みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。

本日は女性活躍推進特別委員会として政府に提出した緊急提言第2弾の内容をご紹介いたします。


私は同委員会の委員長を務めています。

昨年末の緊急提言後もコロナ禍は続き、女性を取り巻く状況はますます厳しくなってきました。自殺、離職、DVなどのデータも以下に掲げています。特に女子高生の自殺が激増していることに心を痛めています。

グテーレス国連事務総長がコロナ被害はwomen & girlsに特に被害が多く各国の特別な措置を要請する声明を出したことを受け、私たちの提言も「女性と女の子」を守るように副題をかかげました。
 
     菅総理に申し入れをした際の写真

 緊急提言 〜コロナ対応の中核に「女性・女の子」を〜

           第2弾

Ⅰ状況の概要
我が国は今、コロナショックの「第3波」の真っ只中にある。コロナショックは、女性の雇用や生活に大きな負の影響を与え、まさに女性にとって打撃が大きい不況となっている。本委員会でヒアリングを行った株式会社野村総合研究所によれば、コロナで大幅にシフトが減少した「実質的失業者」のパート・アルバイト女性は推計90万人おり、そのうちの6割は自分が支援を受けることができることを知らず、また知っていても申請をしていないこと、さらには、過半数の女性が「暮らし向きが苦しい」「経済状況を理由に気持ちが落ち込む」ことが増えていることが指摘されている。DV相談件数や女性・女子高生の自殺者数も増加してしまっている。この背景として、様々な生活の悩みなど女性を取り巻く問題が新型コロナウイルスにより極めて深刻になっていることや、著名人の自殺報道により誘発された可能性があることがあげられる。

「第3波」が現実のものとなってしまった今、政府・与党は一層緊密に連携し、コロナショックで困難を抱えた女性・女の子に対して寄り添った支援をさらに強化していかなければならない。また、良い政策や制度を作ったとしてもそれが支援を必要とする女性に届かなければ何の意味もなさない。こうした問題意識から、緊急提言第2弾を取りまとめた。政府においては、できることから速やかに、対策を進めるよう強く要請する。

Ⅱ 具体的要望事項
1.シングルマザーや実質的失業の非正規女性のデジタル技能学び直し・転職支援

①デジタル初級技能の取得から就職までの一気通貫の支援
経済産業省「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」の利用を推進し、シングルマザーや非正規雇用の女性が、就職につながるような初歩的な技能を身につけられるようにすること。また、生活給付を受けながら同講座を受講し、再就職にまでつながるような事業展開を検討。

②求職者支援訓練のさらなる活用
求職者支援訓練(失業保険を受給できない求職者に対して訓練期間中の生活を支援する給付金の支給を受けながら訓練を受講する機会を提供)を一層使いやすくするよう見直すこと。

③地方自治体におけるデジタル人材の雇用支援
「誰1人取り残さない」デジタル社会の実現のためにも、デジタル技能を身につけたシングルマザーや非正規雇用の女性がデジタル人材として雇用されるよう支援を行うこと。

④地域女性活躍交付金の活用
地域女性活躍推進交付金を活用し、地域における女性デジタル人材の育成を支援すること。

2.「シングルマザー緊急支援パッケージ」の具体的加速

①ひとり親世帯臨時特別給付金の申請期限の柔軟化
あらゆる媒体を用いてさらなる広報・周知を徹底的に行うこと。また、申請期限を過ぎた申請についても、年度内の措置が可能なものは受け付けるなど、柔軟な対応を検討すること。

②子供の新年度に向けた経済的支援
新年度を迎えるにあたり入学や進学もあることから、年度末に向け、現金給付等の各種の経済的支援策や、ひとり親のニーズを踏まえた総合的な支援策を検討すること。

③シングルマザーのデジタル分野の技術取得支援
高等職業訓練促進給付金等事業(看護師や介護福祉士等の資格取得のために、生活の負担軽減のための給付を受けながら、訓練を受けられるもの)と同様のスキームによりデジタル分野の技術取得を促進すること。

④各種給付の現場への徹底
各種給付の支給について、マイナンバーやSNSを活用したプッシュ型通知の仕組みを早急に構築すること。

3.支援が届いていない現状の打破

①各種給付の現場への徹底
休業手当や新型コロナウイルス感染症休業支援金・支給金を受け取ることができることを知らない女性が多い。都道府県労働局が女性からの相談に対応して的確に事業主へ働きかけを行うよう、現場への浸透を徹底すること。併せて、小学校休業等対応助成金についても、事業主の申請が進んでいないことから、都道府県労働局から事業主への働きかけを強化すること。

②金融機関によるつなぎ融資の支援の推進
事業者の実情に応じ、政府間・民間金融機関を通じた資金の供給等に迅速かつ積極的に取り組むとともに、周知を図ること。

③大規模かつ戦略的な広報の展開
各種支援策について、政府広報による大規模広報、LINEなどのSNSを活用してターゲティング広報、学校・保育所を通じた情報提供、事業者向け広報の強化など、政府を挙げて大規模かつ戦略的な広報を展開すること。

④情報リテラシーの向上
国民ひとりひとりが困難を抱えた場合に支援を求めやすくなるよう、支援制度などに関する情報収集能力を高めるための学校教育を促進すること。

⑤女性支援ポータルサイト
内閣府「女性応援ポータルサイト」をさらに周知徹底し、活用を促進すること。

⑥デジタルツールの活用
若手女性や子育て世代の女性が支援にアクセスしやすくなるよう、母子手帳を始め様々な支援情報のアプリ化を進めること。

4.非正規雇用で働く女性への支援

①新型コロナウイルス感染症休業支援金・給付金の対象拡大
中小企業のみならず、大企業に勤める非正規雇用者(シフト制を含む)も対象になった。しかし多くの非正規雇用の女性は昨年も大きな打撃を受けていることから、昨年の緊急事態宣言時にまで遡って適用すること。

②非正規女性の正社員化の促進
選択的週休3日制や限定正社員制度など、非正規だった女性が正社員として働きやすくなる環境整備を進めること。

5.相談支援のさらなる充実

①地域女性活躍推進交付金による寄り添い型支援の充実
地方自治体が行う、困難を抱えている女性の社会的自立につながるきめ細かい取り組みを後押しすることが不可欠であり、地域女性活躍推進交付金の活用を促進すること。

②NPOなどと連携した相談しやすい時間・方法の設定、相談員の処遇改善
各種相談窓口の質の向上のため、利用者のニーズを踏まえて、NPOなどと連携を含め、相談時間・方法を適切に設定すること。また、相談員の処遇改善に取り組むこと。

 
     提言の内容を説明している際の写真

6.経済支援等

①困窮している非正規単身女性等への支援の検討
シングルマザーに加え、非正規の単身女性(2020/11時点で約175万人)や低所得の子育て世帯など、困窮している女性・子供への現金給付を検討すること。

②コロナ離職者の再就職支援
コロナの後遺症で離職した方、復職できない方への就職支援を行うこと。

7.自殺対策
ウェルテル効果に繋がらないよう、自殺報道の在り方について検証を進めると共に、その結果を踏まえ報道やメディア(SNS含む)への働きかけを強化すること。

8.DV・性被害・性暴力対策

①民間シェルターにおけるホテルの活用推進
D V被害者が民間シェルターにおいて保護される場合に、受け入れ先が不足しないよう、ビジネスホテルなども活用すること。

②家族・親族からの性的虐待の厳罰化
家族・親族からの性的虐待へのゼロトレランス、抑止力向上のための厳罰化の検討を加速し、可能なものから早急に措置を講ずること。

9.女性の家事・育児負担の軽減
固定的性別役割分担に囚われない男女の役割分担に係る情報発信を充実すること。

10.医療・介護分野における女性活躍
医療・福祉分野で働く者の7割以上が女性である。新型コロナ対応の最前線で働いている女性の処遇改善や安全に安心して働くことができる環境整備を進めること。

11.シングルマザーの養育費確保
第5次男女共同参画基本計画において養育費の支払い確保に向けた調査・検討を進めることとしており、厚生労働省と法務省の検討の場に内閣官房番号制度推進室を加え、マイナンバーと個人預金口座の紐付けを活用すること。

こうした厳しい状況に置かれた女性・女の子の声をしっかりと受け止めて、救いの手を差し伸べることは、政治の責任に他なりません。


最後に、日本の有権者の52%は女性であるにも関わらず、国会や地方議会の場に女性が少ないことが、コロナショックで影響を受けている女性への対応が行き届いていない根本的な原因であります。

困難を抱える多くの女性の声が我が党にしっかりと届くよう、国政と地方政治における我が党所属女性議員の増加に全力で取り組んでまいります。


   
       ぶら下がり記者会見の様子