですが、法務省は賛成意見を口から出せないんでしょうから反対意見だけ述べる、これだけでも不公平だと思いますが、資料四の林眞琴さんが述べた答弁のように、反対意見だけ述べて、その結果、答申に盛り込まれることがなかった、これは事実ですよ。

 しかし、法制審の議事録を見ますと、答申には取り込まれないけれども、弁護人の立会い制度について導入しないのかどうかということについては、その要否、つまり導入するかしないか、当否、妥当かどうか、要否及び当否も含めて別途検討されるべきと書いてあるんですよ。それを、前回の答弁のように導入されないこととなったというふうに述べたら、その議事録の部分だけ見たら、ああ、法制審で導入されないというふうに結論が出たんだと誰もが誤解してしまいます。

 ですから、その導入されないこととなったというのは過去にどこにも書いていないんですから、撤回していただけますか。

 

〈川原刑事局長〉

 お答え申し上げます。

 法制審議会における議論の経緯については先ほど御答弁申し上げたところでございます。

 繰り返しになりますが、大臣のさきの答弁は、先ほども答弁申し上げましたとおり、平成二十八年の刑事訴訟法改正に先立つ法制審議会の部会において議論の結果、中間的な取りまとめの後は検討対象としないこととされ、答申には盛り込まれず、その結果、平成二十八年の刑事訴訟法改正においては制度として導入しないとされたところという点を端的に説明された答弁でございます。したがいまして、説明として、特段間違えた説明をしたとは考えておりません。

〈森まさこ〉

 説明として間違いであると思います。

 今大臣が聞いておられますから、大臣に最後御判断いただいて答弁し直していただきたいと思いますが、今日はこの質問は全国の弁護士そして犯罪被害者の方がオンラインで見ておられますからね、それをよく理解した上で、しっかりと責任を持った御答弁をしていただきたいと思うんですよ。

 法務省が取調べの弁護人立会いを非常に慎重にしていくのは、私も身をもって経験いたしましたし、よく分かっています。それは理由もあるんですよ。私はその理由も理解できますよ。つまり、我が国においては取調べの手法が非常に限定的なんです、国際的に比べてですね。これは人権を守るためにしっかりやっておられると思います。その中でやはり犯人を捕まえていくということの捜査を一生懸命やって、結果も出していると思います。被害者のために真犯人を突き止めていらっしゃると思います。その点については高く評価をしていますし、尊敬しています。

 しかし、弁護人の立会いを一切認めないということでこのままいけるんでしょうか。また、少年法を改正して、十八歳、十九歳の者が独りぼっちで取調べ室で検事さんと相対するということ、あってよいのでしょうか。

 私は、取調べの手法が限定的であるということが捜査機関の皆さん方の理由だというならば、そうであるならば、具体的制度設計により取調べの手法を諸外国並みに充実させることは果たしてできないのかなどと議論をすべきですよ。そうしないで議事録を少しずつすり替えるなんということを、こそくな手段を取るべきではないんですよ。

 法制審の特別部会では、そもそも録音、録画の導入についても、捜査への支障があるということで強い反対意見がありました。でも、結果として、この国会で皆さんで議論して、録音、録画については導入されたんです。あのとき、強い反対があったんです。しかし、結果として、これ導入した結果、どうでしょうか。特に問題ないじゃないですか。捜査への支障は見られず、かえって検察官も積極的に任意性の立証のために利用するようになっているわけです。私もその現状を法務大臣のときに報告を受けましたよ。

 ですから、弁護人立会いについても、別に全部の弁護人立会いと最初から言っているわけではありませんよ。例えば十八歳、十九歳、又は今問題となっている性犯罪、こういうときにやはり問題、具体的な制度設計するべきではないかという議論をされる場が設けられるべきではないかというふうに私は思います。

 この資料で示しました、資料三で示しました法制審の議事録、これは一体いつですか。平成二十五年一月二十九日、既に八年が過ぎているんです。そのときに、別途検討の場を設けると書いてあって、既に八年が過ぎているんです。検察の在り方検討会議では、フロッピーディスク改ざん事件の村木厚子さんが弁護人立会いの必要性を説かれました。その本当にヒアリング調書は涙なしでは読めないものです。

 繰り返し申し上げているとおり、この点は国際社会からも大きな批判を受けておりまして、カルロス・ゴーン氏からも批判を受けて、私はカルロス・ゴーン氏に全て反論いたしましたが、この一点だけは反論しにくかった。だから、刷新会議というのを立ち上げて、その中で弁護人立会いについて議論をしていただきました。

 上川大臣は、昨年十二月に刷新会議の取りまとめを受けて、刑事局に弁護人立会いについての検討を指示されたわけです。それを前回の当委員会で御答弁をなさいましたから、私が、どういう検討をするんですかと言ったら、先ほどのような、導入されない、しないこととされたという答弁をされたので、私は、三回目ですけど、また今日聞いているわけです。

 この刑事局長と私の今議論をお聞きになっておられて、上川大臣に御質問したいと思います。

 法制審で導入しないこととされたのではなく、賛否両論あったため別途検討することとなったということでよろしいですか。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 委員御指摘の被害者、取調べへの弁護人の立会いの制度、またあるいはその権利の制度につきましては、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会におきまして、取調べの録音、録画と並んで議論がなされたところでございます。しかしながら、この議論の中では、被疑者取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、取調べの在り方を根本的に変質させ、その機能を大幅に損なうおそれが大きいといった問題が指摘されたことから、法制審議会においては答申に盛り込まれることがなかったわけでございます。

 本制度につきましては、やはり何といっても社会情勢、様々大きく変化をしているところでございまして、そうした変化等も踏まえつつ、時代に即したものとなるよう不断の検討を続けていくことが重要であるというふうに考えております。

 まさに委員が法務大臣のときに立ち上げ、そしてまとめていただきました法務・検察行政刷新会議の報告書の中でも、この社会の変化に留意しつつ、幅広い観点からの検討がなされるよう適切に対応すること、この被疑者の取調べへの弁護人の立会いの制度を含む刑事司法制度全体の在り方に関してそうした御意見を頂戴したところでございます。

 この点につきまして、先般の御質問に対しましてお答えをさせていただきましたが、私からは刑事局に対しまして適切に対応するよう指示をしたところでございます。

 

〈森まさこ〉

刑事局に対して適切な対応をするように指示をしていただきまして、ありがとうございます。

 しかし、大臣が指示をされたその後に、導入しないこととされたという答弁書を刑事局長が書いたというのもこれまた事実でございます。この議事録がこのまま後世ここに残ってしまいますと大変なことになります。

 それなので、簡潔に御質問いたしますけれども、前回の御答弁で、法制審で導入しないこととされたというのは誤解でございますね。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 今、導入されないこととされたその前に、様々な、今私が申し上げたようなことも含めまして、説明が足りなかったということはあろうかと思います。

 そのことも含めて、改めて今、私自身申し上げたところでございますので、その意味で今これからの取組の中で社会の変化にしっかりと対応していくことができるように適切な対応をと、こうした法務・検察行政刷新会議の御提言もございます、前進をしていくことにより不断の検討を続けていくという制度設計でございますので、制度の在り方につきましては不断の検討を続けていくことが何より大事であると、こういう強い認識を持っておりますので、その意味で刑事局の方に指示をしたと、こういう流れでございます。

 

〈森まさこ〉

 今大臣は説明が足りなかったというふうに言っていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、法制審に書いてあるように、取調べの弁護人立会いについては、その要否及び当否も含めて別途検討されるべきであるということに応えて大臣から刑事局に御指示がされたということでよろしいでしょうか。

 

〈上川陽子法務大臣〉

 被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度、これを含みます刑事司法制度全体の在り方、このことも法務・検察行政刷新会議の報告書の中で、適切な対応をということで御意見が頂戴したところでございます。このこと、全体の中でしっかりと適切に対応するということについて指示をしたという内容でございます。

 

〈森まさこ〉

 ありがとうございます。

 刷新会議の中でも、全体の在り方で検討すべきということ、また八年前の法制審においては、全体の中ではなく、取調べへの弁護人の立会いという項目について、その要否及び当否も別途検討されるべきであるというふうに書いてありますので、それを踏まえて、別途検討というのはいつスタートするんでしょうか。刑訴法の三年後の見直し規定が付いております。三年後の見直し時期に向けて議論をいつスタートさせるのか、お答えください。

 

〈川原刑事局長〉

 お答えを申し上げます。

 取調べの弁護人の立会い制度につきましては、今大臣から御答弁がありましたように、大臣から適切に対応するようにという御指示をいただいたところでございます。

 今、御指摘がありました平成二十八年の刑事訴訟法の一部改正法の附則でございます。これにつきましては、この改正によって導入された制度につきまして、改正法の施行状況についての検討を加え、その必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされているところでございまして、被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、この平成二十八年の刑訴法一部改正では導入されなかった制度でございますので、直接的にこの三年後、附則によります三年後検討の対象となっていないことから、これを三年後検討との関係で取り上げるのか、どのような方向で検討するのかということにつきましては現時点ではまだ決めておりませんので、今後適切に対応してまいりたいと考えます。

 

〈森まさこ〉

 導入されることとなかったとまた繰り返していますが、導入されることとなかったのではなくて、法制審に書いてあるとおり、要否及び当否も含めて別途検討されるべきこととなったので、別途の検討を早く始めていただきたいと思います。

 また来週、私質問をさせていただきます。ありがとうございます。