みなさんこんにちは。参議院議員の森まさこです。

2021年1月30日に不妊予防・治療オンラインシンポジウム(主催/株式会社ポピンズホールディングス)において、パネリストとして参加しました。
他のパネリストは、

〈主催者・モデレーター〉
中村 紀子 様−株式会社ポピンズホールディングス 代表取締役会長
〈講演者〉
河村 和弘 様−国際医療福祉大学 医学部産婦人科 教授
国際医療福祉大学 高度生殖医療リサーチセンター長
〈パネリスト〉
杉山 力一 様−杉山産婦人科 理事長
田附 サリー 様−カリフォルニア・CCRMグループ 不妊治療専門医

など、不妊治療の最前線の専門家の皆様です。
私は、9年前の少子化大臣当時から、不妊に悩む皆様のために様々な取り組みをしてきました。大臣が終わった後も、ワンモアベイビー財団を立ち上げ、全国調査や寄り添い活動を続けています。https://www.1morebaby.jp/
シンポジウムでは私からは、菅義偉総理が進める不妊治療の支援政策を紹介しました。
以下、私のプレゼンテーションの内容を一部ご紹介したいと思います。
  

○不妊治療の流れ


①検査→男性不妊・女性不妊・原因不明の機能性不妊に分類
これらは診察所見、精子の所見、画像検査や血液検査等を用いて診断します。


②原因の治療
・男性不妊の治療→精管閉塞、先天性の形態異常、逆行性射精、造精機能障害などを手術療法や薬物療法で治療します。
・女性不妊の治療→子宮奇形、感染症による卵管の癒着、子宮内膜症による癒着、ホルモンの異常による排卵障害や無月経などを手術治療や薬物療法で治療します。
ここまでにあげた治療は保険適用内の治療になり、以下にあげる治療は保険適用外になります。


③夫婦間で行われる人工授精
治療が奏功しないものや機能性不妊に対しては夫婦間で行われる人工授精・特定不妊治療などの治療が行われます。人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen)は精液を注入器で直接子宮に注入して妊娠を図るもので、主に夫側の精液の異常、性交障害等の場合に用いられます。比較的安価でできることが特徴です。
一方、特定不妊治療は、体外受精・顕微授精・男性に対する治療に分類されます。
☆体外受精は体外で受精させて妊娠を図るもので、主に人工授精後や女性不妊の場合に用いられます。しかし排卵を伴うため女性側の身体的負担が重いというデメリットも存在します。
☆顕微授精は体外受精のうち、卵子に注射針等で精子を注入するなど人工的に受精させるものを言います。
☆男性に対する治療は手術用顕微鏡を用いて精巣内より精子を回収するもので、顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)と呼ばれています。

④これらの治療も奏功しなかった場合は精子提供による「人工授精や卵子・胚提供、代理懐胎など」による治療も存在しますが、倫理的にどこまで行ってもいいのか、親子関係、子供の出自を知る権利など特有の課題があるため、あまり一般的ではありません。

 
          オンラインシンポジウムの様子

○不妊に悩む方への特定治療支援事業の拡充について


上記のような治療・保険適用システムを受けて、出産を希望する世帯を広く支援するため、不妊治療の保険適用を検討し、保険適用されるまでの間は政府による現行の助成措置を大幅に拡充することとしています。保険適用外の治療であって、特定不妊治療と呼ばれる体外受精・顕微授精・男性に対する治療を対象の治療法として、所得制限を撤廃するとともに助成額を1回15万円から30万円に倍増させています。その他の詳しい変更内容は以下の画像を参照ください。
また、このような特定治療支援事業の拡充と並行して不妊治療の保険適用に向けた取り組みも行われており、2022年4月から保険適用制度を導入することを目標として、現在日本学術会議でガイドラインの検討が行われており、2021年内に中央社会保険医療協議会で議論される予定です。
 

○不妊症・不育症への相談支援等

〈相談支援等の実施〉~不育症相談体制の強化~
☆不妊専門相談センター事業
 不妊症や不育症について悩む夫婦等を対象に、夫婦等の健康状況に的確に応じた相談指導や、治療と仕事の両立に関する相談対応、治療に関する情報提供等を行う。
・補助率:国1/2、都道府県等1/2

〈関係機関間の協議会〉
☆不妊症・不育症支援ネットワーク事業
 不妊専門相談センターと自治体及び医療関係団体、当事者団体等で構成される協議会を設置し、流産・死産に対するグリーフケアを含む相談支援、不妊症・不育症に悩む方へ寄り添った支援を行うピアサポート活動や、不妊専門相談センターを拠点としたカウンセラーの配置等を推進し、不妊症・不育症患者への支援の充実を図る。
・補助率:国1/2、都道府県等1/2

〈研修会の実施〉
☆不妊症・不育症ピアサポーター育成研修等事業
 不妊治療や流産の経験者を対象としたピアサポーターの育成研修や、医療従事者に対する研修を、国において実施する。

〈全国フォーラムの開催等〉~正しい情報の周知・広報~
☆不妊症・不育症に対する社会の理解を深める広報・啓発促進事業
 不妊症・不育症に対する社会の理解を深めることや、治療を受けやすい環境整備に係る社会機運の醸成のため、国において普及啓発事業を実施する。

また、不妊に悩む前に、不妊を予防する取り組みとして、子どもの頃に卵子の老化などの知識を教育に取り入れることや、人間ドックなどに卵子数血液検査などの女性目線の検査を選択式で入れるなどの提案もしました。

○株式会社ポピンズホールディングス様からのコメント


【産むタイミングを選べる社会の実現に。不妊予防・治療シンポジウム開催の御礼】
本日「不妊予防・治療オンラインシンポジウム」を開催し、約900名という多くの方々にご参加いただきました。終了後のアンケートでは、99%の方に満足と回答いただきました。ご参加いただきましたみなさま、誠にありがとうございました!
不妊治療・予防エリアでの権威でいらっしゃるプロジェクトこうのとり代表河村和弘先生による講演「高齢不妊のメカニズムと不妊予防」や、不妊治療の第一人者杉山産婦人科理事長杉山力一先生、カリフォルニアで最先端の不妊医療に携わっていらっしゃる田附サリー先生および元少子化担当大臣森まさこ氏をお招きして行ったパネルディスカッション。この場を通じて、皆様に不妊予防・治療の最新動向や日本の不妊予防・治療の現状についてお伝えすることができたのではないかと思っております。
今までポピンズは働く女性のライフステージにあわせ、支援をさせていただいてきました。しかし、多くのカップルが不妊に悩み、治療に伴う離職や、未だに根強い偏見に苦しむ現状を受け、「産みたいときに産める社会」の実現に向けて、ポピンズも何か貢献できるのではないかと考えたのが開催のきっかけです。ポピンズは今後、従来の出産後の支援に加えて、妊娠や出産においてもお役に立てるよう努めてまいります。
(株式会社ポピンズホールディングス Facebook記事より引用)

以上がシンポジウム概要紹介となります。

これからもより良い未来の実現に向けて、全力で取り組んでまいります!
よろしくお願いします!