最近、仕事でいろんな職業の人に会う。
どんな仕事でも誇りとやりがいを持って前向きに取り組んでいる人はかっこいい。
だけど、中にはどんなにがんばっても、誇りを持ちにくい仕事というのは存在する。

僕は定職につく以前、製造系の人材派遣の仕事をしていた時期がある。
その中に、"座って見てるだけで1日10000円”になる仕事があった。

何を見るのかというと、ベルトコンベアーで延々と流れてくるジュース。
白衣と白い帽子、マスク、透明の手袋を身につけ
瓶入り飲料のラベルがずれていないかをずっと観察するのだ。
時間は計2時間の休憩時間をのぞく夕方6時から朝6時までの10時間。
その間、誰とも話さず、ひたすたジュースと向き合う。
けれど、精密な機械がラベルを貼っているわけで、まず、ズレているものなど流れてこない。
こういっては何だが、仮に、ズレたものがあったとしても、身体に影響が出るようなものではない。

ヒトは大抵(特に自分は)「苦」より「楽」な方が好きだけど、
楽なことは決して幸せなことではない、
そして、仕事に限らず、生きていて最も辛いことの1つは、
自分の存在意義が見出せないということだ。

その工場に通って4日目、工場長から突然「正社員にならない?」と勧誘された。
悪い気はしなかったが、決してジュースを見つめ続けるという高い能力を
買われたわけではないだろう。