知恵の蔵をひらく

稲盛和夫(京セラ名誉会長)

 

稲盛氏は、知恵は自分の才能から出てきたものではなく、「知恵の蔵(真理の蔵)」というものがあり、そこから井戸のように知恵が湧いていると考えています。宇宙のどこかにある知恵の蔵を開けて、知恵を引き出す瞬間は、必死になり、凄まじい研鑽を重ねた時にこの知恵の蔵から知恵がもたらされ叡智を想像力の源とし、神業のごとく高度な技術を我がものとして文明を発展させていきたと思えると話しています。

 

僕はデザインの仕事をしていますが、よく「降りてくる」という表現をしますね。デザインが降りてくる。

デザインをしている時に、降りてくるというのはよく仲間内でもいう話ですが、ふとしたところで、思いも寄らないデザインに出会うことがあります。冷静に分析すれば、記憶のデータベースで複数検索した結果、何かと何かが融合してできたアイディアですが、あたかも神から与えられたようなインスピレーションを感じます。

 

自らの考えが、自分だけの源泉で生まれたものでなく、多くのクリエーター達の叡智の集積を借りて自分のアイディアに融合させたように、また自分のアイディアも叡智の蔵に所蔵され、別のアイディアのヒントになるのだろう。

そう思えば、さらに楽しくアイディアを磨いていこうとなる。