皆さん、こんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

3/30の法務委員会にて、質問に立ちました。

インターネット審議中継にアーカイブが配信されていますので是非ご覧ください。

 

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6238#118.1

 

主な質問内容は、

「夫婦の氏の問題」「法務行政刷新会議」についてです。

 

<森まさこ>

上川大臣には、引継ぎの趣旨をいつも丁寧にお酌み取りいただき、本当に感謝を申し上げているところでございます。

 早速質問に入らせていただきますが、夫婦の氏の問題についてまず質問させていただきたいと思います。

 皆様のお手元に資料一をお配りしておりますが、今年の三月三日の参議院予算委員会でパネルとして提示をしたものを資料にしております。ここに私の案が記載されております。

 一番上が現行の戸籍の制度、そして一番下が法制審の方で示されたいわゆる選択的夫婦別氏制度でございますが、平成八年からもうもはや二十五年が経過をしております。私は、賛成か反対かということだけではなく、国民の不便、不利益に寄り添って、具体的な、現実的な解決案を提示すべきではないかと考えております。

 その一つとして、法制度の具体案として私の案がこの折衷案として書かれておりますが、ミドルネーム案と私が名付けてあるものでございます。つまり、夫の氏が甲野、そして妻の氏が乙野としますと、結婚したときにどちらの名字二つとも自分の氏になるということでございます。甲野乙野太郎、甲野乙野花子、甲野乙野子供というふうに戸籍に書き込みます。しかし、社会生活上は、それまでどおり甲野太郎さん、乙野花子さんというふうに社会生活送りますので、名のる点では現行と変わらないようになります。

 現行との違いは、今、まあ私もそうですけれども、旧姓を通称使用しております。そうしますと、その旧姓の通称には法的根拠がありません。ですので、パスポート上の問題や海外の論文の問題、また海外でクレジットカードを使うとき等々、様々な不便があります。また、自分の生まれたときの名前をそのまま使いたいという、そういう要請もございます。

 私のこのミドルネーム案は、海外では結合氏又は複合姓とも呼ばれます。また、ダブルネームというふうに呼ばれることもあります。内閣府の男女共同参画局が調査をしましたところ、五十一か国調査したうち二十九か国がこの複合氏制度を認めております。過半数の国が複合氏を認めているわけでございます。そういう意味で、私は、この結合氏、ミドルネーム案を我が国がもし導入した場合にも、それによって社会的な混乱が起きるのではないかという不安に対しても、先行する国がこれほどあるわけですから、混乱を回避する法設計も取りやすいのではないかというふうに思っております。

 現在、結局は、反対する方は家族の絆や同氏、子供との同氏ということを主張されておりますが、結合氏制度であれば、家族が同じ戸籍に入り、そして夫も妻も同じ氏であり、子供とも同氏です。また一方で、賛成する方が社会生活上の不便や不利益、そしてアイデンティティーの喪失ということを心配なさっていますが、それも解消することができると考えております。

 第五次男女共同参画基本計画が令和二年の十二月二十五日に閣議決定をいたしました。そこには、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断を踏まえて更なる検討を進めるというふうに書かれております。

 これを前提としながら上川大臣に御質問をしたいと思いますが、私のこのミドルネーム案に関する御感想もいただきたいですし、政府として、この第五次計の閣議決定を踏まえて、国民の不便、不利益に寄り添った更なる検討を進めるために法務省において、法制審が平成八年に答申は出しておりますが、そこからもう二十五年も経過をしたわけでございますので、何らかの省内の検討を進めるべきではないでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。

 

<上川陽子法務大臣>

 今、委員、様々な、これまでのこの選択的夫婦別氏制度を含めて様々な案があるということで、今、結合氏の制度につきまして森まさこ案ということでお示しをいただきました。

 この法制審議会におきましてのこれまでの議論におきましても、様々な案を検討しながら、そのことの様々な課題も議論をいただいた上で最終的にお出しをしていただいたというふうに認識をしているところでございます。法制審議会では平成八年の二月に、選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱、これを答申をしていただきました。

 御承知のとおり、法務省におきましては、平成八年及び平成二十二年にこの法案の提出に向けましてこの法制審議会の答申を踏まえた改正案という形で準備をしたところでございます。しかしながら、この問題につきましては、国民の間に様々な御意見があったほか、当時の政権内におきまして様々な意見がございました。平成八年当時は自民党を中心とした政権でありましたし、また平成二十二年当時は民主党を中心とした政権でございました。それぞれの当時の与党の中におきましても異論があったということでございまして、改正法案の提出にまでは至らなかったものというふうに認識をしております。

 私といたしましては、この夫婦の氏に関する問題につきましては国民的な議論を深めていくということが何よりも大事であるというふうに考えておりまして、そういう過程の中で意見が集約をしていくということ、これが望ましいというふうに考えております。その意味で、第五次男女共同参画基本計画におきまして、様々な国民的議論を喚起しつつ、また同時に、国会におきましての議論、あるいは今司法の分野におきましても検討が進められているということでございますので、こうした様々な検討が進められる状況というのは大事であるというふうに認識をしているところであります。

 法務省として、今、各党での検討が充実したものになるように、法制審議会での検討の経過でありますとか最近の議論状況等々につきましても積極的に情報提供をするなどいたしまして、でき得る限りの協力をさせていただいている状況でございます。今後も、この各党での検討を含みます国会におきましての議論、こういったことが充実したものとなるように取組を続けてまいりたいと思いますし、また、引き続き、国民の皆さんに対しましても周知、広報を徹底するという形を通して環境整備にも努めてまいりたいというふうに考えております。

 

<森まさこ>

 ありがとうございます。

 国会でもこの当委員会でも毎回のように御質問が出ておりますので、また、最高裁大法廷にも回付されたという状況でございます。是非、行政府においても大臣が進めて、菅内閣によって上川大臣から法案が出されることを期待したいと思います。

そして次の質問ですが、法務行政刷新会議について質問をします。

皆様のお手元に資料二がございますが、私が大臣時代にこの当委員会でも様々な多くの御指摘をいただきましたことを踏まえて七月十六日に設置したものでございます。

 冒頭の私の大臣挨拶の中で、皆様の指摘を踏まえた刷新会議で話し合うべき三つの柱が書かれております。今日は時間がないので、三つ目の柱、資料二でいいますと二ページ目になりますけれども、第三にと書いてあるところについて質問をしたいと思います。

 カルロス・ゴーン氏の海外逃亡を契機に、日本の刑事司法制度について国際的に様々な御指摘がありました。誤解がございました。そのことについて、京都コングレスのサイドイベントも、私が新たに日本の法制度についてのものも作りまして、大臣の下で全日オンラインで放映をしていただき、ありがとうございます。

 しかし、一点だけ誤解でない点があります。それは、取調べに弁護人の立会いがないという点です。これは、残念ながら、カルロス・ゴーン氏に指摘されて、違いますと言うことができないものでございます。これについてしっかりと検討していくということが三つ目の柱でございましたが、これについて、上川大臣が法務行政刷新会議の十二月の取りまとめを踏まえて立ち上げてくださった法務省ガバナンスPTではどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

<上川陽子法務大臣>

 刑事司法制度の在り方についての法務・検察行政刷新会議でございますが、当時の大臣であられました森委員がリーダーシップを発揮されてつくられたものと承知をしております。

 そして、この御意見の中に法務省におきまして真摯に受け止めるべきものがたくさん寄せられてきたということもございまして、法務省ガバナンスPTにおきましてのこの反映をしていくということを決定させていただきました。

 御指摘の刑事司法制度の在り方に関して弁護人の立会いの点ということでございますが、このことも含めまして刑事司法制度の在り方に関しましては、この法務省のガバナンスに関する問題という形ではなくて、私から刑事司法制度を所管する刑事局に対しまして適切に対応するよう指示をしたところでございます。

 

<森まさこ>

 ありがとうございます。

 実は、資料三をお配りしておりますが、この法務・検察行政刷新会議の第六回の中で法務省が注目すべき発言をしております。それが十六ページの下段にございますが、取調べの弁護人立会いについて、下から四行目を見ますと、検察庁において公式に弁護人を取調べに立ち会わせないという方針決定がなされているとは承知しておりませんと言っておりまして、つまり、弁護人を取調べに立ち会わせるということは別に法で禁止されていないし、できると述べた上で、その下から、検察の裁量によって弁護人を立ち会わせることができるんだという趣旨のことを述べているんです。しかし、皆さん御存じのとおり、実際に立会いというものは行われておりません。

 そこで、この点について私は引き続き法務省で検討していただきたいと思っているんです。今の大臣の御答弁ですと刑事局の方に指示がなされたということですので、刑事局でどのように取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。

 

<政府参考人>

 お答え申し上げます。

 取調べへの弁護人の立会いの問題でございますが、平成二十八年の刑事訴訟法等一部改正法の附則におきまして、政府は、改正法の施行後三年を経過した場合において、取調べの録音・録画制度の在り方のほか、改正法の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされております。

 この附則により取調べの録音・録画制度の在り方の検討が求められるところでありますが、今御指摘の被疑者の取調べに対して弁護人が立ち会うと、この制度については直接的に検討が求められているものではございませんで、いわゆる三年後検討の場でこれを取り上げるかや、どのような方向で検討するかなどは、現時点では何ら決まっていないことでございまして、具体的にどういった検討をするのかということについて今お答えすることは困難でございますが、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、大臣から適切に対応するようにという御指示をいただいたところでございますので、刑事局としては、法務・検察行政刷新会議や法制審議会での様々な御意見等も踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

 

<森まさこ>

 今の御答弁ですと、刷新会議で私が示した三つの柱のうち二つはガバナンスPTで取り上げ、残る一つのこの取調べの弁護人立会いについてはまだ決まっていないというようなお答えだったと思いますが、カルロス・ゴーンの逃亡から本当に国際的に批判を浴びています。この取調べに立会いがないということは捜査方法とのバランスがあるというような説明がなされていますが、それは制度設計によると思いますので、是非これからも適切な検討をしていただくようにお願いをいたします。

 質問を終わります。