みなさん、こんにちは。参議院議員の森まさこです。

 

今回は、消費者問題についてお話をしたいと思います。

2012年の第一回目の入閣時は、女性活力・子育て支援担当副大臣としてだけではなく、消費者庁の担当大臣もしておりました。

消費者庁の誕生から、これまでの歴史、そして今後消費者庁がどういう役割を果たしていくべきなのか、詳しく説明していきます。

 

まずは消費者庁がどうして出来たのか、という話。

 

○消費者庁が必要だと思ったきっかけ

小学校6年生だった頃、毎日サラ金業者から取り立てを受けていました。学校にも行けず、貧乏で取り立てに追われていた辛い毎日を弁護士さんが救ってくれました。

その体験こそが弁護士を目指すきっかけとなりました。

家にはお金がなかったので奨学金をもらい、自分で働きながら学校に行き、弁護士の夢を掴み取ることができました。

 

そして、消費者弁護士として仕事をしました。

その中で、騙した人が悪いに決まっているので、私たち消費者弁護士が裁判で何度も勝ちました。しかし、判決で勝っても騙されたお金は戻ってこないという虚しい思いをたくさんしました。

そこで、消費者の味方をする国の役所が必要だと思いました。消費者の味方をする法律を作って世の中を変えたいと。

 

○消費者庁設立に向けて

そして、日弁連の奨学金制度でアメリカのニューヨーク大学に留学し、消費者法を勉強しました。

当時、消費者庁はアメリカ、中国や韓国など世界中にあったのにもかかわらず、日本にはありませんでした。日本に帰国した後、消費者庁を創ろうと色々な本にも書いて、日弁連の雑誌にも載せました。しかし、全くその輪は大きくなりませんでした。

夫の留学に伴ってワシントンDCへ再び滞在し、各地の消費者庁をFTC(連邦取引委員会)や州の中にある消費者部門を訪問し調査を続けながら、どのようにして消費者庁を創ろうか考えていました。すると、ちょうど帰国後に金融庁ができ、金融庁の貸金業担当として働くこととなり、貸金業法の改正に尽力していました。

 その後、金融庁としてではなく、弁護士でもなく、一人の国民として国会に傍聴に行きました。目の前で、全会一致で貸金業法が成立し、政治の素晴らしさを見ました。政治が本当に正義感を発揮したときに貸金業法も改正することができると。そこで私は、消費者庁の設立をこの国会で成立させてやろうと思いました。「消費者庁設立」という公約を掲げ、参議院議員に挑戦し、福田康夫総理、麻生総理、野田聖子大臣のご協力のもと、念願の「消費者庁設立」を果たすことができました。

 その経緯を本にしたものが『消費者庁 設置関連三法(第一法規株式会社)【監修】弁護士 森まさこ』です。

 

《鼎談(平成21年5月27日》

福田康夫(第91代内閣総理大臣)

野田聖子(元消費者行政推進担当大臣)

森まさこ(参議院議員)

《鼎談(平成21年5月21日)》

岸田文雄(元消費者行政推進担当大臣、元自民党消費者問題調査会会長)

増田寛也(元総務大臣、元岩手県知事)

森まさこ(参議院議員)

 

○消費者問題の歴史

・1960年代

消費者の生命・身体を脅かす事件「サリドマイド事件」の発生

→対応策として薬事法・割賦販売法・景品表示法・消費者保護基本法などができる

・1970年代

マルチ商法やねずみ講等の悪質商法の発生

→訪問販売法(現 特定商取引法)、無限連鎖講防止法といったマルチ商法対応の法律ができる

・1980年代

サラ金地獄、多重債務問題、投資・資産形成に関する被害の発生

→貸金業法、特定商品預託法ができる

 

このように、何か問題が起きてから対応し、問題が起きないとなにも対応しないという現状でした。詐欺師や悪質商法は法律と法律の隙間を掻い潜るため、個別法を創っても新手の商法を行い、また個別法を創って…という負の連鎖が続いていました。

負の連鎖を断ち切るべく、消費者保護法や消費者基本法などがきっちりあることが望ましいという運動を行っておりました。

 

○消費者庁設立 消費者大臣森まさことしての歩み

前述した運動が実を結び、2000年にやっと消費者契約法、消費者保護基本法、消費者基本法ができました。

2009年には、念願であった消費者庁の設立を実現させました。消費者庁初代大臣は野田聖子大臣が就任し、その後3年半の自民党野党時代を終え、与党に戻って初めての消費者大臣に私が就任しました。

平成24年から26年まで消費者庁として新しい法律を創り、消費者教育推進法、消費者安全調査委員会の設置、食品表示法、消費者裁判手続特例法、個人情報保護方改正を行いました。その他、法律として消費者センターの常設、食品ロスの削減、エシカル削減なども行いました。

 

○今後の消費者庁の役割について

理念としての消費者保護は勿論ですが、消費者を守るための法律や制度、消費者庁が打っている政策を消費者に分かりやすく伝えていく事が重要であります。

また、消費者と事業者は「車の車輪」そのものです。互いに協働して社会経済を変革し、正しいルールで美しい、清いビジョンを創っていく。消費者と事業者が対立しないために、より柔軟で良い関係省庁、事業者、業界団体等を連携していく事が鍵となります。連携強化を十二分に行っていく事で、未来はより良い方向へと向かっていくでしょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

消費者庁設立までの歩みについては、私の著書「取り立てに怯えた少女が大臣になった」(海竜社)にも詳しく書いておりますので、ご興味のある方は是非読んで頂ければと思います。

 

これからも皆様のために全力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!